毎月の高額なスマホ料金に悩む人にとって、最近よく聞く「格安スマホ」は魅力的な響きーー。
でも、いざ乗り換えるとなると不安もある。安い裏には落とし穴があるんじゃないの? ITに詳しくないと使いこなせないのでは? そこで、格安スマホ乗り換えに実際に挑戦してみました!
ガラケー太郎さん(仮名・年齢不詳)は、これまで日本が誇るガラケーこそが真のケータイであり、スマホは外国人が日本の通信業界を破壊するために送り込んだ敵性商品だと信じていた。
そのガラケー原理主義者が、格安スマホブームに心惑わされ、無謀にもいきなり格安スマホを購入した顛末(てんまつ)をリポート!
■解約料が安い格安スマホは?
ガラケーひと筋20年、誰よりもガラケーを愛する男ーー。
「ガラケーの料金ですら毎月1万円かかっているのに、スマホにしたら月々10万円くらいかかるんでしょ!?」
今どき誤った認識を口にする太郎さんに友人が忠告してくれた。
「格安スマホを使ってみたらどうだ。格安だから使いこなせなくても傷は浅い。ガラケーは捨てずに持っておけ」
格安SIMやSIMフリー端末はネット販売が主流だけれど、太郎さんはネット購入は不安だという。店舗を構えている格安スマホは楽天モバイル、トーンモバイル、イオンモバイルなどがある。
その中で、太郎さんは解約料に注目した。スキあらばスマホから逃げ出そうという、いかにも消極的な姿勢が透けて見える。
いわゆる解約料は、楽天の通話SIMだと1年未満の解約で9800円、トーンモバイルは2年未満で9800円と様々。
結局、太郎さんは消去法で解約料なしのイオンモバイルを選ぶことにした。
ロックを外すのに20分
■迷うことなく最安品をチョイス
イオンの格安スマホのコーナーにはセット価格1350円のビラがぶら下がっている。通信料は本来月額1600円だが、スマホ端末とSIMをセットで買うと通信料が2年間月額250円割引になる。安さに目がくらんだ太郎さんは、すぐさまこの最安セットに決定。
『BIGLOBE LTE・3G』の最安コースは最新の4G通信ではなく3G通信。高速データ通信量1GBまでで、その容量を超えると通信速度が極端に遅くなります。それで大丈夫ですか?」
売り場のお姉さんは心配気味だったが、太郎さんは「とにかく一番安いやつにしてください」と押し切った。通信料はカード引き落とし限定だ。
端末も売り場で一番安い「ジーニー FXC-5A」。4G、ワンセグ、防水などの機能がなく、安さに特化する姿勢にほれてこれに決定。支払いは1万5120円の一括払いを選ぶ。
さらにSIMパッケージ代金が3千円。パッケージだからSIMに何かついているのかと太郎さんは警戒したが「手数料など一緒になっています」との答えに納得。
フードコートでたこ焼きを食べながら待つこと1時間。SIMがセットされてすぐ使える状態のスマホが用意されていた。
太郎さんが買った「ジーニー FXC-5A」。黒光りする本体は本当に
「黒光りしてカッコいい!」
電源を入れると、真ん中に錠前のアイコンが出てくる。ロックを外すのに20分かかり、悪戦苦闘の末、ホーム画面にたどり着く。『グーグルクローム』のアイコンがあり、早速インターネットにアクセスしてみる。
かなキーの出し方に苦労しながらも『食べログ』サイトまで到達。でも戻り方がわからない。必死の形相でいじっているうちに電源がなくなってきた。ガラケー太郎さんは、今日もスマホ相手に大苦戦だ…。
(取材・文/梅田小太郎 戎 小次郎 山岡則夫)