オグマナオトおぐま・なおと
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。
143試合で争われるプロ野球ペナントレースは、早くも4分の1程度が終了。競馬でたとえるなら、第1コーナーを回ったばかりではあるが、開幕後に話題になったトピックや、各球団の現状を徹底分析する!【プロ野球ペナントレース"第1コーナー"ワイド③】
開幕前の下馬評では、4連覇を狙うオリックスと、戦力充実のソフトバンクによる2強の争いと目されていたパ・リーグ。
だが、フタを開けてみればソフトバンクが勝率7割をキープと、早くも独走の兆しを見せている。
「打率、防御率、本塁打数に盗塁数もリーグ1位。得失点差はこの時期で異例の『62』です。シーズン終了時の得失点差は200点台になることもまれですが、今の勢いが続けば300点台を狙えるかもしれません。
現状、2位以下は得失点差がすべてマイナスで、まさにひとり勝ち状態。シーズン勝率7割超えも夢ではありません」
特に打線の充実ぶりは目を見張るものがある。リーグ打率上位3傑は近藤健介、周東佑京、柳田悠岐が争い、本塁打数では山川穂高が1位に君臨。打点でも山川が他の追随を許さずトップに君臨し、2位の柳田も3位以下を大きく引き離している。
「柳田、山川、近藤のクリーンナップは言わずもがな。何がすごいって、栗原陵矢や中村晃が終盤で立て続けに代打で出てくる層の厚さ。期待されたウォーカーの調子が上がらないのは気になりますが、5番・近藤の直後を打つことが多い育成出身の川村友斗が打率を残しており、いいつなぎ役になっています」
そんなソフトバンクにも課題がある。抑えのオスナがピリッとしないことだ。
「先発は枚数がそろい、登板過多になりがちな中継ぎ陣の運用も倉野信次チーフ投手コーチがいるから大丈夫。その分、防御率3点台後半と不安定なオスナが目立ちます。年俸10億円投手だけに2軍に落とすわけにもいかないでしょう」
そのソフトバンクを追う1番手は、2年連続最下位からの巻き返しを狙う日本ハムだ。
「打線はもともと良かった上に、北山亘基(こうき)、伊藤大海、山﨑福也(さちや)、加藤貴之と先発投手がそろってきて、チーム防御率も2.65と安定。ショートで水野達稀、キャッチャーで田宮裕涼(ゆあ)が飛躍したのも大きい。どこでも守れる上に、1番打者としても、代打としても器用にこなす郡司裕也がいるのも面白いです」
3、4位のAクラス争いでは、現在ロッテとオリックスが一進一退だ。
「オリックスは新外国人のエスピノーザとマチャドがいい。さらに、私が以前からブレイク候補に挙げている曽谷龍平や齋藤響介もいい投球を見せ始めています。それでも、山本由伸と山﨑福が抜けた穴はやはり大きすぎる。
シーズン後半に仕上げてくる中嶋聡監督の手腕に期待するほかないですね。ロッテはもともと得失点差ではマイナスでも、うまくやりくりしてAクラス入りを狙うチームなので、ある意味で例年どおりです」
下位に沈むのは楽天と西武。チーム防御率は楽天がリーグ6位の3.49に対して、西武はリーグ4位の2.71。防御率1点台前半の今井達也と平良海馬(たいら・かいま)を筆頭に、先発投手の充実度はリーグ屈指といえる。結局、西武はチーム打率.203という圧倒的貧打がネックだ。
「歴史と統計が証明してきたように、野球は野手の影響力のほうが大きく、先発投手だけ集めても勝てない。そのことを再確認しました。
誰でも先発に転向させればいいのではなく、リリーフも重要で、これだけ接戦やロースコア続きなら、中継ぎ投手陣の質と量、そして、マネジメントが必要不可欠。
また、これまで絶対的存在だった源田壮亮や外崎(とのさき)修汰ですら今季は動きに陰りが見えるので、豊富な投手を放出し、手薄な野手を獲得するトレードも検討したほうがいいと思います」
*成績は5月8日時点
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。