![福西崇史](/author/images/fukunishi_pr_D6A0074.jpg)
福西崇史ふくにし・たかし
1976年9月1日生まれ 愛媛県新居浜市出身 身長181cm。1995年にジュビロ磐田に入団。不動のボランチとして黄金期を支える。その後、2006年~2007年はFC東京、2007年~2008年は東京ヴェルディで活躍。日本代表として2002年日韓ワールドカップ、2006年ドイツワールドカップにも出場。現役引退後は、サッカー解説者として数々のメディアに出演している
J注目の移籍をフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。
そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!
第119回のテーマは、J注目の移籍について。今冬も多くの主力選手の移籍が行なわれた。その中でとくに注目し、チームへの影響が大きい選手を福西崇史が解説する。
――今冬は主力級選手の移籍が多かったですが、その中でも注目している選手はいますか?
福西 サンフレッチェ広島に加入したジャーメイン良は一番注目していますね。広島はゴンサロ・パシエンシアやピエロス・ソティリウ、ドウグラス・ヴィエイラという外国籍のFWが一気に退団して、ジャーメインを獲得しました。
前線には加藤陸次樹やトルガイ・アルスラン、満田誠など、個性のある面白い選手がたくさんいる中で、ジャーメインという優勝するためのピースをどうはめるかというのが、今季の大きなポイントでしょう。
――イメージ的にもすごくはまりそうな予感がします。
福西 ハマると思いますね。広島の周りには先ほど述べたような能力の高い選手が良い距離感でいるので、フィジカルの強さ、ヘディングの強さ、収める能力という彼の良さをより生かせると思います。
――広島は両ウイングバックのクロスの質も高いので、ジャーメイン選手の高さは非常に魅力的ですね。
福西 相手からすれば彼がターゲットとしているのは、非常に怖いと思いますね。昨季、大橋祐紀が移籍して以降、決まった選手が決めるというより、色んな選手が後ろから前線に飛び出して点を取る形が多かったと思います。
それでも十分に点を取っていましたが、ジャーメインが入ることでサイドからの単純なクロスでも点が取れるだろうし、前線に大きな軸ができると思います。
――広島でいえばボランチの田中聡も加入しました。
福西 もちろん、彼も注目です。松本泰志が浦和レッズに移籍したところに田中が加入しましたが、守備の面ではよりスケールアップしているし、捌きもできるし、前にも飛び出せる。タイプ的には川辺駿に似ていると思いますが、ジャーメインと並んで非常に大きな補強だと思います。
――広島はハイプレスで行くぶん、中に入られたときに潰しが効くボランチというのは大きいですよね。
福西 大きいですね。それと田中はちゃんと帰ってくるので。前からいくので、そのプレスがかわされたときがチームとして一番大変なわけです。そのときにあれだけ戻れる運動量があって、なおかつ潰せたり、ボールを奪う能力が高いというのは、チームとして非常に助かる選手だと思います。
――ほかに注目している選手はいますか?
福西 浦和のマテウス・サヴィオですね。彼は浦和にハマるというか、彼が浦和の中心になっていくと思います。彼は王様タイプで、一人でやれてしまう高い能力があるので、周りが彼に合わせることで、周りもより生きてくると思います。
――同じブラジル人のチアゴ・サンタナ選手も彼が入ることでやりやすかったり、より生きるようになりそうですか?
福西 そこがどうなるか注目ですね。サヴィオは柏レイソルで、自分が中心になることで伸びた選手で、サンタナもどちらかと言えば自分が中心になりたい選手。同じブラジル人で感覚が合うところはあると思いますが、2人が一緒になったときにどうなるかは見ものです。
これで生かし合えるコンビネーションが築けたら強力なユニットになることは間違いない。Jトップクラスの実力者2人の高次元の共演を楽しみにしています。
――先ほども触れましたが、広島から松本の獲得も話題になりました。
福西 松本も注目する選手の一人ですね。彼は独力でなんとかするタイプではなく、周りとの関係性で生きる選手なので、それこそサヴィオとどいう関係を築くかだと思います。サヴィオやサンタナが起点となってタメを作り、松本が効果的な動きができれば、浦和の前線はより強力だと思います。
――ボランチでは、ガンバ大阪のダワン選手が中国の北京国安に移籍した影響はどうですか。
福西 ダワンはG大阪にとって攻守に非常に影響力の大きな選手だっただけに、かなり痛い放出ですね。
――G大阪は昨季非常に守備が固かったですが、その中でもダワンの影響力は大きかったですよね。
福西 G大阪の堅守で、CBの中谷進之介が中心として語られることが多いですが、もちろん彼の影響は絶大でした。ただ、ダワンの影響力もそれに匹敵するくらい重要だったと思いますね。
G大阪は堅守速攻スタイルに切り替えてからチーム状況が大きく上向いたわけですが、それを中心となって支えたのが中谷とダワンというセンターラインでした。
危ない場面や相手の起点になるところへ一目散に潰しにいける彼がいなくなることで、堅守のバランスを保てるのか不安な部分だと思います。また、より攻撃的な鈴木徳真が生きたのも彼のおかげだったし、繋ぎの部分でもダワンを経由することが多かったですよね。
今のところダワンの穴を埋める補強はされていないので、そこをチームとしてどのように埋めるのか。今季は広島のジャーメインと田中、浦和のサヴィオと松本の加入、G大阪のダワンの放出が今季どれだけ影響するのか注目して見ていきたいと思います。
1976年9月1日生まれ 愛媛県新居浜市出身 身長181cm。1995年にジュビロ磐田に入団。不動のボランチとして黄金期を支える。その後、2006年~2007年はFC東京、2007年~2008年は東京ヴェルディで活躍。日本代表として2002年日韓ワールドカップ、2006年ドイツワールドカップにも出場。現役引退後は、サッカー解説者として数々のメディアに出演している