イオンが3月19日、MVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMとセット販売する格安スマホ「イオンスマホ」の春夏モデルを発表した。

今回登場したのは、VAIO製「VAIO Phone VA-10J」(以下、VAIOフォン。税抜き4万8000円)、京セラ製「KYOCERA S301」(同2万9800円)、ソニーモバイルコミュニケーションズ製「Xperia J1 Compact」(以下、Xperia。同5万4800円)の3機種。

ん…VAIOフォンとXperia? 昨年、ソニーから分離独立した新会社と、ソニーが100%出資する完全子会社の端末が同じイオン格安スマホの中で仁義なき抗争をおっぱじめるわけだ!

そこで、両端末はそれぞれどんな特徴を持っているのか?

まずVAIOフォンだが、これはすでに3月12日にMVNO業者の日本通信が発表しているもので、新たな販売網としてイオンが加わった形。ただ、この端末、実は発表直後からネット上で“炎上”している。ITジャーナリストの石川温(つつむ)氏が言う。

「VAIOブランドへのファンの期待が高かった上、発売前から日本通信の社長が『これまでのMVNO市場には二流のスマホしかなかった。アップルに対抗できるのはVAIOだけ』などとさんざん煽(あお)っていたのに、出てきたのは台湾メーカーに作らせた個性のかけらもないミドルレンジ製品。VAIOはデザイン面で少し関与しただけでした。だから、『らしくない』という声が続々と上がったというわけです」

しかも、同じ台湾メーカーが手がけ、中身がほぼ同じ端末が海外では3万円ほどの価格で売られている。「スペックの貧弱さも併せ、VAIOフォンは割高感が否めません」(石川氏)

Xperiaブランドの強み

一方のXperiaはどうなのか? 携帯電話ライターの佐野正弘氏が語る。

「ドコモから昨年発売されていた『A2』というモデルからワンセグ機能を削り、カラバリも白1色のみに絞った、いわば型落ち品です。しかし質感は高いし、防水機能、おサイフケータイ、2千万画素以上のカメラと機能も盛りだくさん。格安スマホでこれだけのハードが出てきたのは驚きです」

それでいて、VAIOフォンとの価格差は7千円弱しかない。

「24回の分割払いにしてしまえば、月々の支払額の差はないも同然。だからXperiaには割安感があります」(佐野氏)

とすると、この血で血を洗う争いの行く末は…。

「イオンに来るお客さんには、やはり大手キャリアでも扱われているXperiaブランドの実績や知名度がモノをいいます。さらにコスパやスペックや質感の点でもかなり魅力的です」(佐野氏)

「VAIOブランドに反応するのは、イオンとか格安スマホとかとは縁の薄い、それなりにIT機器に詳しい層。しかも、そういう人たちはVAIOフォンが残念な出来だったことを知っていますから、いずれにしても手を出さないでしょう」(前出・石川氏)

すでに勝負はついている!?