強豪ぞろいのナ・リーグ西地区で首位争いを繰り広げるパドレス。2年目の松井もチームに貢献 強豪ぞろいのナ・リーグ西地区で首位争いを繰り広げるパドレス。2年目の松井もチームに貢献

開幕から1ヵ月。日米の野球界で巻き起こったさまざまな"波乱"を徹底解説する!【プロ野球・MLB「春の異変」】

■ドジャース以外も強豪ぞろい

世界一連覇へ、開幕8連勝を飾ったドジャース。その後も勝率7割前後をキープしているが、ナ・リーグ西地区の1位から3位を行き来する状態が続いている。

そのドジャースと首位を争うのは、ダルビッシュ有と松井裕樹のいるパドレス。さらに、ジャイアンツも勝率7割に迫る勢いで勝利を重ね、4位のDバックスも勝率6割前後を記録している。

気が早いのは承知の上だが、3チームがプレーオフに進出できるナ・リーグのワイルドカード争いを見ると、この西地区4球団が上位をほぼ独占。"魔境"と化している。

その中でも、ドジャースにとって最大のライバルとなるのは、昨季も地区シリーズで激闘を繰り広げたパドレスだろう。お股ニキ氏が特に注目するのは投手力だ。ダルビッシュは復帰時期未定の長期離脱中だが、その影響すら感じさせない陣容だという。

「私が以前から評価していたニック・ピベッタ、マイケル・キングの先発二枚看板は安定していますし、中継ぎのジェレミア・エストラダとジェイソン・アダム、抑えのロベルト・スアレスの救援陣も盤石。選手ごとに適切なカスタマイズができるルーベン・ニエブラ投手コーチの存在が利いていますね」

その投手王国パドレスに対抗するべく、ドジャースの投手陣を牽引する存在が山本由伸だ。今季、5試合を投げて防御率は0.93。サイ・ヤング賞2度の最強右腕、ジェイコブ・デグロム(レンジャーズ)との投げ合いでは、7回5安打無失点、10奪三振の圧巻投球で勝利を収めた。

「オリックス時代から抑えるのが当たり前でまひしていますが、日本でももっと大きく報じられ、話題になってもいいピッチングでした」

開幕直後にお股ニキ氏が指摘した「ストレートの質」「スプリット依存の投球」という懸念点も早急に改善されているという。

「ストレートの握りやリリースも改善したのだと思いますが、以前よりも明らかに伸びています。

さらに、"伝家の宝刀"スプリットだけでなく、移籍当初から『MLBで必要』と私が指摘してきたカッターやスライダーも使えるようになり、カーブでも三振が取れるようになった。フォームも研ぎ澄まされていて、すべてが高水準。デーブ・ロバーツ監督の『ナ・リーグで一番』というコメントはお世辞抜きだと思います」

サイ・ヤング賞受賞への期待も高まる山本の快投こそが、西地区を勝ち上がる上での起爆剤になるかもしれない。

*成績は日本時間4月22日時点

オグマナオト

オグマナオトおぐま・なおと

1977年生まれ。福島県出身。雑誌『週刊プレイボーイ』『野球太郎』『昭和40年男』などにスポーツネタ、野球コラム、人物インタビューを寄稿。テレビ・ラジオのスポーツ番組で構成作家を務める。2022年5月『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)を発売。

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