「やはり親善試合と大会は別もの。イラク戦はひさしぶりのケンカ試合に対応できなかった。おごりとは言わないまでも、甘く見ていた部分があったと思う」 「やはり親善試合と大会は別もの。イラク戦はひさしぶりのケンカ試合に対応できなかった。おごりとは言わないまでも、甘く見ていた部分があったと思う」

ポジティブに考えるなら、グループリーグの順位は関係ない。1位でも2位でも通過すればいい。決勝トーナメントに入ったら相手はどこも手ごわくて、結局、優勝するためにはそういう相手に全部勝たないといけないのだから。

負けたイラク戦はさっさとゴミ箱に捨てて、新しい大会が始まったと切り替えてほしい。ここからが本番。最後に優勝していればいいんだよ。

アジア杯(カタール)で日本代表が苦しいスタートを切った。初戦のベトナム戦は一度逆転を許しながらの再逆転勝ち。2戦目のイラク戦は終始、主導権を握られての完敗。

大会前には「史上最強」とも言われていただけにガッカリしている人も多いだろう。僕もイラクの初戦を見て、相手のインドネシアが弱いとはいえ、大きくて、スピードがあって、ボール際がしつこくて、パスもつなげて、注意しなければいけない相手だなと思っていたけど、ここまで一方的にやられるとはね。

それは日本の選手たちも同じはず。イラクに2点目を許した後、画面に映る選手たちの表情は「こんなはずじゃないのに」「どうしよう」と混乱しているように見えた。おごりとは言わないまでも、甘く見ていた部分があったのだと思う。

対するイラクの選手たちのボール際の気迫はすごかった。まるで、この一戦に人生をかけているかのようだった。多少の技術の差があろうと、ガッツでどうにかしてやるといった感じ。サポーターの迫力のある声援も選手の背中を押していた。

日本はこういう"ケンカ試合"が久しぶりで、うまく対応できなかった。アジア杯前までの親善試合で9連勝していたとはいえ、やはり親善試合と大会は別モノということだ。

また、戦術的な部分でもイラクは日本をよく研究していた。守備では人数をかけて守り、攻撃ではフィジカルを生かすべくロングボールを多用。日本の右サイドを徹底的に狙ってきた。

一方で日本はボールを持っても横パスばかり。ドリブルでの仕掛けやシュートが少なかった。相手からすれば守りやすいよ。選手交代をしても、どうやって点を取りたいのか、森保監督の狙いがわかりにくく、特にFWは誰も何もできなかった。

良かったのは途中交代で入った堂安くらい。積極的なプレー姿勢から点を取るんだという意志が伝わってきた。

心配なのはGK鈴木だ。ベトナム戦を含めて、失点の場面でポジショニングなどの課題が露呈した。身体能力が高く、雰囲気のあるGKだし、失点は彼だけの責任ではないけど、代表の大会は選手を育てる場ではない。

森保監督が「いい守りからいい攻撃」と言っていたのに、最初の2試合で計4失点。3戦目のインドネシア戦でも失点した。まずは守備を立て直さないといけないわけで、決勝トーナメントではほかのGKを起用するのが妥当だ。

GK以外で勝ち上がりのカギを握るのは、やはり攻撃陣の選手。イラク戦では伊東が後半から左サイドに回ったけど、彼は本来の右サイドで起用すべき。そして左サイドは中村か久保。懸案のワントップは誰が出てもボールを収められない以上、ゼロトップにして南野を入れる形でもいいと思う。

正直、大迫(神戸)を招集していればと思ってしまうけど、今それを言っても仕方ないね。そして、得点が必要なときのスーパーサブに堂安と三笘が控えていれば心強い。その意味で故障明けの三笘のコンディションは気になるところだ。

最初に言ったように大会はここからが本番。なんとか結果を残してほしい。

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