山本萩子やまもと・しゅうこ
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン。
みなさんこんにちは、野球大好き、山本萩子です。
先日、この連載の担当さん(40代男性)とお話をしていた時に、王貞治さんと長嶋茂雄さんの話題になりました。担当さんも私も、王さんと長嶋さんの現役時代は知りませんが、「それでも『ON砲』という言葉が今でも残っているのはすごいよね」と。
巨人が国民的人気を誇っていた当時、王さんと長嶋さんが2人揃ってホームランを打った試合の翌日の新聞には「ON砲」という言葉が紙面を大きく飾ったそうです。「ON砲」と略されたのは、おそらくですが、限られた紙面を有効に使うためだったのではないかと推測できます。しかし、そのキャッチーな呼び方は次第に市民権を得て、ONといえば「王・長嶋」を指すようになりました。
余談ですが、主力選手が2人そろってホームランを打つのを「アベックホームラン」と言いますが、これはアベック(フランス語)とホームラン(英語)を組み合わせた和製英語だそうです。「アベックアーチ」という呼び方もありますね。
ONの話に戻りますが、そのように頭文字で略されてもみんなに通じるくらいのスター選手が同時に2人いたということ。どちらも素晴らしい成績を収めたのはもちろん、個性的でキャラも立っている。2人が活躍することでファンは喜び、スポーツ新聞の売上げも上がったことでしょう。
ただ、私がメジャーリーグに関する番組をやっていた時も、「アベックホームラン」という言葉を使う機会は滅多にありませんでした。使う場合は、どちらも4番を打てるような"大砲"が2人いるチーム、今のメジャーでいえば、ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手とジャンカルロ・スタントン選手のような2人がそろい踏みしたときに、「アベックホームラン」と言っていたような気がします。
日本ハム時代の大谷翔平選手と中田翔選手も「ON砲」と呼ばれていましたね。ちなみに中田選手は、巨人に移籍したあとも岡本和真選手とONコンビを組むことに(笑)。選手の頭文字をとってあだ名をつけるのは、昔からスポーツ新聞の"お家芸"ですね。2000年代後半に活躍した阪神のリリーフ陣がJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)と名付けられていたのも記憶に新しいです。
最近、私が注目しているのは各チームの「OS砲」です。阪神ファンの方なら大山悠輔選手と佐藤輝明選手、巨人ファンの方なら岡本選手と坂本勇人選手を思い浮かべるでしょう。DeNAファンの方なら、移籍もあったので少し古いかもしれませんが、(タイラー・)オースティン選手と(ネフタリ・)ソト選手でしょうか。
私の正解は、我がヤクルトの(ホセ・)オスナ選手と(ドミンゴ・)サンタナ選手。6月12日のソフトバンクとの交流戦では7回にそれぞれソロホームランを放ち、見事に「アベックホームラン」を達成しています。
2人は新たに来季からの3年契約を結んだばかりですが、このOSコンビの活躍がなかったら、チームは低迷していたかもしれません。サンタナ選手は打率リーグ1位(.313。7月3日時点、以下同)、オスナ選手は13位(.252)。ホームラン数もサンタナ選手が11本で3位、オスナ選手が10本で5位と、彼らの活躍がシーズン後半に向けても重要になることは間違いありません。
もちろん、OSの活躍だけでは足りません。ヤクルトは本塁打や得点などはリーグトップですから、投手陣の巻き返しに期待したいです。ただ、これから夏の過酷な試合が待っていますし、主砲の村上宗隆選手、長岡秀樹選手など打線のさらなる奮起も祈りたいところです。
個人的には、山田哲人選手の打棒爆発を願ってやみません。OSコンビに、山田選手の背番号1を追加した「OS-1」で、つらい夏場を乗りきってほしいと思います。
今週もおつき合いいただき、ありがとうございました。また来週お会いしましょう。
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン。