プレミアリーグ・サウサンプトン所属/DF・MF、菅原由勢選手 プレミアリーグ・サウサンプトン所属/DF・MF、菅原由勢選手

名古屋グランパスでクラブ史上最年少の17歳で開幕スタメン、プロデビュー。圧倒的な運動量と攻撃センスを誇る右のサイドバック、ウイングバックとして早くから海を渡り、今や世界最高峰のプレミアリーグへ。

だが、チームは不振、日本代表でもシステム変更により出場機会が減少。苦境にあえぐ"日本のムードメーカー"菅原由勢(すがわら・ゆきなり)の揺るぎない哲学と、W杯への思いとは。スポーツキャスターの中川絵美里が聞いた。

■45分が120分に感じたプレミアデビュー

中川 今シーズン、念願だったイングランド・プレミアリーグでのデビューを果たされました。サウサンプトンの一員として、実際に夢の舞台に立ってみていかがですか?

菅原 想像を絶する世界と言うんでしょうか。昨季までオランダのAZに5シーズン所属して、EL(ヨーロッパリーグ)ではマンチェスター・ユナイテッドとも対戦経験があるんですが......。

モンスター級の選手たちが本気で勝ちにくる真剣勝負の連続で、次元が全然違いますね。速い、うまい、強い、そしてずる賢い。すべてが規格外です。

中川 やはり、世界最高峰のリーグといわれるだけに別格だと。脅威だと感じる部分はほかにもありますか?

菅原 ボールを持っているときの目つき、オーラっていうんですかね。例えば、ドリブルのうまい選手がいるとしたら、「俺がひとたびボールを持てば、チームを絶対に勝たせる。俺のドリブルがチームの主力兵器だ!」っていう気迫を出しながら突進してくるわけです。

DFとして対峙する僕は、一瞬たりとも気が抜けない。ほんのわずかな隙を見せた途端、後ろに走り込まれてしまう。あるいはこちらのポジショニングによってほんの2m程度の間隔ができただけでもすぐに突破されて、決定機をつくられてしまう。恐怖でしかないです。

中川 そこまで張り詰めた感じですと、試合後の疲労度もとてつもないものがありそうですね。

菅原 ええ。デビューとなったリーグ開幕のニューキャッスル戦(24年8月17日)、僕は前半45分でベンチに下がったんですけど、90分......いや、120分戦い抜いたぐらいの疲労度を体感しましたね。

そんなことは従来なかったんですけど、それだけプレミアリーグはインテンシティ(強度)が高いんだと思い知らされました。オランダ時代は試合後2日もあれば練習に復帰できましたけど、イングランドでは試合翌日は完全オフ、2日目もマッサージして休み、3日目でようやく練習復帰といった具合です。

中川絵美里×菅原由勢 中川絵美里×菅原由勢

中川 サウサンプトンは今、リーグ最下位で非常に苦しい状況を迎えています。

菅原選手は第3節(同年8月31日)ブレントフォード戦で初ゴールを記録、第10節(同年11月2日)のエバートン戦でチームを初勝利に導くアシストをマークしましたが、その後もチームはなかなか上昇気流には乗れず、12月にラッセル・マーティン監督が解任。現在はイヴァン・ユリッチ監督が指揮を執っています。

この記事は無料会員限定です。登録をすると続きが読めます。

高橋史門

高橋史門たかはし・しもん

エディター&ライター。1972年、福島県生まれ。日本大学在学中に、『思想の科学』にてコラムを書きはじめる。卒業後、『Boon』(祥伝社)や『relax』、『POPEYE』(マガジンハウス)などでエディター兼スタイリストとして活動。1990年代のヴィンテージブームを手掛ける。2003年より、『週刊プレイボーイ』や『週刊ヤングジャンプ』のグラビア編集、サッカー専門誌のライターに。現在は、編集記者のかたわら、タレントの育成や俳優の仕事も展開中。主な著作に『松井大輔 D-VISIONS』(集英社)、『井関かおりSTYLE BOOK~5年先まで役立つ着まわし~』(エムオンエンタテインメント※企画・プロデュース)などがある。

高橋史門の記事一覧