法的に明確ではない「VALU」のサービスを日本でやるのは相当リスキー?

ユーチューバーのヒカル氏の騒動でも話題となった「VALU」。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"と堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、前編に続き、「VALU」の問題点について議論する!

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ひろ じゃあ、例えば僕が「週プレコイン」ってのを作って、実際の競馬と同じオッズで販売するじゃないすか。ほいで、週プレコインが増えたり減ったりするわけですけど、払い戻しは別の事業者を使う。VALUが言ってるのって、これの流れだから合法ってことですよね。

ホリ ん? 何が言いたいの?

ひろ 例えば、「鉄の玉を売る」のは合法、「鉄の玉が増える遊びをする」のは合法、「別の会社がその鉄の玉を買い取る」のは合法。3つとも合法です。そして、それを総合するとパチンコ屋さんの仕組みになるわけです。でも、これを素人がやると違法になります。合法な行為の積み重ねが合法になるわけではないってのが、日本の法なんです。

ホリ それは、ギャンブルだったら違法だけど、そうじゃないなら合法ってことでしょ。

ひろ でも、ヒカル君は数千万円レベルで儲けたって話じゃないですか。それで「有価証券じゃない」ってのは、ちょっと無理がある気がしますが...。

ホリ てか、そもそも「法律で想定されてなかった業態」ってのがリアルなところでしょ。俺も「トレーディングカードのようなもの」って話してるけど、それはイメージしやすくするためで、厳密に言えば違うっちゃ違うから。

ひろ トレーディングカードってただの紙ですけど、VALUは株みたいに優待を明示した場合に、優待を受ける権利を有したモノなので違っちゃいますよね。繰り返しになりますけど、数百円レベルだったら面白いってのでいいと思うんですけど、数千万円単位で動いちゃうと面白いっていう評価を超えちゃうと思うんです。

ホリ じゃあ、ひろゆき的にはどうすればよかったと思う?

ひろ もし僕が運営する側なら、日本ではやらないです。

ホリ ははは(笑)。

ひろ だって、合法を積み重ねていっても、組み合わせで違法になるとか意味がわからないじゃないすか。なので、法的に明確ではないサービスを日本でやることは相当リスキーだと思うんですよ。だって、日本って検索エンジンの機能が違法だったんですよ(2010年に合法化)。

政府が過剰な消費者保護の仕組みをつくっている

ホリ だから、もし日本の規制がキツくなるようなら、VALUはエストニアとかに移転するかもね。この手のサービスに比較的寛容な国だし。

ひろ 日本って、政府が過剰な消費者保護の仕組みをつくってるんですよね。なんといっても「こんにゃくゼリー」を販売中止にする国ですから(現在は新タイプを販売)。

ホリ 懐かしいな(笑)。

ひろ んで、それが本当に消費者の安全を意識しているかっていうとそうでもなくて、こんにゃくゼリーを規制しておいて、こんにゃくゼリーよりも死亡事故が多い餅は規制してない。VALUも同じパターンになりそうな気がします。

ホリ そうなるともったいないよな。面白いサービスだけに、しょうもない規制で潰れるのは避けてほしいところだよ。

ひろ 日本から「goo」とか「infoseek」とかの検索エンジンの会社がなくなりましたが、僕的にはなんだかデジャブを見ているような気がしますけどね。

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき) 1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)