9月に中国とバーレーンに大勝し、今回、サウジアラビアにアウェーで初勝利(○2-0)。その時点で日本はもうアジアでは圧倒的に強いと思った人もいるだろう。
でも、サウジアラビア戦は楽勝ではなかったし、守りを固めたオーストラリアには勝てなかった(△1-1)。それが現実だね。
日本代表がW杯最終予選前半のヤマ場であるサウジアラビア、オーストラリアとの2連戦を1勝1分けで終えた。2連勝していれば、本大会出場は決定的になっていただけに残念。ただ、有利な状況に立っていることに変わりはなく、悪い結果ではない。
まずサウジ戦。暑さはもちろん、あの独特の雰囲気の中でよく勝ったよ。
前半14分にうまく攻撃の形をつくって鎌田が先制点を奪うと、その後、日本はアウェーの戦い方に徹した。
前半は危ない場面もあった。それでも、相手の立て続けのシュートには3人、4人と体を張ってブロック。また、終了間際にはGK鈴木がスーパーセーブを見せた。
後半、5バックに変えてからは守備も安定し、落ち着いた試合運びができていた。森保監督はいつも「いい守りからいい攻撃」と言うけど、それがセットプレーからとはいえ、後半36分に小川が決めた2点目につながったのかもしれないね。
アウェーでは守りに徹する、これぞ最終予選といえる試合だった。
続くオーストラリア戦は立場が逆転。攻める日本に、守るオーストラリア。日本がボールを保持して押し込む時間が長かったけど、決定的なチャンスはほとんどつくれなかったね。
オーストラリアからすれば、もう後がない、しかも首位の日本とのアウェー戦ということで、負けなければオーケーという開き直った気持ちもあったのかもしれない。タフなチームだった。試合終盤になっても運動量は落ちず、よく体を張っていたね。
オーストラリアは5バックの前にダブルボランチがいて、GKも含めて8人で守る形。日本の得意なサイド攻撃は、相手が4バックなら左右に振ればスペースができるけど、5バックだとスペースがあまりできない。しかも、1対1の守備が強く、スピードがある選手を置いて対応されていた。
それでも、何度かサイドからクロスという形をつくったけど、高さと人数ではね返される。それなのに、日本はサイドからのタテ突破ばかり試みた。あれでは難しい。
後半31分にサイドを突破した中村のクロスが相手のオウンゴールを誘ったわけだけど、その直前には、中村を追いかけていた相手選手が三笘と接触して倒れた。ファウルを取られなかったのはラッキーだよ。サイドから攻めて、CKも何本も奪っていたけど、試合を通してあまり得点の可能性を感じられなかったね。
その点で、森保監督の選手起用には疑問が残った。体調不良で欠場した遠藤の代わりに田中を先発させ、守田に遠藤の役割をやらせた。だから、守田は攻撃力もある選手だけど、この日は後ろでのプレーが多くなった。そして守田とコンビを組んだ田中は効果的なプレーができていなかった。
相手が守りに徹しているのだから、田中よりも攻撃的な選手、例えば鎌田のボランチ起用は考えなかったのかな。試合をつくれる選手を多く起用して、攻撃をサイドの選手まかせにしないような工夫も必要だったと思う。