米アップルが、腕時計型ウエアラブル端末「アップルウォッチ」を4月24日に発売すると発表した。
時計機能だけでなく、iPhone(iPhone5以降)と連動させ、通話やメッセージ送受信、心拍数の表示、ランニング中の距離や消費カロリーの計測、さらにツイッター、フェイスブックなどのチェックや、Uberアプリを使ってのタクシー呼び出しなども可能だ。
3月9日の発表会で、同機を実際に操作したITジャーナリストの石川温(つつむ)氏が語る。
「アップル製品らしく直感的に使えるなど操作性はよく考えられています。ただ、技術的には競合のAndroidウォッチでもやれることばかり。また、アップルウォッチのほとんどの機能はすでにiPhoneに備わっています。つまり革新性という意味では、さほど特筆すべき点はありません」(石川氏)
それどころか、現時点ですでに明らかになっているウイークポイントさえある。
「バッテリーが18時間しかもたないので、毎日充電しなければなりません。これは時計として大きなネックです」(石川氏)
しかも、そんな不完全な製品でありながらアップルウォッチの一部モデルには驚愕(きょうがく)の高値がつけられている。18金製ケースを使った豪華モデルの最高級品は218万円(!)もするのだ。
「従来の高級時計はステイタス、複雑な構造、デザイン、何十年も使える信頼感などの価値に対して対価が支払われています。しかし、アップルウォッチのメカニズムは、どのグレードも共通。しかも、デジタル機器ですから、1、2年もすれば陳腐化して使えなくなる。
ケースやベルトにこそ高価な素材を使っているものの、そんなモデルに100万、200万と払えるのは、よほど物好きな金持ちだけでしょうね」(石川氏)
アップルウォッチがヒットする可能性は?
最も安価なスポーツ向けモデルでさえ4万2800円からと、かなり強気な値づけ。いくらアップル製とはいえ、こんなビミョーな時計が果たして売れるのだろうか?
「ケータイやスマホの普及によって、人々が時計を身につけなくなりました。そんな生活習慣が定着した中、再び消費者の手首に時計を巻かせるのは簡単ではありません。その上、長く使うこともできず、次々に買い替えていかなければならない。熱心なアップルファンは飛びつくでしょうが、その他の層にまで広がるかというと現時点では厳しいでしょうね」(石川氏)
とはいうものの、今後の展開次第では、iPhone的な大ヒットもあり得ない話ではないという。
「この先、ハード的にある程度進化した上で、アプリが充実してくると大化けの可能性はあります。例えば、生活のかなりの部分がこの時計ひとつで賄(まかな)えたり、スマホに代わるコミュニケーションツールとなるようなアプリが開発され一般の人にまで認知されたりすると、アップルウォッチが売れ、それに伴ってますます便利な機能、アプリが増えるという好循環が生まれるかもしれません」(石川氏)
そんな日が来ることを見越し、今から記念にファーストモデルを買っておくのも悪くない!?