「CASH」は何も考えたくない人には便利なサービス?

サービスをいったん停止していた質屋アプリ「CASH」が利用を再開した。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、前編に続き、このサービスの評価について語る!

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ホリ まあ、CASHに買い取り依頼を出すのは、メルカリに出品するのすら面倒くさいと感じている層だろうしね。あと「ZOZOTOWN」のツケ払いとかもそう。あれって、マルイの赤いカードの現代版みたいな感じじゃん。

ひろ ZOZOTOWNのツケ払いは、利用者が100万人を突破したって話ですし、かなりの需要があるみたいですね。こういうのを見ていると、昔からあるモデルの焼き直しってやっぱり強い戦略っていえますよね。

ホリ ZOZOの場合はマルイと違ってわざわざお店に行く必要がないから、ターゲットが全国なのもすごい。

ひろ ですよね。マルイの赤いカードのときは、近所にマルイがない人のほうが多かったわけですし、そもそも10代だとカードが作れなかったりする。ってことで、ネットのおかげで「下流食いビジネス」は、より規模がデカくなったんじゃないすかね。そういうお金に困る層でもスマホは普通に持っていますし。

ホリ そうなんだよね。

ひろ お金に困っていてツケ払いで服を買うなら、シェアサービスやレンタルサービスという選択肢もあると思うんですよ。

ホリ 最近はやっているよね、月額制で服が借りられるサービス。

ひろ でも、ちゃんと計算して合理的にお金を使う層って少数派だと思うんです。まあ、今に始まったことではないですけど、例えば「7日間無利子の消費者金融」とかって7日以内に返す人より、結局、過ぎちゃう人が割と多いみたいなんですよね。んで、100円のレンタルビデオだって延滞金で持っているビジネスモデルって聞きますし。

「下流の人を食い物にする」ビジネス

ホリ メルカリで売ることが面倒だからって、買い取り額が多少安くてもCASHで売る人たちは確実にいるから、このビジネスモデルはやっぱりありだよね。

ひろ 下流層の人にとっては、現金化の速さは重要ですからね。

ホリ 決して有利な条件じゃないけど、それでも売るってことは、結局、利用者は何も考えたくないってことだよ。同じ物を売るにしても、ちょっと工夫すれば少しでも高くすることはできるのに。

ひろ まあ「考えない人が損をする」っていうおなじみの流れと、そういう「下流の人を食い物にする」というこちらもおなじみのビジネスってことですね。

ホリ 構造はよくあるパターンってことね。

ひろ ってことで「何も考えていないと搾取され続ける」ってことですが、そういう人は「ちょっと考えたらお得になりますよ」と言ったところで、行動を変えないでしょうね...。

ホリ だね。

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき) 1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)