オグマナオトおぐま・なおと
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。
143試合で争われるプロ野球ペナントレースは、早くも4分の1程度が終了。競馬でたとえるなら、第1コーナーを回ったばかりではあるが、開幕後に話題になったトピックや、各球団の現状を徹底分析する!【プロ野球ペナントレース"第1コーナー"ワイド②】
開幕当初は最下位スタートを切った王者・阪神だが、気がつけば首位に立ち、4月終了時点での成績は昨季よりもいいほどだ。
「球団ワーストタイの『10試合連続2点以下』を記録するなど、"飛ばないボール"の影響は阪神打線にもありました。でも、その時期を勝率5割で乗り切ったのが大きかった。チーム防御率2点台前半が示すとおり、リードを奪えば勝ち切ってしまう。昨季以上に強い印象があります」
主軸打者の森下翔太、大山悠輔は打率2割台前半、佐藤輝明に至っては打率1割台の低空飛行が続くが、それでも強い要因は何か?
「やはり打線の並びがいいです。森下、大山、佐藤は打率が低く、本塁打も増えないものの、打点は稼いでくれるので、1番・近本光司、2番・中野拓夢が出塁すれば点を奪える。加えて今季はノイジーの調子が良く、8番・木浪聖也は不調ながらも1番につなぐ仕事をするので、1番・近本が打点を稼いでいます」
では、その阪神が復調するまで、「8年ぶりの単独首位」として開幕直後のセ・リーグを盛り上げた中日はどうか?
「"飛ばないボール"の特徴をいち早くつかみ、守備的に戦っているのが中日です。広いバンテリンドームの利点もあり、好スタートにつなげました。救援陣に今も防御率0.00の清水達也、マルティネスがいるのも大きいですね」
ただ、首位だったのはわずか12日間。その後は一気に最下位にまで転落する急降下も経験した。勢いはなぜ止まってしまったのか?
「昨季と比べて何が変わったかというと、内野の守備が良くなったんです。一塁に中田翔が入り、二遊間は田中幹也と村松開人、そこに今季30歳にして調子を上げてきた高橋周平が三塁を固める布陣でしたが、その高橋が4月中旬に離脱したのが痛かった」
代わって三塁を守るカリステは打撃こそ好調だが、チーム最多の3失策だ。
「なんの因果か、村上宗隆が"飛ばないボール"に言及して飛び方が改善されたのは、高橋周平の離脱と同時期。守備重視の恩恵が薄れ、魔法が思ったよりも早く解けてしまったようです」
現在、その中日とヤクルト、DeNA、広島の順位が日替わりで目まぐるしく変わる状況だ。その中で、お股ニキ氏も「少し不気味」と語るのは一昨年の王者、ヤクルトだ。
「サンタナが打率リーグ1位、オスナも打点リーグ1位と両外国人の状態がいい。さらに、村上も今年は復調気味で、打線は相当怖い。阪神の岡田彰布監督もヤクルト戦に強い投手を当てており、かなり警戒しているようです」
シーズン前の各解説者予想ではBクラス予想が多かったDeNA、広島はどうか?
「DeNAはオースティンの離脱が痛く、いつ戻ってくるかが焦点です。あとは筒香嘉智の復帰効果がどう出るか。
広島は思った以上に投手陣がいい。先発陣は踏ん張っているし、中継ぎには今季ブレイク候補の塹江(ほりえ)敦哉がいて、抑えの栗林良吏(りょうじ)も調子がいい」
最後に、「阪神打倒の本命」と目されていた巨人の状況を見ていこう。
「昨季は投手陣が崩壊状態でしたが、立て直しに成功。そこは阿部慎之助監督の手腕でしょう。ただ、捕手の大城卓三と岸田行倫(ゆきのり)は配球面に課題があり、投手陣の力を引き出しきれていません。
また、投手陣が良くなった一方で、打撃陣が打てなくなる悪循環に陥っています。打順の組み方も効果的とは言い難く、開幕前に予想したとおり、阪神が一歩抜ける状況が続くでしょう」
*成績は5月8日時点
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。