サッカーW杯北中米大会アジア2次予選の残り2試合を完勝で締めくくった、サッカー日本代表DFの板倉 滉。つかの間のオフを満喫すると思いきや、6月23日、自身が立ち上げた社会貢献活動"Ko creation project"(略称KCP)の第4回イベント"最滉祭(さいこうさい)"を長野市で開催。

「日本の各地を回って子供たちに夢を。和食の素晴らしさも広めていきたい」

ちょうど1年前、決意表明した板倉が今度は信州の地で大活躍。そんな彼の一日に密着、そして独占インタビュー。揺るがない熱い思いを聞いた。

中学生とのガチ試合でプレーする板倉

■女子プロ選手との混合チームで中学生とガチ対決

6月23日、長野Uスタジアム。"晴れ男"を自認する板倉のイベントにしては珍しく、朝からあいにくの雨。しかし、集まった小学生210人は悪天候をものともせず、ミニゲーム大会(4分間×10試合)で大いに躍動。そんな姿に板倉は感心していた。

「子どもって純粋で、全力をぶつけてきてくれる。今までどのイベントもそうでしたけど、今回の長野県の小学生たちはレベルが高くてびっくりしましたね。特に5~6年生なんてスピードもあって、激しくスライディングしてきて、ガツガツした一面も見せてくれたし」

「それと、いい意味で"我が強いプレー"を出せる子が多いという印象も受けました。『俺がボールを持つんだ!』っていう。『パスなんか出さないぞ』って。自分も小さい頃はそんな感じだったし、そういうスタンス、好きです」

小学生とのミニゲームを板倉は楽しんでした

小学生とのミニゲームに続いて、地元の中学生とは前後半15分ずつの"ガチンコ"試合を実施。前回の金沢イベント(5月26日)から導入した企画だが、この日も熱戦を繰り広げた。

「中学生はさらにすごかったです。攻撃の組み立て方もなかなかだったし、カウンターなんて相当素早かったですからね。あきらめずに粘ってボールを奪いに来る姿勢も評価したいです」

「長野県はスポーツで地元を活気づけようという方針だそうで、小中学生の一生懸命な姿を見て納得がいきました。この長野Uスタジアムも非常に立派な造りをしていますしね」

中学生とのガチ試合にはAC長野パルセイロ・レディースの選手5人が参加。板倉が率いるチーム板倉との混合チームはユニークだった。

「みなさん、オフシーズンであるにもかかわらず、休みを返上して手伝ってくれたんです。本当にありがたかったです。やっぱり、参加してくれた小中学生の中には当然ながら女の子もいて、将来はWEリーグ、さらにはなでしこジャパンで活躍したいと夢見ているだろうから、プロと対戦できるのは貴重な機会だと思います。それに、男女のプロサッカー選手が一緒にチームを組んで試合をすることなんてほとんどないですし、これは面白いなぁって」

足を痛めた小学生に声をかける板倉

豪華ゲストはピッチ上だけではない。イベントの司会進行は『ラブ‼Jリーグ』(テレビ朝日)などで知られるテレビ朝日アナウンサーの三谷紬(みたに・つむぎ)さんが務めた。

「三谷さんにも感謝です。雨の中、嫌な顔ひとつせずに子どもたちにも優しく接してくれて。なによりご自身もサッカーに精通されているから、司会の進め方が的確でしたね。メリハリもきかせて、僕との掛け合いもリードして下さったから、本当に助かりました」

ミニゲーム後の板倉は常に子供たちに囲まれ、コミュニケーションを楽しんでいた

■板倉専属シェフによるプロデュース弁当は瞬く間に完売!

和食の素晴らしさを広め、開催地の地元食材の伝播に努めるのもKCPの大きなテーマ。今回もまた、板倉の専属シェフである池田晃太氏監修のもと、長野県の特産品であるきのこを使った『骨太弁当』が当日限定で販売、あっという間に売り切れとなった。

「長野県はきのこの生産が盛んだということで、地元の飲食店さんとのコラボで炊き込みご飯を作ってもらいました。きのこは食物繊維やビタミン、ミネラルが多いし、カルシウムやたんぱく質が豊富なしらすと組み合わせると骨を強くできるってことで『骨太弁当』という名前にしました」

「前回の金沢でも、僕が試合前に食べるようなメニューを地元の食材で再現したオリジナル弁当がおかげさまで好評だったから、今回もまた池田さん監修でやりたいなって。お昼休憩の時に僕も食べましたけど、すごくおいしかった。200食が即完売だったと聞いたので、今後も全国各地で地元飲食店とのコラボ企画"板倉弁当"は続けていくつもりです」

板倉はスタンドに集まった子供たちの保護者やファンへの挨拶も欠かさない

回を重ねるごとにスケールアップしているKCPのイベント。世界を相手に戦う現役の日本代表選手が同じ目線に立ち、一緒になって楽しむ。子供たちの目の輝き、親が感嘆する姿がなんともほほえましい。今後は、どのようなビジョンを描いているのだろう。

「これまでの神奈川、宮城、石川、そして長野と、行く先々でいろんな子供たちと出会ってきて、やっぱりかわいいなと。自分は子供が好きなんですよね。一緒にサッカーしてて心底楽しい。無邪気にサッカーに熱中する子たちとじかに接する機会なんて滅多にないことだから、新鮮な気持ちにもなれます」

「短い時間ではあるけれど、子供たちには僕と一緒に過ごす時間でなにか感じてもらえたらうれしいです......。と、言いながら、僕の方が毎回子どもたちからエネルギーをガッツリもらっているんですが(笑)。この長野でも元気をもらえたので、そろそろ次のシーズンに向けて準備を始めようと思います」

「KCPのイベントは社会貢献活動ですから、そこはぶれることなく、よりいっそうバージョンアップさせていきたいですね。とにかく、子どもたちには笑顔を、日本の各地域には食を通じて活性化をもたらすべく、また新しいアイデアをじっくりと考えていきたいです」

インタビューにて、イベントの内容を振り返る板倉

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