米アップルが9月9日(日本時間10日)、iPhoneの新型モデル「6」と「6Plus」(以下、Plus)を発表した。日本では19日より発売が始まる。

気になるのは、現行の5sからの変更点だ。その主なポイントは5つある。

●ディスプレイ5sの4インチから、6は4.7インチ、Plusは5.5インチへと大型化。解像度もアップし、PlusはフルHDになった。

アメリカでの発表会を現地取材し、6とPlusを実際に操作したITジャーナリストの石川温(つつむ)氏が解説する。

「大型化の最大の理由は、Android機対策でしょう。すでに大画面化が進んでいるAndroid機と店頭で比べてみると、5sはどうしても見劣りし、ユーザー流出の一因にもなっていましたから」

もっともPlusは、もはやスマホとは呼べないレベルにまで巨大化してしまったようだ。

「電話としては使いづらい大きさなので、ファブレット(スマホとタブレットの中間に位置する端末)だと認識すべき。新型iPhoneにおける販売の軸は6のほうでしょう」(石川氏)

●デザイン画面の大型化に伴い、本体の縦横もサイズアップしたが、厚みに関しては6、Plusとも、5sより薄型化。ボディの角や側面は丸みを帯びた形状となり、サイドスイッチの形も変更。5sではツートンカラーだった裏面は、細いラインが両端に入るものの、単一色になった。シルバー、スペースグレー、ゴールドの3色展開。

「側面に丸みをつけ、薄くなったことで、大型化したにもかかわらず持ちやすい印象です。そして歴代のiPhone同様、隅々にわたって作り込まれ、他社機の追随を許さない高級感があります」(石川氏)

●「VoLTE」対応LTE回線を使ってデータ通信と音声通話を行なうVOLTEに対応。ただ、発表会で紹介された、6やPlusの発売と同時にを利用できる各国キャリアのリストの中に、すでにVoLTE運用を始めているドコモや、年内のサービス開始を表明しているauの名前がなかったのだが……。

「自社ネットワークとiPhoneとの接続検証が、間に合わなかったようです。しかし、会場に姿を見せていたドコモの加藤薫社長、auの田中孝司社長とも『できるだけ早く対応する』と明言していましたから、日本でも程なく利用可能になるでしょう」(石川氏)

趣味や生活の進化にも対応

●アップルベイNFC(近距離無線通信)規格に対応し、iPhoneを店頭の決済端末にかざすだけで支払いができる。

「日本ではまだなじみの薄いNFCですが、対応企業が増えれば、使い勝手のいいサービスとなるはず。実際、大手コンビニでは準備を進めているようです。ただし、Suicaなどに使われているFeliCa規格とは別なので、今のままでは駅の改札は通れません」(石川氏)

●モーションコプロセッサの進化歩数、移動距離、高度も測定できるようになり、ジョギングや登山など、さまざまなスポーツシーンでの用途が広がった。

「大型化している分、スポーツの現場には持ち込みにくくなっているのですが、そこはユーザーの側で装着ケースでも買ってください、ということなのでしょう」(石川氏)

これら5つのポイントのほかにも、CPUやWi-Fiの高速化カメラ性能や電池のもちの向上など、基本性能の進化にも抜かりがない。劇的な進化はないものの、確実に“改善”を行なってきた――。新iPhoneに多くの人が受けるのは、そんな印象ではないだろうか。

■週刊プレイボーイ39号「実機を触ってわかった! iPhone6は即買いか、スルーか!?」より