スポーツキャスター・中川絵美里が水谷 瞬選手を直撃!
苦労人である。プロ入りから5年間、ファームで2軍どころか、3軍でもがいていた時期もあった。それが「現役ドラフト」で、ソフトバンクから新天地の日本ハムへ移籍、一気に才能が開花。セ・パ交流戦では歴代最高打率.438の首位打者、MVPに輝いた。
今や"斬り込み隊長"へと成長した水谷瞬が、その道程をスポーツキャスター・中川絵美里に語る――。
■予想していなかった現役ドラフト指名
中川 水谷選手は、2022年に始まった「現役ドラフト」により、23年12月に福岡ソフトバンクホークス(以下、ホークス)から北海道日本ハムファイターズ(以下、ファイターズ)へ移籍。ご自身にとって初の1軍の舞台で活躍されています。ここまで振り返って、いかがですか?
水谷 やっぱり、去年までとはまったく違うシーズンになったというのはありますね。
中川 ホークス時代にはファームで、2軍どころか3軍まで経験されたそうですね。途中ケガにも見舞われ、プロ入りから5年間は一度も1軍への昇格がなく、もどかしさや悔しさもずいぶん味わったと思うのですが......。
水谷 悔しかったですね。1軍に上がっていく選手を見ながら、モヤモヤとした気持ちを抱えていました。ただ、先は見えなかったけど、僕の中では1、2年といった目先ではなく、さらに数年先の"世界進出"を見据えて頑張ろうと毎日取り組んでいました。
中川 そして、ファイターズからお声がかかったわけですが、ドラフトの直前に「自分のところに誘いが来るのでは」といった話が、選手間では出たりするのですか?
水谷 同い年の渡邉陸(ホークス・捕手)と連絡は取り合っていて。ドラフト当日の朝、彼から「もしかしたら、(ドラフト指名)あるんじゃない?」と言われたんです。
でも、現役ドラフトというのは、1軍に行く力はあるんだけど、チーム事情などにより出場のチャンスに恵まれずに(2軍と)行き来する選手たちが選ばれる制度だと思っていたので。僕は1軍での出場機会が一度もなかったから、そんな選手は獲らないだろうと。でも、お電話をいただいたんですよね。
中川 ファイターズから連絡を受けたとき、率直に気持ちとしてはいかがでしたか? すぐに切り替わったのか、あるいはもう少しホークスで頑張ってみたいという思いがあったのか。
水谷 最初は実感があまりなくて、ただただ驚いていたんです。でも、23年は1軍での出番こそなかったものの、2軍ではそれなりに成績は残せていたので(83試合出場、打率.259、60安打、4本塁打)、これで上がれなかったら、やはりどこかで決断しないとダメだなと。
もちろん、ホークスにいて九州を盛り上げたいという気持ちもありましたが、世界へのステップアップを考えたときに、北海道で勝負しようと自然と切り替わっていきました。