みなさん、こんにちは。野球大好き山本萩子です。

あらためて、プロ野球開幕おめでとうございます。ここ数年は出演番組の準備などもあって、開幕戦をじっくり見る機会がなかったのですが、今年は久しぶりに家のソファに腰掛けてじっくりと観戦することができました。

打球音やラッパの音色。仕事の予定もなく見るヤクルトの開幕戦はすばらしい試合でした。2024年もアツいシーズンになりそうです。

ただ、その試合の序盤にトラブルが起きました。2回裏に二塁打で出塁した山田哲人選手が、次のサンタナ選手の外野フライの間に三塁へ進塁したのですが、スライディングした際に下半身を痛めて交代してしまったのです。

昨年もシーズン序盤に離脱し、その後にチームの成績が奮わなかった嫌な記憶が蘇りましたが......試合は終盤にリードを許したものの、8回裏に5点を挙げて逆転勝利。その試合も含め、中日との3連戦を2勝1分で終えました。

試合後、山田選手の登録抹消がアナウンスされましたが、怪我の具合がとても心配です。トリプル3(打率3割・30本塁打・30盗塁)を達成した頃のイメージが強く残っていますが、最後に達成したのはもう6年も前のこと。山田選手も今年で32歳。プロ14年目を迎え、体を酷使してきた疲労の蓄積もあるでしょう。ゆっくり休んで、しっかり治してほしいです。

山田選手に代わって一軍に入った武岡龍世選手は期待の若手です。しばらくは北村拓己選手とセカンドで併用されていくと思いますが、これからポジション争いが加熱することが予想されます。

ところで、山田選手が守り続けてきたセカンドとは、いったいどんなポジションなのでしょう。個人的に歴代のヤクルトのセカンドといえば、土橋勝征さんや田中浩康さんのイメージが強いです。堅実な守備に、手堅いバッティング、一発を狙うパンチ力も兼ね備えたユーティリティプレーヤーといった感じでしょうか。

今季、大谷翔平選手が所属するドジャースでは、ライトとして6回のゴールドグラブ賞を獲得している名手のムーキー・ベッツ選手が、ショートにコンバートされました。本来ショートを守っていたのはギャビン・ラックス選手でしたが、怪我から復帰のシーズンであることや、送球面で不安を抱えていることから、昨季は主にセカンドを守っていたベッツ選手と入れ替えたという見方もあります。

1月よりも、野球の季節がやってくる2月以降のほうが「新年の挨拶」をする機会が圧倒的に多い、野球大好き山本です。 1月よりも、野球の季節がやってくる2月以降のほうが「新年の挨拶」をする機会が圧倒的に多い、野球大好き山本です。

では、セカンドというポジションの重要性はどのくらいのものなのでしょうか。もっと考察を深めたいと思います。

セカンドはファーストとの距離が短い分、送球にはより正確性が求められます。また、頻繁にベースカバーに入るため敏捷性も必要。セカンドやサードに投げる時は、腰を回転させて逆方向に投げないといけません。さらに、難しいゴロを捕球した後は、体を回転させながらファーストに送球するので空間把握能力も大事だと思います。

巨人や横浜で長く活躍された仁志敏久さんとお仕事で一緒にした時に、仁志さんの考えるセカンド論を聞かせていただいたことがあります。いわく、「セカンドほど頭を使い続けるポジションはないだろう」とのことでした。

ほかのポジションにも共通する部分があるでしょうが、配球やボールカウント、アウトカウント、試合展開などをすべて頭に入れ、1球ごとにポジションを変えたりと、見えないところでプレーの準備を続けていたそうです。地味かもしれないけど、そんな努力の積み重ねがあの華麗な守備につながったんですね。

セカンドには現在、守備で球場を沸かせる華やかな選手がいます。それは、広島の菊池涼介選手です。

NPB記録となるシーズン535補殺や守備率10割(無失策)を記録し、10年連続でゴールデングラブ賞を受賞していますが、菊池選手の魅力は守備範囲の広さと肩の強さでしょう。守備には明確な指標がないので評価が難しいところもあるのですが、菊池選手のダイナミックな守備はメジャーリーガーを彷彿とさせます。

一方で、山田選手の守備は菊池選手に比べると派手さはないかもしれませんが、打球の判断や予測がすばらしい。名人ほど難しいことを簡単に見せるといいますけど、山田選手はその域に達しているのかもしれません。

さて、武岡選手はキャンプから調子がよく、一軍でも若者らしいハツラツとしたプレーを見せてくれています。山田選手に代わって途中出場した開幕戦では、相手のワイルドピッチがあった時に三塁から思い切りよくスタートし、本塁を陥れました。紙一重のプレーでしたが、その判断のすばらしさに、近い将来に主力選手になる可能性を感じました。

今は考えたくないことではありますが、いずれ私たちは"ポスト山田問題"に直面します。その時に、武岡選手、北村選手といった若手選手が、チームを支えていく力になることは間違いありません。

セカンドは攻守で強みを発揮する選手が多いことから、「強いチームの軸はセカンドにある」という見方をしている方もいるでしょう。今年のヤクルト躍進のカギもセカンドが握っていると思うのですが......みなさまいかがでしょう。

みなさんの理想のセカンド像についても聞かせてください。それではまた来週。

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週金曜日朝更新!