選手なら誰もが避けられないことだけど、やっぱり寂しいね。長く日本サッカーに貢献してくれて、心からお疲れ様と言いたい。
日本代表でも長く活躍した長谷部誠(40歳)と岡崎慎司(38歳)、ふたりのレジェンドが現役を引退した。
長谷部は日本代表として114試合に出場。長くキャプテンを務めた。また、ブンデスリーガでは外国籍選手として歴代2位タイの384試合出場。どちらもとんでもない数字だ。
ただ、彼はカリスマ的なスターという感じではなかったよね。そのキャリアも順風満帆ではなかった。浦和にいた頃はトップ下やボランチだったけど、ドイツに移籍して以降は本職ではない右サイドハーフや右サイドバックを任されることも多かった。
その後、フランクフルトでリベロとしての才能が開花。たとえスピード、高さでかなわなくても、献身的なプレーやポジショニングの良さでそれを補ってきた。
また、長谷部といえばリーダシップ。真面目な性格で、日本代表でもチームメイトをよくまとめていたけど、その人間性がドイツでも高く評価されたのは、勤勉な国民性の日本的には自信になる。
僕も日本では外国人の立場だからよくわかるけど、外国籍の選手が引退しても残ってくれとクラブから言われるなんてなかなかないよ。"ただの選手"ではなかった証拠だ。
来季からはフランクフルトで育成年代の指導に当たるという。今や欧州のトップリーグでプレーする日本人選手はたくさんいるけど、指導者は見当たらない。だから、個人的にはこれから経験を積んで、トップチームの監督として勝負する姿を見てみたい。あるいはGM的なポジションでもいい。そして、いつか日本に戻ってきて貴重な経験を還元してほしいね。
一方の岡崎も素晴らしい数字を残した。日本代表として119試合に出場。50得点は釜本(邦茂)さん、カズ(三浦知良)に次ぐ歴代3位。クラブでも欧州4ヵ国(ドイツ、イングランド、スペイン、ベルギー)でプレーした。
彼は記録にはもちろん、記憶にも残る選手だ。
まず印象深いのはレスター時代のプレミアリーグ優勝(2015-16シーズン)。"ピアノをかつぐ選手"として攻守に走り回った。ファンにも愛された。歴史に残る下克上を遂げたチームにあって、岡崎にしかできない貢献の仕方をしたよね。
そして、岡崎といえばダイビングヘッド。ゴン(中山雅史)か岡崎かといった感じで、クロスに頭から猛然と突っ込む。
2009年のW杯最終予選ウズベキスタン戦、日本の南アフリカW杯本大会行きを決めたゴールは今でもよく覚えているよ。相手DFと競り合い、体勢を崩しながら左足でシュート。これはGKに防がれるも、その跳ね返りをダイビングヘッドで押し込んだ。
彼の母校である滝川第二高校には指導で何度も訪れたことがあるんだけど、あんな硬い土の練習グラウンドでなぜダイビングヘッドが得意になったのか。不思議で仕方ないよ(笑)。
岡崎は背も高くないし、ずば抜けた技術やスピードがあるわけでもない。いわば目に留まりにくい選手。苦労も多かっただろう。それでもこれだけのキャリアを築けたのは本人の努力あってこそ。
今後はどういうキャリアプランを描いているのかわからないけど、やはり指導者としてその貴重な経験を日本サッカーに還元してほしい。選手のときとは違った形で盛り上げてくれることに期待したい。