オールスターファン投票1位に選ばれたものの、ケガで辞退した水野。8月に戦線復帰した オールスターファン投票1位に選ばれたものの、ケガで辞退した水野。8月に戦線復帰した

ペナントレースはすでに4分の3を消化し、"最終コーナー"を回って佳境に入ったプロ野球。果たして、セ・パで繰り広げられる白熱の上位争いを制するのはどの球団なのか? 野球評論家・お股ニキ氏が徹底展望する!【プロ野球セ・パ上位争いワイド③】

■ソフトバンクとの残り試合が鍵

ソフトバンクの独走をよそに、パ・リーグで盛り上がるのは2位争いだ。日本ハムとロッテがほぼゲーム差なしで拮抗しているが、クライマックスシリーズを見越す上では、ファーストステージ開催権を得られる2位を是が非でもつかみ取りたいところだ。

野球評論家のお股ニキ氏は「現段階では日本ハムのほうがチーム状態は良く、ポテンシャルも感じます。一方のロッテは狡猾さや戦い方に秀でていて、戦力的に厳しくても毎年Aクラス入りする粘り強さがあります」と語る。

現時点の対戦成績は日本ハムが14勝6敗1分けと圧倒。一方のロッテはソフトバンクと日本ハムに負け越すものの、西武戦での14戦全勝で大きく貯金し、上位をキープできている。

お股ニキ氏が「いいチーム状態」と語る日本ハムを掘り下げると、投打共にタレントがそろってきた点が大きい。

「打者は魅力的な選手ばかり。郡司裕也や万波中正(まんなみ・ちゅうせい)、水谷瞬がいて、松本剛の調子もいい。さらに、ここにきて清宮幸太郎の状態も上がってきました。先発陣も伊藤大(ひろみ)の状態が良く、山﨑福也(やまさき・さちや)にドリュー・バーヘイゲン、加藤貴之がいる上に、疲労骨折で離脱していた北山亘基(こうき)が復帰と駒がそろっています」

また、右足関節外側靱帯損傷で離脱していた水野達稀(たつき)が今月復帰できたことも、攻守両面で影響が大きいという。

「水野がいるといないとでは守備の締まり具合が違います。大事な場面で結果を残す打撃も光り、貴重な存在です」

一方のロッテも、打線は決して侮れない。首位打者争いの上位10人以内には岡大海(ひろみ)、佐藤都志也、ネフタリ・ソトの3人がいて、昨季の本塁打王経験者のグレゴリー・ポランコとソトのふたりが本塁打と打点ランキングの上位に名を連ねている。

「今季は超投高打低のため、あまり目立っていませんが、ロッテ打線はけっこう手ごわい。岡の肉離れでの離脱は痛いですが、9月の大事な時期に戻ってくれば、最後の勢いを生むピースになるはずです」

打線は共に怖さがあるという日本ハムとロッテ。となると、差が出そうなのは投手陣か。ロッテは佐々木朗希がフル稼働できないのが痛い。

「やっと戻ってきたと思ったら打球が足に当たって降板するなど、今季の佐々木は運もない。シーズン最後に奮起してくれることを期待するしかないですが、投球内容もピリッとしないだけに、相手からすると一番良いときの無双感はないと思います」

ただ、実はこの2チーム、9月以降の直接対決は1試合だけ。いかに他球団相手に取りこぼさないかが重要になる。その点で、日本ハムは大きく負け越すソフトバンクとまだ6試合も残っている。

一方、ロッテはソフトバンクとは2試合のみで、"お得意さま"である西武と8試合も残している状況だ。この日程が2位争いにどのように作用するか。

「日本ハムは残り6試合あるソフトバンク戦のうち、4試合が福岡PayPayドームでの試合。正直、日本ハムとしては厳しい戦いにはなりますが、この4試合をどう乗り越えるかがパ・リーグ2位争いの鍵を握りそうです」

*成績は8月18日終了時点

オグマナオト

オグマナオトおぐま・なおと

1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。

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