米マイクロソフト社が開発した人工知能ボット「Tay(テイ)」。SNS上でのユーザーとの「会話」から学習した結果、次第に差別的な発言を繰り返すようになり、公開後わずか16時間で退場する結果となったーー。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!
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言葉を覚え始めた子供は親の口癖を覚えてしまいますよね。うちでは何度か某夢の国に行くうちに、幼い息子が「よくできてるなあ」という大変かわいげのない発言をするようになりました。つまりは、ネズミに魂を売り渡したくない私と夫が、かの地で口にする最大限の賛辞がそれだったわけです。
それはAI(人工知能)でもやっぱり同じみたいです。米マイクロソフト社の開発した19歳女子という設定のAI「Tay(テイ)」は、ツイッターで悪意あるネット住民と会話するうちにひっどい差別発言を速やかに学習。暴言を連発して、すぐに緊急停止と相なりました。
一方、米ハンソン・ロボティクス社が開発した人間そっくりロボ「Sophia(ソフィア)」は、爽やかな笑顔で「人類を滅亡させるわ」と発言。開発者が笑って和(なご)ませようとしましたが、見た人をドン引きさせる衝撃映像でした。
自分を疑わず、まるで話の通じない感じって本当に恐ろしいですね。知能が高くて共感力がゼロ。これ、生身の人間でもヤバいタイプです。
最初に誰から何を学ぶかって、本当に大事。「親の顔が見てみたい」って、このことかも。
小島慶子(Kojima Keiko) タレント、エッセイスト。AIといえば、スピルバーグの映画『A.I.』。少年ロボットの一途さは、母を愛するようにプログラミングされた子の悲しさを暗示。あなたも永遠の呪いにかかったママのロボかもよ