熱い戦いが続く甲子園。試合だけでなく、気温の高さもまさに異常としか言いようがなく、そんな暑さの中で戦う球児たちの健康が心配になります。

ここ数年の夏の気温上昇には驚くばかりで、先日、神宮球場のナイターを観に行ったのですが、ひと昔前は夏の神宮といえば、夕暮れと共に球場を吹き抜ける風が気持ちよく感じたものです。しかし今は蒸し暑さのほうが際立っていて、ひたすらビールの売り上げに貢献してしまいました。

それは、高校球児も同じかもしれません。夢だった甲子園球場のグランドでの試合でも、やはりこの暑さはこたえるでしょう。

甲子園のグランドは、試合中に太陽の光を遮るものがありません。どの選手も体力を奪われるでしょうが、やはり最も体力的にきついのは投手か、重たい装備をつけている捕手でしょうか。それとも、試合を通してグランドに立ち続ける審判でしょうか。

去年から、5回終了時に体を冷やしたり水分補給をしたりするための休憩「クーリングタイム」が導入され、今年からは、午前と夕方に分けて試合を行なう「2部制」が導入されました。日中の一番気温が上がる時間を避けて開催されるのですが、中断期間は観客も一度外に出されるというのがポイントかなと。

幼い頃は私も、夏休みには甲子園に野球を観に行ってましたが、30度を超えたら「やばい」と口を揃えたものでした。かちわり氷を買ってなんとか乗り切っていましたけど、今ではそんな応急処置では太刀打ちできないほどの日差しが観客を襲います。

熱中症対策はどこの学校も講じています。空調服を着て応援に臨むブラスバンドもいるようで、とてもいいアイディアだと思いました。

私は高校時代に、応援団のマネージャーという不思議なポジションに就いていたのですが(応援団に所属していると、野球の試合の日は公欠になるのが大きな理由でした)、学ランを着て大声で選手を鼓舞し続ける応援団員が倒れないよう、特製の栄養ドリンクを片手にケアし続けたことを思い出します。

医師の義兄いわく、体のほてりには脇に保冷剤を挟むのが一番効果的だそう。 医師の義兄いわく、体のほてりには脇に保冷剤を挟むのが一番効果的だそう。

選手や観客と同じように、応援団も熱中症になるリスクを抱えています。地方大会では選手の保護者たちが、応援団とそれ以外の一般客にもドリンクを配る光景が見られたそうですね。

本当はドーム球場などで試合ができればいいのでしょうが、甲子園は球児にとっての"聖地"ですし、難しい部分もあるでしょう。甲子園球場は内野スタンドを覆う屋根をアルプススタンドまで拡張する工事を行なっていて、2028年に完成する予定だそうです。ただ、外野はこれまでと変わりません。

甲子園は球場周辺の環境により、屋根つき球場への改築が難しい状況にあるそうです。こうなったら、知恵で乗り切っていくしかありません。

以下は、野球未経験者の山本が勝手に考えた新たなアイディアです。みなさまのご意見を聞かせてください。

・ナイターはもちろん、早朝6時から試合を開始する。

・とにかく水を撒いて温度を下げる。公園などにあるミストだとなおよし。

・日焼け止めをしっかり塗る。

・帽子を首の後ろまでカバーできるデザインに変更する。

・帽子に遮光素材を採用する。

・伝令の選手に日傘を持っていかせる。

・審判に空調服を導入する。

メジャーでも異常気象が続いた結果、2020年から使用されているテキサス・レンジャーズの新球場グローブライフ・フィールドには屋根がつけられました。やはり選手も環境がいいところで野球をしたいはず。FAなどで選手が球団を選ぶ際に、球場の屋根の有無や、ドームかどうかが選考ポイントになる日がくるかもしれませんね。

この先、まだまだ甲子園では熱戦が続きますが、球児のみなさんが快適に野球できること、ケガなく最後まで全力でプレーできることを心から願っています。それでは、また来週。

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山本萩子

山本萩子やまもと・しゅうこ

1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン

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