無敗記録を樹立するなど、欧州サッカーシーンを席巻するレバークーゼンのアロンソ監督 無敗記録を樹立するなど、欧州サッカーシーンを席巻するレバークーゼンのアロンソ監督

秋春制で行なわれるサッカーのリーグ戦、カップ戦は今がまさにクライマックス! アジア&欧州の王者が決まる運命の決勝戦を前に、番記者やスポーツライター、熱狂的サポーターがその見どころを語り尽くす!【サッカー天王山ワイド③UEL編】

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最後は、欧州カップ戦出場クラブにおける公式戦連続無敗記録を50試合まで伸ばしているレバークーゼンについて。今季はUEL(UEFAヨーロッパリーグ)でも勝ち進み、5月22日(現地時間)にはアタランタBC(イタリア)との決勝戦が控えている。シャビ・アロンソ監督率いるこのクラブの強さの秘密を、ミムラユウスケ氏が解説する。

「昨季途中にアロンソが就任してからはさまざまなフォーメーションを試していましたが、今季は3-4-3をベースにしながらも、WB(ウイングバック)の役割を試合ごとに変えるなど、チームとしての完成度が高まりました。何よりも選手たちがうまくなっているんです。アロンソ自ら練習に参加して教え込むことで、選手たちが成長を遂げています」

戦術面では、どのような特徴があるのか?

「プレッシャーを受けても、相手を引きつけてパスを通せるのがレバークーゼンの強みです。パスコースをいかにつくるか、プレッシャーを受けながらいかに視野を確保するか、という技術を教えるのがアロンソはうまいのだと思います。

ディフェンスラインの選手が後ろ向きにボールを持たされ、GKにバックパスで戻すしかないような場面でも、相手のプレッシャーをかいくぐり、味方のボランチにボールをつなぐシーンがよくあります。

前に出てきた相手を出し抜いてパスをつなぐ"疑似カウンター"ですね。勢いよくプレッシャーをかけにくる相手を剥がすことで、チャンスが生まれます」

4月後半には3試合連続で後半終了間際に同点弾を叩き込んで無敗をキープ。劇的な展開が多いのも特徴だ。

「今季公式戦ではアディショナルタイムで15ゴールを記録。初優勝を達成したリーグ戦では、第33節終了時点で2位バイエルン・ミュンヘンとの勝ち点差は15ですが、もしアディショナルタイムでの得点がなければ、勝ち点差は6。驚異的な勝負強さですよね」

技術指導をするアロンソ監督(中央)。現役選手顔負けのキック精度がSNSでも話題に 技術指導をするアロンソ監督(中央)。現役選手顔負けのキック精度がSNSでも話題に

結果を残し続けるアロンソをビッグクラブは放っておかないが、当の本人は3月末に来季の残留を明言している。

「シモン・ロルフェスGMと一緒にチームづくりに携わっている影響も大きいと思います。編成方針にも彼の意見が反映されているようですから。

若い選手だけではどうやって成長すればいいかわからないので、経験豊富なベテランを獲得すべきだと進言し、今季開幕前には、共に30歳を超えているグラニト・ジャカとヨナス・ホフマンを補強。レギュラークラスのベテランを連れてきたことで有望な若手も成長し、チームの完成度が高まりました」

すでに来季のCL出場が確定しているレバークーゼン。今季はELを勝ち抜き、来季はCLを制覇するという夢の展開もありうるのだろうか?

「可能性は十分あると思います。"ブンデスリーガ史上最強チーム"とうたうドイツメディアもありますから。それに来季からCLのフォーマットが大幅に変わり、組分けに左右されることが少なくなるようなので、チャンスはあるのではないでしょうか」