アイデア次第でなんでもプリントできる! 無料ダウンロードサイトも充実

自分の作りたいものがなんでも出力できる“夢のマシン”として注目される3Dプリンター。銃製造やろくでなし子の女性器データ配布のニュースも記憶に新しいが、一方で5万円台のモデルが発売されるなど、その気になれば一般にも手の届くものになっている。

そこで3Dプリンターでのモノづくりをしてみたい!という初心者のために、注目の最新アイテムや便利なサービス、手軽に体験できるスポットなどをご紹介!

■自分で3Dプリンターを組み立てる!

今、話題となっているのが1月5日にデアゴスティーニから発売される週刊『マイ3Dプリンター』。なんと全55号で3Dプリンターを組み立ててしまおうという斬新な企画だ。デアゴスティーニ・ジャパン、プロダクトマネージャーの鎌田奈那美さんに聞いた。

「創刊号で10万部超えの大ヒットを記録した週刊『ロビ』に続き、未来を感じさせるアイテムとして企画しました。市場調査でも3Dプリンターは20~60代のすべての世代でダントツに興味が高く、先行販売でも反響は上々でした」

たしかに興味深い企画です! でも、そんな最新テクノロジーが素人にカンタンに組立できるもの?

「そこは課題でしたが、実は3Dプリンターの機構はわりとシンプル。組み立て式の3Dプリンターを出している国内メーカーの協力のもと、初心者でもドライバーとレンチだけで組み立てられ、ハンダづけ不要なモデルが実現しました。スペックは市販の10万円前後のプリンターと同等で、コンパクトなデザインと2種類の素材に対応しているのが特徴です」

「idbox!」は本体サイズ250☓250☓270ミリでスケルトンボディがオシャレ! PLA樹脂とABS樹脂という2種類のフィラメント(素材)に対応。プリントは単色でABS樹脂の場合は研磨と着色が可能。国内3Dプリンターメーカー・ボンサイラボ監修

とはいえ、完成まで約1年、金額もトータルで11万円! 市販のプリンターを買ったほうが早いという声もあるのでは?

「メカ好きの方には組み立てることでプリンターの機構が学べると好評ですし、一気に11万円は無理でも毎号2千円の分割なら買いやすいというメリットも。さらに、このマガジンの大きなポイントは3Dモデリングがマスターできること。創刊号では雪だるまを作ることから始め、最終的には自分が思い描いたものを立体物にすることを目標にステップアップ。これ一式で、3Dプリントに必要なすべてができるようになります!

スキルを身に付ければ、こんなアイテムも思いのままに出力可能!

開発を担当したデアゴスティーニの鎌田氏。創刊号は特別価格999円(税込)。2号以降、通常価格1850円+税。http://deagostini.jp/mtp/

充実の無料ダウンロードサイト

■様々な3Dデータが無料ダウンロード可能!

では、すでに3Dプリンターを使ってモノづくりをしている先輩たちは、実際にどんなアイテムを形にしているのか? ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表で、一般社団法人3Dデータを活用する会(3D-GAN)・理事の水野操(みさお)氏に聞いた。

「3Dプリンターはサイズ内のものなら、ほぼ“なんでも”作れます。むしろ大切なのは“作りたいものがあるか”ということ。やはり、もともと趣味でフュギュアや鉄道模型などを作っていたマニアの方や、アクセサリー作りなどクラフト系の趣味のある方は強い。以前、私のモデリング講座に参加した鉄道オタクの学生さんは、どんどんスキルアップして鉄道模型を作り、今“CAD鉄”として注目されています」

【CAD鉄】 3Dプリンターで多数の鉄道模型を制作。写真はゆりかもめのモデリング(左)と「ななつ星」の模型(右)。鉄道模型のモデリング勉強会「CAD鉄の集い」も開催中。https://ja-jp.facebook.com/cadtetsu

CAD鉄は、「あッ3Dプリンター屋だ!! 東京メイカー×ストーンスープ×ミライス」(後編で紹介)で活動中

【ばーちゃわーるど】 タージマハル(左)、アンコールワット(右)ほか、リアルな世界遺産模型の数々に驚愕! 3Dデータを無料で提供中。 http://www.tokyovirtualworld.com/07-thisis

ばーちゃわーるど

う~ん、スゴイですね! これはかなりの上級者な感じです!

「ほかにも3Dデータの共有サイトには、一般の方が作った3Dモデルが多数アップロードされています。あらゆるアイテムが網羅されているので、どんなものが作れるか参考になるでしょう」(水野氏)

【3Dモデラボ】 気に入ったデータを自由にダウンロードできる3Dデータ共有サイト。生活小物からフィギュア、パーツなどあらゆるアイテムが! https://modelabo.itmedia.co.jp/

3Dモデラボ

【Thingiverse(シンギバース)】 こちらは海外の3DプリンターメーカーのMakerBotが運営する共有サイト。ハイセンスなアイテムがそろっている。http://www.thingiverse.com/

Thingiverse(シンギバース)

身近な生活小物をパパっと作ってしまう

ほかにも、こんな魅力的なダウンロードサイトが!

【NASA】 NASAが進める宇宙関連プロジェクトの3Dデータがダウンロードできる! http://nasa3d.arc.nasa.gov/models/printable

NASA

【African Fossils】 先史時代の動物、人類の祖先など化石データがザクザク! http://africanfossils.org/

African Fossils

【つぼみ☓3Dプリント】 以前、週プレNEWSでも紹介した、つぼみちゃんのフィギュアデータも! http://tsubomi-official.jp/?recent_works=tsubomi-x3d-print

つぼみ

このように、自由に使えるデータがすでに世界中にアップロードされていて、それらを見ているだけでもワクワクしてくる!

さらに、「私は最近、ネット通販で買った小型スピーカーのカバーを自作しました。慣れているので15分程度でできました」(水野氏)と、身近なアイテムをオリジナルで作れるようになったらかなりカッコイイ! 世界でひとつのオリジナルアイテムが作れる3Dプリンター。どんなものを作ろうか、まずはイマジネーションをふくらませてみたい!

水野操(みずの・みさお)氏。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役社長。一般社団法人3Dデータを活用する会(3D-GAN http://www.3d-gan.jp/)理事。著書に「3Dプリンター革命 モノづくり・ビジネスが変わる!」(ジャムハウス)、「自宅ではじめるモノづくり超入門」(ソフトバンククリエイティブ)ほか。

(取材・文/田山奈津子)