高岡伶颯 2007年生まれ、宮崎県出身。ポジションはFW。日章学園高では1年時から3年連続で全国高校サッカー選手権に出場。23年にはU-17日本代表としてU-17W杯に出場して4得点。昨年6月にプレミアリーグのサウサンプトン加入が内定し、この春、プロ生活をスタートした。165㎝、62㎏
「不安はまったくないです。自分の持ち味である貪欲なプレーやゴール前での駆け引きを最大限に生かして、早くトップチームでデビューして、ゴールを決めたい。いつまでもセカンドチームにいたら、ニュースにもしてもらえないですもんね」
そう語るのは、今年2月のU-20アジア杯(中国)を戦ったU-20日本代表に飛び級で招集され、U-20W杯出場権獲得となるベスト4進出に貢献したFW高岡伶颯。この春、日章学園高を卒業し、イングランド・プレミアリーグのサウサンプトンへ加入した注目のストライカーだ。
Jリーグを経由せず世界最高峰のリーグでプロキャリアをスタートさせることになった18歳。その胸中を、渡英前に地元・宮崎で聞いた。
2022年にはDFチェイス・アンリ(尚志高→シュトゥットガルト)が、23年にはFW福田師王(神村学園→ボルシアMG)と、近年はユース年代の有力選手が高校卒業と同時に海外挑戦することがトレンドになりつつある。サウサンプトンが高岡に目をつけたのも、そんな流れがあってのことだろう。
高岡が入団の経緯を語る。
「最初にプレーを見てもらったのは、23年6月のU-17アジア杯みたいです。その年の冬のU-17W杯で4ゴールを決めたことで、トライアウトの話をもらいました。それで昨年春に現地でチームの練習に約2週間参加して、正式にオファーを受けました。
(加入に迷いはなかったか?)話が来たときは『絶対に行きたい』と思いました。もちろん、Jリーグを経てから移籍したほうがいいという意見があるのもわかります。
ただ、チャンスは一度逃せば、次があるかはわかりません。実際、オファーは素直にうれしかったですし、練習参加後の結果待ちの期間は、ずっとソワソワしていました」
高岡は、中学年代までは代表歴がなく、23年に初めて世代別の代表に招集された。そこから国際大会でアピールし、一気にプレミアリーグへの移籍を勝ち取った、いわばシンデレラボーイだ。
そんな高岡について、日章学園高のサッカー部監督として、また、3年連続のクラス担任として接してきた原 啓太先生は、こう評す。
「彼のプレーを初めて見たのは中学2年生のときでしたが、まさかここまでの選手になるとは思ってもいませんでした。高校入学時も技術的には全然うまくなかったですし、U-17W杯での4ゴールも私は〝出来すぎ〟だったと思っています(笑)。
ただ、逆に言えば、たとえ〝まぐれ〟でも結果を出すのが高岡の魅力。不思議ですが、体は小さいのにピッチでは何かやりそうな期待を抱かせてくれる。普段は教室で読書しているなどおとなしいのに、ピッチに入るとよくしゃべるし、人が変わるんですよ」
身長165㎝、体重62㎏。高岡は確かに小柄だ。それでもスピードと俊敏性、前線からの惜しみないプレスを武器に、高校年代で多くのゴールを決めてきた。先のU-20アジア杯では、4試合で1得点にとどまったが、グループリーグ第2戦のシリア戦では終了間際に同点弾を決め、決定力の高さを示した。
昨年末の高校選手権では2試合4得点に終わったが、大会前は元日本代表FW大迫勇也(神戸)が持つ1大会得点記録10得点を大きく上回る20得点を目標にするなど、ビッグマウスぶりも話題を呼んだ。なぜ、そこまで強くゴールにこだわるのか。
「だって、ゴールを決めないと試合に勝てないじゃないですか。試合に出たらゴールを決めたいのは普通だし、その気持ちがないならサッカーをやめたほうがいいですよ」
1月下旬には、昨年春のトライアル以来、初めてチーム練習に参加。プレミアリーグの試合も観戦し、現地の熱を感じたと振り返る。
「合流したのはU-21のチームですが、一番感じたのは練習の強度。たまに激しいタックルをする選手もいましたが、それは軽くいなしておきました(苦笑)。向こうの選手は体が大きいですが、そのぶん動きが鈍く、逆にやりやすさもあった。俊敏性やスピードは通用すると思ったし、自信もつきました」
現在、サウサンプトンには日本代表DF菅原由勢のほか、今季はトルコのギョズテペに期限付き移籍しているものの、松木玖生も所属している。ふたりとは、どんなやりとりをしているのか。
「菅原選手には練習参加しているときに食事に連れていってもらい、『頑張れ』と言っていただきました。でも、具体的なアドバイスは......(苦笑)。松木選手とはまだ面識がないですね」
英語は現在勉強中だが、習得には苦労しているようだ。
「オンラインレッスンを受けていたのですが、最近はあまりできていなくて。日常会話はなんとか......。(ピッチでは)自分はボールを受ける側なので、要求できないと苦しい部分はあります。でも、すぐに覚えると思いますし、逆に日本語で言って、周りに覚えてもらったほうが早いかもしれないですね(笑)」
日本代表としては秋にチリ開催のU-20W杯も控えているが、将来はA代表でのW杯優勝も目標と口にする。高い目標設定は07年生まれの若者らしいともいえるが、きっかけは高校1年時にサッカー部の寮で見たカタールW杯だったという。
「やっぱりプロの選手が、あそこまで熱くなって戦っているのを見て、自分もやらないといけないと心に火がつきました。特にスペイン戦の〝三笘さんの1㎜〟は印象的。あそこで諦めないからこそ、結果につながったわけですから。
来年の北中米W杯でのメンバー入り? もちろんチャンスがあれば狙っていきたいですが、焦らずにやっていければと思っています」
まずはサウサンプトンでのトップチーム昇格を狙うが、将来は日本代表での活躍も見据える高岡。新天地でどんな選手に成長していくのか楽しみだ。