工藤公康元監督が率いた2019年に通算8度目の交流戦勝率1位を飾ったソフトバンク 工藤公康元監督が率いた2019年に通算8度目の交流戦勝率1位を飾ったソフトバンク

今年で19回目を迎えるプロ野球セ・パ交流戦が5月28日に開幕する。対戦相手が変わり、流れも変わる約1ヵ月の熱き戦いを思う存分楽しむために押さえておくべきキーポイントを一挙紹介!【プロ野球交流戦はここを見逃すな!②】

■歴史的大記録も視野に入る強さ

コロナ禍以前に15度開催された交流戦で、勝率1位に12球団最多8度も輝いたソフトバンク。

直近3年間は交流戦、リーグ戦共に頂点に立てなかったが、今季はその絶対王者ぶりが復活。リーグ戦では驚異の勝率.737を記録するほか、チーム防御率(1.98)、打率(.266)、本塁打数(29本)、得失点差(+93)など、圧倒的な成績を残している。お股ニキ氏が言う。

「今季のソフトバンクは、強力打線が加点し、盤石先発陣が抑えて鉄壁リリーフ陣につなぐなど、まったく隙がない。無失点負けはわずか2試合で、6回時点でリードしていたら、ほとんど勝利。DH制のパであることを考えれば、チーム防御率1点台がいかにとてつもない数字かわかるでしょう」

選手層の厚さだけでなく、首脳陣の充実ぶりも、その強さに拍車をかけている。

「以前なら、投手を使いすぎてケガがちになり、後半戦で調子を落とすのがパターンでしたが、今季は投手運用に長けた倉野信次コーチが現場に復帰したため、その不安もほぼなくなったといえます」

交流戦でもソフトバンクの勢いは止まらないのか?

「今季は"飛ばないボール"の影響もあり、投手陣がいいとなかなか負けません。本来は点取りゲームであるはずの野球ですが、いかに失点しないか、投手力や守備力、配球などがより問われています。

その文脈でも、ソフトバンクが圧倒的に優れています。野手の守備力も高く、どのポジションも穴がない。阪神、巨人も確かに投手陣はいいですが、打力の点でソフトバンクにはまったく及びません」

ソフトバンク打線に弱点はないのか?

「以前はチェンジアップとフォークの組み合わせを苦手にしていましたが、それも今は克服。ここ数年、山本由伸(ドジャース)の対策をした結果、速いスプリットを拾えるようになっています」

投打どちらも穴のないソフトバンクだが、セの球団にとって、どの球場で対戦するかがカギを握るという。

「ソフトバンクは本拠地(現名称:みずほPayPayドーム福岡)で異常に強い。昨年のリーグMVPである村上頌樹(しょうき/阪神)でさえ、オープン戦で8失点しました。

調子を上げている山﨑伊織(巨人)が東京ドームで投げたり、好調の髙橋宏斗(中日)がバンテリンドームで投げたりするなら、ソフトバンク打線を抑える可能性も多少は高まるのでは」

日程を見ると、ソフトバンクの本拠地で戦うのは広島、ヤクルト、阪神の3球団だ。

「阪神投手陣では、大竹耕太郎が古巣相手にひょうひょうと投げて抑える姿を期待したいです。今季の傾向を踏まえると、左腕のほうがソフトバンク打線は弱いと思います」

ソフトバンクが開幕からの勢いそのままに交流戦も突破すれば、その後は勝率をどこまで維持できるか、という注目点も生まれてくる。

1955年以降、シーズン勝率7割超えを記録したチームは存在しないだけに、いかに今のソフトバンクが歴史的な強さか、という証明にもなるはずだ。

「116勝したシアトル・マリナーズ(2001年)や、114勝したニューヨーク・ヤンキース(1998年)級の強さなので、シーズン143試合制での100勝も夢ではないかもしれません。1980~90年代にかけての西武黄金期でも、勝率は高くて6割5分台なので、それ以上を目指してほしいです」

パを独走するソフトバンク・小久保裕紀監督。このままいけばシーズン100勝も夢ではない!?

*成績は5月21日時点

オグマナオト

オグマナオトおぐま・なおと

1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。

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