1軍登板は4試合ながら、通算防御率1.02の椋木。「はっきり言って天才です」(お股ニキ氏) 1軍登板は4試合ながら、通算防御率1.02の椋木。「はっきり言って天才です」(お股ニキ氏)
春季キャンプからオープン戦まで、約2ヵ月の準備期間を経て、待ちに待ったプロ野球の新シーズンがついに開幕。優勝を目指して戦う各球団の最新事情や気になるトピックを野球評論家のお股ニキ氏と共に総ざらいしよう! 今回はオリックス・バッファローズ、千葉ロッテマリーンズ、福岡ソフトバンクホークスの3球団だ。

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【オリックス・バッファローズ】"絶対エース"山本由伸が抜けた先発陣で頭角を現すのは誰だ!?

山本由伸が抜けた穴をどう埋めるのか。まずは「頭角を現すうんぬんではなく、すでに別格レベル」と語る宮城大弥(ひろや)、山下舜平大(しゅんぺいた)の力量を確認しよう。

「宮城はキャンプでの実戦形式も含めれば、実質5試合16イニングを無失点。天才肌で、その投球にはダルビッシュ有(パドレス)も憧れるほど。山下はサイ・ヤング賞3度受賞のジャスティン・バーランダー(アストロズ)級の素材。カーブを過信せず、もっとフォークを活用すればさらに良くなります」

左右の二枚看板に続くのは、昨季6勝0敗でブレイクした東(あずま)晃平だ。

「東もすでにやってくれないと困る存在。宮城、山下に次ぐ3番手として10勝はしてほしい投手です」

そして、ここからがブレイクを期待したいメンバー。高卒2年目の齋藤響介、ドラ1入団の大卒組、曽谷(そたに)龍平と椋木(むくのき)蓮だ。

「齋藤はまだ時間がかかるかもしれませんが、曽谷は球に強さがあり、4番手くらいに収まってほしいですね。そして、椋木ははっきり言って天才です。1年目に右肘靱帯(じんたい)を損傷してトミー・ジョン手術を経験し、まだ1軍登板は4試合だけですが、通算防御率はなんと1.02。9回2死までノーヒットノーランの試合もありました。元の水準に戻っていることを期待しています」

加えて、中堅の山岡泰輔も山本由伸から教わったフォークを武器に今年は良さそうだという。打線にも西川龍馬が加わり、リーグ4連覇を狙う資格は十分だ。

【千葉ロッテマリーンズ】MLB挑戦を目指す"令和の怪物"佐々木朗希に期待したい成績とは!?

オフにはポスティングでのMLB挑戦を巡る騒動で物議を醸した佐々木朗希。本人の希望がかなうならば、今季が日本ラストシーズンになる可能性もある。オープン戦は3試合を投げて防御率3.00と、もうひとつピリッとしないようにも感じるが......。

「契約でもめた影響もあるかもしれませんが、今季はシーズンを通して投げるため、オープン戦序盤は少し抑え気味に投げている印象でした。案の定、オープン戦最終戦では最速162キロを投げ、5回無失点。出力をしっかり上げてきましたが、上げすぎてもいない。体を1年持たせる方向でやっていますね」

「調子が良いときはデグロム以上の、世界一の投球をしている」(お股ニキ氏)という佐々木 「調子が良いときはデグロム以上の、世界一の投球をしている」(お股ニキ氏)という佐々木
中でも、お股ニキ氏が注目する球種はフォークだ。

「これまでの佐々木のフォークは、スライドしながら落ちていく"フォースラ"気味の軌道でしたが、今季はシュート気味に変更。スライダーとの差別化を狙っていると思います」

オープン戦では最下位の阪神よりも少ない2勝しかできず、11位に終わったロッテ。だからこそ、シーズンでは佐々木がフル回転するとともに、昨季10勝を挙げた種市篤暉の奮起が必要だ。

「佐々木がケガさえしなければ、次元が違う成績を残すのはわかっていること。制球も良く、調子が良いときはMLBサイ・ヤング賞2回受賞のジェイコブ・デグロム(レンジャーズ)以上の、世界一の投球をしているわけですから。種市もワンランク上がっていますし、このふたりに期待です」

【福岡ソフトバンクホークス】威力絶大! 重量打線&盤石投手陣で4年ぶり王座奪還なるか!?

中日と同率でオープン戦優勝を果たしたソフトバンク。本塁打数、得点数はいずれも12球団1位。やはり、山川穂高とウォーカー獲得の影響は大きい。

「オープン戦では各球団のエース級でも軒並み炎上。重量打線はすごいことになっています。ウォーカーはオープン戦の本塁打王で、シーズンでも30本以上は期待できる。

山川もかなり状態が良く、フォークやスライダーで外そうとしても、泳ぎかけながら残して対応するので、打率も残しそう。40本に加えて、打率3割もありえます」

昨季は不本意な形でシーズンを棒に振った山川。新天地では早速、本塁打を量産している 昨季は不本意な形でシーズンを棒に振った山川。新天地では早速、本塁打を量産している
懸念は近藤健介を5番に置く打順だという。

「WBCでも"2番近藤"が機能したように、本塁打も打てる上に、四球も選べてつなぎもできるのが近藤の魅力。なぜそんな選手が5番なのか。

球史に残るレベルで群を抜く俊足の周東佑京(うきょう)を1番に置き、2番・近藤、3番・柳田悠岐、4番・山川、5番・栗原陵矢(りょうや)、6番・ウォーカーという打順をオススメしたいですね」

そして、倉野信次投手コーチが復帰した効果か、投手陣も復活しつつある。

「リバン・モイネロはMLBでもトップレベルで、先発に転向しても相当な成績を残しそう。同じく先発転向の大津亮介も良く、有原航平も万全。東浜巨(なお)も復活してオープン戦無失点と課題の先発陣も整備され、ロベルト・オスナ、藤井皓哉(こうや)、松本裕樹がそろうリリーフには大卒・社会人組の新人も戦力に加わりそう。不用意な配球で一発を許す悪癖を改善すれば、優勝争いの最有力候補です」

オグマナオト

オグマナオトおぐま・なおと

1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。

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