福西崇史ふくにし・たかし
1976年9月1日生まれ 愛媛県新居浜市出身 身長181cm。1995年にジュビロ磐田に入団。不動のボランチとして黄金期を支える。その後、2006年~2007年はFC東京、2007年~2008年は東京ヴェルディで活躍。日本代表として2002年日韓ワールドカップ、2006年ドイツワールドカップにも出場。現役引退後は、サッカー解説者として数々のメディアに出演している
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。
そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!
第100回のテーマは、パリ五輪日本代表メンバーについて。7月3日にパリ五輪に臨むU-23日本代表メンバー18人が発表された。OA枠なしや松木玖生の落選など、さまざまなトピックがあるなかで、福西崇史が「現時点でのベスト」と語る五輪代表メンバーについて解説する。
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7月3日に日本サッカー協会からパリオリンピック2024に臨む日本代表メンバー18人が発表されました。オーバーエイジ(OA)枠を使わず、久保建英や鈴木唯人、鈴木彩艶ら事前に招集ができないとわかった選手たちがいない中で、先日のU-23アジアカップのメンバーを中心に各ポジションを3人の選手で回していくようなイメージの選考になったと思います。
メンバーは以下、18名
GK:小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)、野澤大志(FC東京)
DF:半田陸(ガンバ大阪)、西尾隆矢(セレッソ大阪)、関根大輝(柏レイソル)、木村誠二(サガン鳥栖)、高井幸大(川崎フロンターレ)、大畑歩夢(浦和レッズ)
MF:川崎颯太(京都サンガF.C.)、山本理仁(シントトロイデンVV)、藤田譲瑠チマ(シントトロイデンVV)、荒木遼太郎(FC東京)、三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)
FW:藤尾翔太(FC町田ゼルビア)、斉藤光毅(ロンメルSK)、細谷真大(柏レイソル)、平河悠(FC町田ゼルビア)、佐藤恵允(ヴェルダー・ブレーメン)
バックアップメンバー
GK:佐々木雅士(柏レイソル)
DF:鈴木海音(ジュビロ磐田)
MF:佐野航大(NECナイメヘン)、山田楓喜(東京ヴェルディ)
アジアカップの23人を中心に、五輪に登録できる18人に絞る中で、各ポジションで1人ずつ削ったイメージになりました。ゴールキーパーに関しては鈴木が呼べないため、この2人しかいないでしょう。DFに関してはセンターバックでは鈴木海音、サイドバックでは内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が溢れた形になりました。
中盤では松木玖生(FC東京)の選外は意外でした。実力的に外れるような選手ではないですが、移籍絡みということで仕方ないでしょう。田中聡(湘南ベルマーレ)も他とは違った持ち味のある選手でしたが、中盤中央の3枠には入れませんでした。
選ばれた藤田、山本、川崎の3人は、藤田と山本のダブルボランチ、アンカーに藤田や川崎を置いて、インサイドハーフを2人置くなど、色んな形に対応できるバランスの良い3人だと思います。
サイドのウインガーには右に三戸、平河、左に斉藤、佐藤の4人。アジアカップには招集できなかった三戸と斉藤でしたが、6月のアメリカ遠征で改めて影響力の大きさを示し、メンバー入りしました。
ここは個の力で局面の打開を担うポジションで、試合の流れを変えたいときの大事な攻撃カードになります。そういった意味でも4人と多めに置いておきたい意図があるでしょう。セットプレーのキッカーとして強みのある山田楓喜でしたが、より局面打開の力を優先したことでバックアップメンバーになったと思います。
前線ではトップ下あるいはインサイドハーフに荒木、トップには藤尾と細谷の3人。トップの細谷を中心に、体が強く、走れる藤尾と2トップに組ませたり、トップ下に荒木を置いてゲームメイクさせたり、ここも想定する色んな形に対応できるメンバーだと思います。
OAについては、呼べるならば呼びたかったと思います。それでもアジアカップで厳しい戦いを勝ち抜いたことでチーム力はずいぶん上がりました。大岩剛監督はたとえOAが呼べなかったとしても、十分に戦えるメンバーだと想定できたと思います。
そのOAには遠藤航や谷口彰悟、町田浩樹といった守備的な選手の名前が上がっていました。もちろん、彼らの守備能力、経験値というものはチームに大きな影響を与えるし、呼べるに越したことはないと思います。
ただ、守備は連携も大事なポジションです。呼べたとしても試せる場は7月17日のU-23フランス代表との親善試合と、直前に組む練習試合くらいでしょう。そうと考えると、アジアカップを通して、組織力を作り上げたこのメンバーを大岩監督は信頼していると思います。
改めてこの18人は、状況に応じて柔軟に対応できるチーム力で戦えるメンバーで、現時点でのベストと呼べるチームだと思います。
17日のフランス戦には、本番の初戦のメンバーでいくと思います。開催国のフランスは、OAにアレクサンドル・ラカゼット(リヨン)、ジャンフィリップ・マテタ(クリスタル・パレス)を呼ぶなど、前線の強力なタレントを擁する強豪国。五輪のレベルを肌感覚で感じられる一戦になると思うので、日本がどんな戦いを見せてくれるのか楽しみです。
1976年9月1日生まれ 愛媛県新居浜市出身 身長181cm。1995年にジュビロ磐田に入団。不動のボランチとして黄金期を支える。その後、2006年~2007年はFC東京、2007年~2008年は東京ヴェルディで活躍。日本代表として2002年日韓ワールドカップ、2006年ドイツワールドカップにも出場。現役引退後は、サッカー解説者として数々のメディアに出演している