オグマナオトおぐま・なおと
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。
良くも悪くも流れが変わり、今年もさまざまなドラマが生まれたプロ野球交流戦。3週間の激闘で生じた数々の"異変"を野球評論家のお股ニキ氏と共に振り返る! 【プロ野球 交流戦"異変"ワイド・第3回】は広島、ロッテ、楽天。*成績は6月11日時点
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交流戦でセ・リーグ首位に浮上した広島。大瀬良大地のノーヒットノーラン達成も話題になったが、お股ニキ氏は好調の要因として、球界屈指の先発3本柱の存在を挙げる。
「大瀬良は外いっぱいに投げ切る制球力に加え、そこからキュッと曲がるカットボールを生かすことで完全復活。さらに、床田寛樹、森下暢仁(まさと)の先発3本柱がそろって防御率1点台と盤石。中継ぎの塹江(ほりえ)敦哉、抑えの栗林良吏も安定感抜群です」
チーム防御率は広島と阪神が2点台前半でほぼ同じだが、失点数は広島が約30点も少ない。
「その要因は守備力。小園海斗をサードに、曲芸的な守備が魅力の矢野雅哉をショートに固定。セカンドの菊池涼介を含めた内野陣は堅いです」
また、西川龍馬(現オリックス)が抜けた攻撃陣も、そこまで停滞している印象はない。
「末包昇大(すえかね・しょうた)の存在が大きい。コツコツと当てるのがうまい左打者が並ぶ打線の中で、貴重な右の大砲。今後、球界を代表する打者になるのでは」
ロッテは5月中旬から15戦負けなし、19年ぶりの11連勝を達成。だが、得失点差では約20点のマイナス、交流戦防御率は12球団ワースト。ロッテはなぜ負けないのか? お股ニキ氏はこう語る。
「巨人戦での18失点が響いて見かけの数字が悪いだけ。やるべきことを細かくやっているから戦力の割に強く、負けていてもいつの間にか追いつき、引き分けやサヨナラ勝ち、延長での勝利が多い。ロッテはもともと『得失点差の割に勝つ球団』ですが、今季は戦術的にさらに進化しています」
"戦術的進化"とは?
「守備シフトはカウントごとに細かく切り替える、盗塁やバントは得意な選手に任せて確率を高める、打者は粘っこく球数を投げさせて相手投手を疲弊させるなどを徹底。さらに、メジャー経験者の吉井理人(まさと)監督を筆頭に、コーチ陣もデータ活用の意識が高い。データマンが優秀なのも大きいです」
今年の交流戦を盛り上げた楽天だが、交流戦直前のソフトバンクとの2連戦では「0-33」と歴史的惨敗を喫していた。交流戦で快進撃を果たした要因は「配球面」とお股ニキ氏が語る。
「速球が得意な打者に速球を、変化球が得意な打者に変化球を多く投げるなど、配球は以前から疑問視されていました」
実際、今年4月にはエース格の早川隆久が2度も5失点し、捕手の太田光に対して、「自分は要求された球を投げた」と批判して物議を醸した。
「ただ、配球はすぐ改善できる部分でもある。6月のチーム防御率は2点台ですし、早川と太田も和解し、交流戦で好投。確実に成果が出ています。
また、辰己涼介、小郷裕哉(おごう・ゆうや)、小深田大翔(こぶかた・ひろと)ら、コツコツと当てるのがうまい"横振り"の左打者が多く、"飛ばないボール"の今季はライナー狙いに徹したほうが勝てる確率も上がる。この点は広島が好調なのと同様です」
1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。