昨年7月、ソニーのPC事業部が分離独立し「VAIO株式会社」という新しい会社になった。そして今年、そのVAIO社から新しくスマートフォンが発売されるという。

ソニーには現在、「Xperia」というブランドのスマホがあるため、VAIO社がスマホを出せば、当然ソニーとはライバル関係になる。

独立の背景やVAIO社の今後を、経済ジャーナリストの片山修(おさむ)氏が語る。

「VAIOは、1997年に日本で販売が開始されたパーソナルコンピューターです。ソニーはPCに関しては後発メーカーだったんですが、パープルカラーのマグネシウムボディという斬新なデザインと薄型軽量の持ち運びやすさがウケて大ヒットしました。

しかし、2008年のリーマン・ショック以降、台湾や中国などの新興国が市場に参入して、安いPCがどんどん出てきてVAIOはだんだん売れなくなった。さらに、その後にスマホやタブレットが登場すると、PCとテレビ事業の赤字がソニーの中で一番大きくなって社内のお荷物になってしまったんです」

そこで、ソニーは昨年の7月にVAIOブランドとともにPC部門を社外に売却した。

「新しくできたVAIO社には、ソニーのPC部門にいた約1000人の従業員の中から約240人が移ったといいます。この小さな会社でVAIOの再生を目指しているのです」

格安スマホで再ブレイクする条件

では、新しいVAIO社は今後、何をするのか。

「今始めようとしているのがスマホ事業ですね。日本通信と協業で格安スマホを販売しようとしています」

格安スマホで再ブレイクする可能性はどれほど?

「2010年に創業した中国の『シャオミ(小米科技)』は、今やサムスンを抜いて中国のスマホ市場ではトップ。世界でも第3位です。その理由は高機能なのに低価格だから。

シャオミは設計や生産を台湾のメーカーに頼んで、販売はネットのみ。販売店は持たない。徹底的にコストを下げることで低価格が実現できている。

VAIO社もこのビジネスモデルを取り込んで、発売当初のような斬新なデザインのスマホを売り出すことができれば大ヒットするかもしれないですね」

スマホをきっかけにVAIOブランドは再ブレイクするか?

■週刊プレイボーイ5号(1月19日発売)「明菜、松坂、VAIO、ツチノコ……2015年、再ブレイクするのはこのヒト&モノだ!」より