2023年末、日本だけでなく世界を騒がせた大谷翔平の10年総額7億ドル(約1000億円)。すごくデカい数字であることはわかるけど、個人が持つ金額としていまいちピンとこない......。そこでマイナースポーツ、映画、歴史と異なるジャンルの専門家に比較してもらった。
* * *
■理由はないけど、東京都民1400万人にモルックセットを寄付することが可能!
フィンランド発祥で、数字が割り振られた木製のピンを、木製の棒で倒して50点ピッタリを目指すモルック。そんなモルック1セットの値段は約7000円です。1000億円あれば東京の人口と同程度の約1400万人に届けることができます!
そして、YOU.FO(ユーフォー)という、ラクロスとアルティメットを組み合わせたようなスポーツは、まだ日本での歴史が浅く、当然プロ選手はいません。昨年、そんなYOU.FOのワールドカップが開催され、日本代表チームがオランダに遠征し、優勝を果たしました!
しかし、その優勝賞金は日本円にすると約15万円。大谷と同じ1000億円を稼ぐには66万6666回優勝する必要があります。ちなみに遠征にかかった費用はひとり当たり40万円程度で、日本チーム15人で約600万円かかりました。
* * *
続いては、映画芸人として活躍するお笑いコンビ・ジャガモンドの斉藤正伸氏。
■『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入でもかなわない......!
日本の歴代興行収入ランキング1位の映画は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で、404.3億円。全国的に驚異的な動員数で見られた結果、叩き出されたこの数字に全映画ファンが驚いたのですが、そんな大ニュースも大谷でいえば「0.5大谷」。
あと昨年、『劇場版名探偵コナン』シリーズがついに興収100億円の壁を突破した!って話題になったんですけど、大谷でいえば「10コナン」でやっと「1大谷」。
ちなみに、映画史上最も製作費が高い作品は『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(2011年)。当時で3億7900万ドルかかったそうですが、何百人が何千時間かけて、何百万人が見る映画作品を、大谷翔平なら個人で2本撮れる計算になります。本当に数多くの人が協力して稼ぐ額をひとりで出す大谷は、すさまじいなと思います。
* * *
■晩年の徳川家康の年収は1005億円! 歴史で見たら1000億円ってどうなの?
日本の歴史上で最大の富豪のひとりといわれる藤原道長。「この世をば...」の歌で「この世は私のものだ!」と宣言したときの道長のメインの邸宅、通称「土御門殿(つちみかどどの)」は、土地と建物代で100億円ほどだといわれています。1000億円は、その大邸宅10軒分です。
また、マリー・アントワネットが最も服飾費にお金を費やしていた時代の1年当たりの支払額が10万リーブル=10億円(1リーブル=1万円として換算)なので、アントワネットのドレス代100年分。
また、歴史上最も稼いだアーティスト、つまり大谷選手同様、身ひとつと才能だけで稼いだ人の記録としての最大値はパブロ・ピカソ。彼の遺産は4000億~8000億円といわれます。1000億円では届きませんが、大谷選手も生涯で考えれば、この記録突破も夢じゃない?
●藤原昂亮(Kohsuke FUJIHARA)
マイナースポーツを中心に、300種目ほど掲載しているウェブサイト『MYSPORTS』を運営。YouTube、TikTokでも紹介しており、総再生回数は1000万回以上
●ジャガモンド斉藤正伸(Masanobu SAITO)
お笑いコンビ・ジャガモンドのツッコミ担当。父の影響で見た『スピード』(1994年)をきっかけに年間300本以上鑑賞する映画好きに。特技は映像編集
●堀江宏樹(Hiroki HORIE)
早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』など