「AIに負けないために人間味あふれるトークで勝負」という『Happyアンテナ』のパーソナリティ内川樺月さん 「AIに負けないために人間味あふれるトークで勝負」という『Happyアンテナ』のパーソナリティ内川樺月さん

近い将来、女子アナがいらなくなるかも?

コミュニティラジオ局のエフエム和歌山が、7月から“起用”しているAI女子アナウンサー「ナナコ」が話題だ。ナナコは現在、深夜や早朝を中心に一日に10回以上、ニュースや天気予報を伝えている。平坦(へいたん)なしゃべりで多少の違和感はあるものの、内容を知るには問題ないレベルだ。

エフエム和歌山のクロスメディア局長、山口誠二氏が起用の理由を語る。

「深夜3時や早朝6時といった時間に毎日、ニュースや天気予報を放送しているコミュニティラジオ局はほとんどないと思います。例えば、朝の6時にニュースを流すためにはスタッフは4時に局に集まらなければならない。そこまで人手と予算をかけるのは厳しい。でもAIアナウンサーを使えば、お金をかけずにニュースを流せるんです」

ナナコは新聞社から送られてくるニュース原稿を自動で修正するシステムと、文章をリアルな声に変換するアマゾンウェブサービスの「アマゾンポリー」を使用したシステムで、現在の年間運用コストは約400円と激安。そんな“優秀”なアナの登場を、同局のパーソナリティはどう見ているのか?

同局の番組『内川樺月(かつき)のHappyアンテナ』を担当しているシンガー・ソングライターの内川樺月さんは脅威を感じているという。

「噛(か)むこともないし、声のコンディションが悪くなることも、読み方を間違えることもない。機械ならではの安定感を感じます。しかも、最近はDJもやり始めたんですよ。私の番組と重なる部分もあります。ですから『私は必要なくなるんじゃないか』と心配しています」

DJナナコは選曲も担当し、局で人気の曲や最新曲から、季節感の合わない楽曲を除いて放送する。そして、曲が始まるときにはタイトルとアーティスト名を紹介するのだ。

「さらに今後は、リスナーからのメッセージを読み上げるようにもしようと思っています」(前出・山口氏)

こうなると、ほとんど人間のパーソナリティと変わらない。ナナコにはリスナーからの応援メッセージも届くようになったという。さらに、10月上旬には「ハチ太郎」という男性AIアナも登場し、ナナコと共に仕事の範囲を広げている。

マジで女子アナがいなくなる日は近いかも!?