音声認識で日本がアメリカに後れを取ってるのは、ビッグデータの絶対量の問題? 音声認識で日本がアメリカに後れを取ってるのは、ビッグデータの絶対量の問題?

スマホをはじめ、最近では家電にも搭載される音声認識。しかし、日本はアメリカに比べてこの分野で後れをとっているという。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、その理由を考察する。

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ホリ 音声認識といえばアップルの「Siri(シリ)」が有名だけど、最近はアマゾンの「Alexa(ア レクサ)」が注目されているみたいだね。「スマホの次のプラットフォームになる」なんて評価もあるくらいだし。

ひろ 日本企業は昔、音声認識に関して優れた技術を持っていましたよね(1960年代頃から開発)。

ホリ 音声認識の技術って、ビッグデータを使ってディープラーニングできるようになってから潮目が変わったんだよ。膨大なデータを分析して機械が自己学習できるようになって、精度が格段に上がった。だから、膨大なデータや世界有数のサーバーを持っているアマゾンやグーグル、アップルが有利なんだよね。

ひろ その点、日本の企業は…。

ホリ もう、日本とかアメリカとかいってる時代じゃないと思うよ。俺は優れたサービスをつくり出してくれるのなら、どの国の企業でもいいと思う。

ひろ でも、国の違いは大きいと思いますよ。アメリカは技術の一部を無料公開して、他社に「使ってもいいよ」という企業が多いですよね。でも、日本の企業だったら「他社が作ったソフトでトラブルが起きたら困るからやめよう」ってことになる気がします。

ホリ そういえば、アレクサが搭載されたパーソナルアシスタント端末のアマゾン「Echo(エコー)」(話しかけるだけで天気予報を教えてくれたり、家の電気をつけたり消したりしてくれる/日本未発売)が、TVCMの声を認識して、間違えて自宅に商品が届いてしまったというニュースがあったよね。

ひろ ええ。そんなときアメリカでは、代金を支払って、謝って終わりになるんですよ。「とりあえず進めてみて、不具合があれば直せばいいじゃん!」という考え方の会社が多い。でも日本だと、担当者は「失敗した」というレッテルを貼られて、出世に響くとかあったりすると思うんです。そんな感じで、チャレンジできない風土があるような気がするんですよ。

ホリ 風土もあるだろうけど、音声認識では日本の企業はビッグデータを持てなかったことのほうが大きいと思うよ。

ひろ でも、データは持ってても責任問題がついて回りそうですけどね。人工知能(AI)が下した判断が意図しなかった状況になったとき、誰がどうやって責任を取るのかとか…。

ホリ いや、日本がアメリカに後れを取ってるのはビッグデータの絶対量の問題だと思う。AIが学習するには、基となるデータが大量に必要。でも、ユーザーから許諾を取れてる音声データをそんなにたくさん持ってない。

★後編⇒ホリエモン×ひろゆきが理解に苦しむ保守的な日本企業「ヘンな責任論とか世間体を気にしないでチャレンジしないと」

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき) 1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)