パッケージも昔のままを再現。さすがに本体が入ってる部分は発砲スチロールではない…? (C)2016 Nintendo

1983年に発売され、国民的ゲーム機となったファミコンを約60%に縮小した手乗りサイズの“ミニファミコン”こと『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』(5980円・税別)が11月10日に任天堂より発売される。

これは、見た目は完全にファミコンそのものだがカセット交換タイプのハードではなく、あらかじめ収録された往年の名作30本をホームメニューから選んで遊べるというもの。

でも、なぜ今、ミニファミコン登場なのか? 非正規品ではあるもののファミコン互換機は溢(あふ)れるほど世に出回っている。にもかかわらず、オフィシャル商品を出す意味とは…。そこで、発売に至った経緯を任天堂広報さんに直撃!

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「この商品は特定のアニバーサリー企画とタイアップしたり、限定発売商品ではございません。HDMI端子を備えたTVやモニター、市販のUSB電源供給デバイスが普及した今だからこそ、手軽に持ち運べるコンパクトサイズにして、お買い求めいただきやすい価格で提供できることになりました。昔、リアルタイムで遊んだ方たちにも、リアルタイムではない方でも当時、社会現象を巻き起こしたファミリーコンピュータを是非体験してほしいと考えております」

とはいえ、実は何か裏事情もあるのでは…? というわけで、元任天堂社員でハード開発にも関わっていたS氏にも伺ってみました。

「私が関わったニンテンドーDSの開発当時やその前にもこのような企画は上がっていませんでした。おそらくニンテンドー3DSやWiiUが発売されてから次世代期NX発売まで時間が空いていることもあり、何か出したいくらいの感覚で立ち上がったのではないでしょうか」

ミニファミコンだったら、出せば売れるって予測もできたでしょうし?

「利益ももちろんですが、最近の任天堂の傾向として“amiibo(アミーボ)”(ゲームと連動する任天堂のキャラクターフィギュア)のように持つ楽しみ、触る楽しみを得られる商品戦略を意識しているように感じます。ゲーム以外でもコレクション要素の強いモノを作って売ることに積極的になっているように思うのです。

今回のクラシックミニもまさにそれで、コレクションしたい、ノスタルジーをくすぐりたいという消費者のニーズに応えたのではないかなと感じますね」

なるほど。では、その気になる今回の収録タイトル30本のラインナップだが…。『ドンキーコング』に『マリオブラザーズ』『スーパーマリオ』といった初期作からファミコンディスクシステム『悪魔城ドラキュラ』やスーファミ『スーパーマリオUSA』まで。これらにレトロゲーム専門店の店長たちからは大絶賛の声が上がっている。

オリジナル版を60%縮小したコンパクトな手乗りファミコン。これは誰もが触れたい、手に取りたい、欲しくなる! (C)2016 Nintendo

専門店店長やファミコン芸人からも絶賛!

本体のリセットボタンを押すと中断ポイントとしてセーブ可能。保存できるスロットは4つあるので家族で共有したり進行度の違うデータを保存も可能 (C)2016 Nintendo

●レトロゲーム専門店「スーパーポテト秋葉原店」北林洋平店長

「ややコンパクトになってるとはいえ、当時のパッケージや本体まで再現した商品を任天堂が出してくれるなんてこの上なく嬉しいです。『ゲームセンターCX』の放送やYoutubeなどに上がっているファミコン動画等で確実にレトロゲームファンの層は広がっている感があるので、これは売れると思います!」

●レトロゲーム専門店「BEEP秋葉原店」駒林貴行店長「まず先行で発表されたアメリカ版『NES Classic Edition』もネットで大注目されていた中でのミニファミコン発売はいちファン的にも嬉しかったですね。5980円は随分安いし、多すぎず少なすぎない30本のラインナップも1年は十分に遊べます。ただまぁ、ハドソンの『ロードランナー』や『スターソルジャー』が入ってないのは残念でしたけど…」

また、ファミコン芸人・フジタからは、絶賛の声とこんなプチ不満も…!

「今回の30本の中に『アトランチスの謎』が入ってますが、コレはもう僕を意識したラインナップとしか思えません! 僕は日本最速で『アトランチスの謎』をクリアできる唯一の芸人なので! ただ、ラインナップに『つっぱり大相撲』がありますが、確かに人気でしたけどメジャー感には欠けるし、即死ゲーの代名詞『スペランカー』とか入れてほしかった…。あとはRPGが『ファイナルファンタジー』しか入ってないので、せめて『ドラゴンクエスト』は入れてほしかったかな」

今回は30本のソフトが収録されたが、今後、この本体で機能拡張されたり、それ以外のゲームが遊べるということはない。当然、ファンとしては、また別のゲームが遊べる第2弾、第3弾の登場も期待してしまうところだが、「申し訳ございません、今、発表できることはございません」(任天堂・広報)とのことだった。

では、とにかくこのクラシックミニを堪能し尽くすしかない! 本体は電源とリセットボタンが元祖ファミコンのまま再現されているものの、リセットボタンは最初からやり直しではなく、“中断ポイント”でゲーム内容をセーブできるといった新機能に時代の流れを感じつつ…。

また、ホームメニューで操作しない状態のまま放置しておくと、デモ動画が流れる等、見てるだけでも楽しめたり、箱のまま部屋に飾ってもシャレオツ感あり…。もちろん、遊べば懐かしくも楽しいミニファミコン、発売が待ちきれないですぞ!

画面の大きさはこのように選択可能。あえてブラウン管テレビの雰囲気を再現するアナログモードで遊んでみるのも、なかなかオツなもの (C)2016 Nintendo

●『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』に収録された30本も画像で要チェック! 誰もが一度は遊んだことがあるゲームばかり! (C)2016 Nintendo

(取材・文/河合桃子)