オグマナオトおぐま・なおと
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。
今年で19回目を迎えるプロ野球セ・パ交流戦が5月28日に開幕する。対戦相手が変わり、流れも変わる約1ヵ月の熱き戦いを思う存分楽しむために押さえておくべきキーポイントを一挙紹介!【プロ野球交流戦はここを見逃すな!①】
交流戦がスタートした2005年から2019年までの15年間はパが14勝1敗と圧倒し、一時は「パ高セ低」とまで呼ばれたが、ここ数年はセが反撃。2021年、2022年と連続で勝ち越し、昨季はパに負け越したものの、勝率1位に輝いたのはDeNAだった。
また、昨季交流戦はセの投手陣の奮闘が目立った。防御率上位10傑のうち7人がセの投手で、髙橋宏斗(中日)と才木浩人(阪神)に至っては防御率0.00を記録。
本誌おなじみの野球評論家、お股ニキ氏は、「2019年頃まではパの投手が優秀でしたが、最近はセの投手のほうがハイレベル」と以前から語っていたが、数字で証明されたカタチだ。お股ニキ氏が言う。
「もはや格差はありません。そもそも、各リーグの6球団がどこもずっと同じ野球をしていると思い込みすぎ。リーグごとに多少の傾向はあるものの、年代ごと、シーズンごとに勢力図は変わります」
では、今季の傾向は?
「ソフトバンクが投手力、打力、守備力すべてでずばぬけていて、次のグループが阪神、巨人、日本ハムです。日本ハムはソフトバンクの陰に隠れていますが、今季は開幕からしっかりと貯金をつくっており、チームとしての成長を感じます」
ソフトバンクに次ぐ戦力を持つ球団として、セで名前が挙がったのは阪神と巨人だ。セは現在、1位から6位まで5ゲーム差ほどの大混戦状態が続いているが、「原因のひとつは阪神と巨人の2球団がピリッとしないこと」とお股ニキ氏は分析する。
「投手陣はいいのに野手があまり打てず、守備もかつての不安定さが出てきてしまい、僅差でしか勝てないのが今の阪神です。接戦が続くため、ハビー・ゲラと岩崎優のダブル守護神に依存しすぎで、中継ぎ陣も登板過多。
鍵を握るのは桐敷拓馬と島本浩也の両左腕ですが、明らかに使いすぎ。投手の駒は豊富ですが、負担をうまく分散できないとシーズン終盤の大事な場面でへばってしまう危険性もあります」
お股ニキ氏が対抗馬と注目する巨人はどうか?
「投手陣はいいですし、内野守備は12球団随一だと思います。ただ、巨人もやっぱり打線が打てず、なかなか波に乗れません」
現在、その阪神、巨人とAクラス争いを演じるのが広島カープだ。
「広島も投手陣が頑張っています。チーム防御率は阪神が2.33、巨人が2.33、広島が2.31とほぼ互角。"飛ばないボール"の影響もあり、今季のプロ野球はいかに点を取られないかを競うゲームになっているといえます」
残りの3チーム、DeNA、ヤクルト、中日も見ていこう。
「この3チームはいずれも采配面に課題を抱えています。阪神、巨人、広島も含め、セは総じて打線が弱いですが、唯一、ヤクルトだけは強力。
ただし、投手陣、特にリリーフ陣の状態が悪く、2年目の吉村貢司郎とルーキーの松本健吾という若手コンビに期待するしかありません。中日は二塁手の田中幹也を中心に守備は堅いものの、やはり打線が打てないので、先発陣が頑張らないと厳しいです」
それでも、「"混セ"は続く」とお股ニキ氏は予想する。
「セのどの球団も、中畑清さんが監督を務めた2015年のDeNAのように、『交流戦でパに大きく負け越して一気に順位を落とす』という展開が起きるとは考えづらい。差が開かない展開が続くのではないでしょうか」
*成績は5月21日時点
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。