まさかこんなに点が入るとは。初戦で負けた過去2大会とは違って、最高のスタートを切ったね。
2026年北中米W杯のアジア最終予選が始まった。最初の中国、バーレーンとの2連戦を前に、僕は勝ち点6がノルマで、欲を言えば大量得点を奪い、ライバルのサウジアラビア、オーストラリアに対して得失点差で優位に立ちたいと考えていた。
それがフタを開ければ、中国に7-0、バーレーンに5-0。2試合で12得点だよ。しかも、(PK含めて)そのすべてがペナルティエリア内で打ったシュートじゃないかな。つまり、相手の守備をしっかり崩したということ。レベルの差を見せつけてくれた。
事前の予想通り、中国とはかなり力の差があった。選手個々の質はもちろん、ボール際の激しさでも日本が上回っていた。日本のホームとはいえ、あれほど気迫のない中国は記憶にないよ。荒っぽいプレーも覚悟していたんだけどね。日本に対して最初から気後れしているようにも見えた。
自陣に守備ブロックを作って守ろうとしてもうまくいかず、カウンターも仕掛けられない。90分でシュートは1本だけ。日本がもっと得点を奪っていてもおかしくなかった。
こういう相手だと日本の選手は皆よく見えるので、MVPを選ぶのは難しい。
それでも名前を挙げるなら3点目と4点目を決め、勝負を決定づけた南野かな。いずれも良い動きからボールを受けて、きれいに流し込んだ。南野らしい得点。クラブ(モナコ)での好調ぶりもうなずける。
初戦でオーストラリアに勝っているバーレーンは中国よりも力があった。実際、日本も前半は思うような展開に持ち込めなかった。ボールを持たされている感じで、効果的なタテのパスを入れられない。相手のハンドでPKをもらって上田が先制点を奪ったけど(観客からのレーザーポインターはひどかったね)、それ以外のチャンスといえば、三笘のクロスから堂安が合わせたシュートがポストに当たったシーンくらいだった。
でも、堂安に代わって伊東が入った後半にはギアが入ったね。両サイドの三笘と伊東、彼らの持ち味を引き出そうとしてパススピードが速くなり、実際、サイドからの突破が増えた。三笘と伊東がそろうと、たとえ相手が引いて守っても崩してくれる。あらためてふたりの存在感は大きいと感じた。
あとはボランチの守田が素晴らしかったね。つねに全体のバランスを意識した好ポジションを取りながら、絶妙なタイミングで飛び出して2点を決めた。中国戦の南野同様、チームの3点目、4点目で試合を決めた。
日本はこれ以上ないスタートを切った。ただ、勝って兜の緒を締めよっていい言葉だと思うんだけど、まだ2試合を消化しただけ。ライバルのサウジ、オーストラリアとの対戦はこれから。まずは10月の両チームとの対戦でどんな試合ができるか。
中国戦、バーレーン戦では守備陣の仕事があまりなかった。でも、準々決勝で敗退した年初のアジア杯のように、相手がどんどんロングボールを放り込んできたら、今度はどう対応するのか。また、相手のレベルが上がっても、攻撃面を強く意識した今回の3バックの布陣が機能するのか。それとも4バックに戻すのか。注目ポイントはたくさんある。