秋春制で行なわれるサッカーのリーグ戦、カップ戦は今がまさにクライマックス! アジア&欧州の王者が決まる運命の決勝戦を前に、番記者やスポーツライター、熱狂的サポーターがその見どころを語り尽くす!【サッカー天王山ワイド①ACL編】
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5月11日、5万3000人を超える観衆が詰めかけたACL(AFCチャンピオンズリーグ)決勝第1戦でアルアインFC(UAE)に逆転勝利を収めた横浜F・マリノス。
ACL初制覇を目指すクラブの現状を、マリノス番記者を務めるスポーツ報知の岡島智哉記者に語ってもらおう。
「『リーグ戦に集中できない』という意見もあるなど、ACLはJリーグサポーターから下に見られがちな大会ではあります。マリノスもこれまでなかなか勝てなかったからこそ、そういう反応のサポーターが多かったかもしれませんが、第1戦の勝利で変わったと思います。ACLという大会のすごみをクラブもサポーターも再認識したはずです」
ホームの第1戦では、前半の立ち上がりに失点したものの、後半に2ゴールを奪い、逆転勝利。超満員の日産スタジアムは沸きに沸いた。
「植中朝日選手が同点弾を叩き込んだ瞬間、スタジアムの空気が一気に爆発し、『これは勝ち越すな』と直感しました。スタジアムが勝たせたというと大げさかもしれませんが、そのくらい選手たちを後押しする大声援でした。マリノスというクラブが新しいステージに進む、大きな一歩になった90分だったと思います」
5月25日(現地時間)に敵地UAEで第2戦が行なわれる。第1戦で会心の勝利を飾ったマリノスだが、選手たちに慢心はないという。
「あくまでも"前半90分"が終わっただけですからね。渡辺皓太選手の勝ち越しゴールが決まった後は、ベンチも喜びを爆発させていましたが、試合終了後はどの選手も次の試合に向けて気持ちを切り替えていたのが印象的でした。
中東のチームはホームだとめちゃくちゃ強い。アルアインは勝たなければいけないので、戦い方も、選手の目の色もまったく変わるでしょう。第1戦と真逆の展開が起こりうることを想定し、対応してもらいたいです」
運命の第2戦、マリノスのキーマンは誰なのか?
「宮市亮選手です。第1戦では後半途中に投入され、完全に試合の流れがマリノスに傾きました。アルアインとしても確実に嫌な印象を持ったと思います。アウェーで大勝できるとは思えないですし、最後までどうなるかわからない展開になるはず。
またジョーカーのような起用になるでしょうが、宮市選手ならどんなシチュエーションでもやってくれると思います」
そして、「宮市選手がラッキーボーイ的な存在になるのでは」と岡島記者は続ける。
「第1戦、マリノスの1点目は宮市選手の縦パスが起点となり、2点目も彼のシュートがゴールとは違う方向へ飛んだものの、結果的に渡辺選手が詰めて得点につながりました。短期決戦ではラッキーボーイ的な存在が大事ともいわれますが、彼にいい風が吹いている気がします」
ホームで先勝し、アウェーで"後半90分"を戦うのは、2018年にACLを初制覇した鹿島アントラーズと同じ状況だ。実は岡島記者、その歓喜の瞬間にアントラーズ番記者として居合わせていた。敵地イランでの体験は、強烈な思い出として今も記憶に残っているという。
「街中を歩いていると、相手サポーターから『3-0で勝つ』とジェスチャーであおられたりもしましたが、鹿島が結果を出してくれて、とても誇らしい気持ちになりました。また、クラブ関係者の方々がうれし涙を流していた光景も忘れられません。
優勝すれば、間違いなくクラブの歴史が変わります。決勝第2戦はDAZNで無料配信されることも決定しました。日本では深夜の時間帯ですが、ぜひ見られる方は見てほしいですね」