このご時世、いつどこでアブないドライバーに遭遇しても不思議はない。
少しの出費で不測の事態に備えられる必須の装備、それがドライブレコーダーだ。その選び方のコツとは?
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意外に知られていないことだが、ドライブレコーダーが撮影した画像は、テレビの家庭用レコーダーのようにハードディスクに記憶されるのではなく、カメラなどでおなじみのSDカードなどがメディアとなるため、録画時間がそれほど長くない。フルHD画質で録画した場合、8GBのSDカードで1時間前後、16GBでも2時間前後というのが一般的だ。その容量がいっぱいになると、また最初から映像を上書き、を繰り返していくのである。
だから事故に遭った瞬間をカメラがとらえていたとしても、そのまま録画が続けられていると、大事な画像が上書きされてしまう恐れがある。
「ですが、G(加速度)センサーが内蔵されていれば大丈夫。急ブレーキなどの衝撃で作動し、事故の瞬間とその前後数十秒の映像を自動的に別フォルダに入れて保存するので、上書きされることがありません」(スーパーオートバックス東京ベイ東雲[しののめ]・ドライブレコーダー売り場担当、浮田義之氏)
同様の理由で、手動で録画できる機能があれば便利だ。延々と危険な煽(あお)り運転をされた場合、接触などの衝撃がない限り、自動録画のままだとやがて上書きされてしまう危険がある。そんなときに手動で録画を開始すれば、これも別フォルダに保存されて消失の心配がない。
「また、事故とは関係ありませんが、運転中に例えば景色のきれいな場所に差しかかったとき、手動で録画しておけば後で見返すこともできますよ」(浮田氏)
さらに急な露光の変化に対応できる機能があれば、トンネルの出入りの直後や、逆光などのシチュエーションでも白飛びや黒つぶれが起こりにくくなる。
「HDR(ハイダイナミックレンジ)もしくはWDR(ワイドダイナミックレンジ)機能がそれです。暗い場所と明るい場所の映像のつなぎ目をうまく合成し、露光が急変した瞬間でも鮮明に録画できます」(浮田氏)
もっともここまで挙げてきたような機能は、カー用品専門店の店頭に並んでいる最新製品のほとんどが搭載しているとのこと。
5000円以下で買える中国メーカーのものは?
では、このところネットでよく見かける、5千円以下で買える中国メーカーのものはどうなのだろう? なかにはフルHD画質をうたうものもあり、何もないよりは、たとえ気休めでも取りつけておいて損はないように思えるのだが。
PCやスマホでは中国製品のクオリティが格段に上がっていて、日本勢が束になってかかってもかなわない世界的なシェアを握っているメーカーも少なくない昨今だし、意外に使えるものがあったりして…。
「確かに、映像を残すという意味では、ある程度の保険にはなるでしょう。パッケージに書かれている機能だけを見れば、そこそこ役立ってくれそうな気にもなります。ただドライブレコーダーは、万が一の事態に備えて設置するもの。いつ訪れるかわからない“いざ”というときにどれだけ働いてくれるかで真価が問われるのです。突然のトラブルの際に的確な画像が撮れていなかった…では泣くに泣けません」(浮田氏)
その点で、格安ドライブレコーダーは使い勝手や耐久性などに不安があり、割り切って使える人以外が手を出すのはオススメしかねるという。
「しかも日本メーカーの商品の多くは3年前後の品質保証がついていますが、格安のものは無保証。安物買いのゼニ失いになってしまっては元も子もありません」(浮田氏)
なるほど。やはり信頼できるメーカーの定評あるモデルを選ぶべきだということだ。
(撮影/村上庄吾 取材協力/スーパーオートバックス東京ベイ東雲)