得点王(大迫)がいて、得失点差もリーグ1位(+31)。独走Vとはいかなかったけど、勝つべきチームが勝ったというか、納得感のある優勝だね。
今季のJリーグは最終節を前に神戸が初優勝を決めた。開幕から首位に立ち、ケガ人が相次ぐなど苦しい時期もありながら、一度も連敗することなくシーズンを乗り切った。
特に終盤のラストスパートは見事。優勝を決めるまでの5試合は4勝1分け。ラッキーな判定もあったとはいえ、横浜FM、浦和、名古屋などライバルチームとの直接対決が続いた中で勝ち取ったハッピーエンド。素晴らしい物語だ。
神戸といえば、せっかく大金を投じて外国人や元日本代表の大物選手を獲得するものの、チームもその選手もなかなか機能しない。長年そういうイメージが強かった。
その点、今季は吉田監督がチームの顏であるイニエスタを見切ったのが大きかった。運動量は少ないものの、技術が高く、サポーターに人気があり、何より三木谷会長のお気に入りの彼を外すのは大変な決断だったと思う。
でも、結果として、神戸は前線からのハードワーク、プレッシングを徹底するチームに生まれ変わった。大迫をはじめ武藤、山口、酒井と30代のベテランから経験の少ない若手まで全員がよく走っていた。5人交代制の時代らしいチームで、シーズン途中に獲得した元スペイン代表のマタも出る幕がなかった。
MVPを選ぶなら、もちろん大迫。僕に限らず、誰に聞いてもそう答えるでしょ。昨季はコンディション不良やケガの影響もあってかほとんど活躍できなかった。カタールW杯になんとか間に合わせたいと無理をしていた部分があったのだろう(*カタールW杯には招集されず)
でも、今季は、万全の状態なら俺はこれだけできるんだという意地を見せてくれた。20点超えは大したもの。やっぱり大事なときに点を取れるエースがいるチームは強いよ。また、点を取るだけでなく、アシストも多かったし、前線でのポストプレーはチームの攻撃に欠かせなかった。
個人的には、年明け開幕のアジア杯に臨む日本代表にも選ばれて当然だと思っている。相手が弱く、勝ち抜けが確実なW杯2次予選はともかく、ビッグタイトルのアジア杯には現時点のベストメンバーを招集すべき。年齢(33歳)は関係ない。そうなると大迫を選ばない理由は見当たらない。純粋な戦力として期待できるのはもちろん、ほかのFWの刺激にもなる。
話がそれたけど、資金力のある神戸には来季以降も継続してリーグを牽引する存在になってほしい。
そのための課題を挙げるなら、まず選手層を厚くすること。今季はケガ人が相次ぐ中、なんとかやりくりしたけど、来季はAFCチャンピオンズリーグもある。補強をしなければ、とても乗り切れないと思う。
幸い外国人枠に余裕があるので、ケガ人が多かった中盤はもちろん、大迫と武藤に頼りきりの前線にパンチのある選手が欲しい。
あとは三木谷会長かな。今季のように彼の存在が目立たない方がチームはうまくいっている印象だ。お金は出しても口は出さない。そういう姿勢を続けられるかも大きいんじゃないかな。