ホンダの上級車、オデッセイ、NSX、レジェンドを押しのけて(?)、存在感を示すN-BOXとN-BOXカスタム。5年ぶりのフルチェンジは異例(左からオデッセイ、N-BOXカスタム、NSX、N-BOXカスタム、レジェンド) ホンダの上級車、オデッセイ、NSX、レジェンドを押しのけて(?)、存在感を示すN-BOXとN-BOXカスタム。5年ぶりのフルチェンジは異例(左からオデッセイ、N-BOXカスタム、NSX、N-BOXカスタム、レジェンド)

軽自動車(以下、軽)のホンダN-BOXが5年9ヵ月ぶりにフルモデルチェンジ! 

パッと見、初代と変わってないようだけど、その中身は? N-BOXバカ売れの背景と“ナンバーワン軽”の進化の裏側に迫る!

■モデル末期でもナンバーワン!

新型N-BOXは正真正銘の新型車だが、見た目はオーナーでないと変わったことにすら気づかないほど初代に酷似している。

ただ、見た目はそうでも、新型N-BOXのクルマ本体は、ほとんどゼロからの新開発。しかも「ホンダ初!」の新技術と「マジで軽かよ?」とビックリするほどの贅沢(ぜいたく)装備がテンコ盛りなのだ。

というわけで、新型N-BOXのデキは、とにかくものスゴいことになっている。

新骨格のおかげで、乗り心地はまるでレジェンドのように(?)高級で重厚である上、ビシーッと安定している。そして、最も驚くのは先代と比べて、走行中も飛躍的に静かになっていることだ。

新エンジンはひと言で言えば超パワフル。ターボが速いのは当然としても、新型N-BOXのスゴさは、NAエンジンでも他社のターボに大きく引けを取らないくらいの力強さがあることだ。

新型N-BOXのものスゴさは、こうした走りの部分だけにとどまらず、室内空間にも見られる。なかでもビックリ仰天の飛び道具は、軽で史上初めて前後ウォークスルーを実現した「助手席スーパースライドシート」だろう。

「乗車定員ひとり当たりの広さ」という意味では、4名のN-BOXの室内空間が7名のオデッセイをしのぐほど広いのは今や常識だが、軽のN-BOXが白ナンバーのミニバンに負けていた唯一の弱点が、軽特有の室内幅の狭さゆえに「前後ウォークスルーができない」ことだった。しかーし、新型N-BOXは、ついにその壁を打ち破ってしまったわけだ。

 左右席を前後にズラす…というまさかの発想で軽初のウォークスルー! 左右席を前後にズラす…というまさかの発想で軽初のウォークスルー!

ファミリーカーの新基準になる!

そのカラクリは「フロントシートを前後に大きくズラす」という目からウロコのアイデアだ。これによって、新型N-BOXに乗れば、軽でも「前後席を立ったまま移動できる」という歴史的瞬間(?)に立ち会えるだけでなく、助手席のシートを大きく後ろにスライドさせて「後席のチャイルドシートに座る子供の世話ができる」という子育てキラーアイテムも手に入るのだ!

ほかにも、新型自動ブレーキなどの「ホンダセンシング」や「LEDヘッドライト」を、新型N-BOXではなんと全車に標準装備! おい、これって本当に軽なのか?

安全性や快適性、そして最新流行コスメ…と、今どきの思いつくクルマの装備や技術のほぼすべてが新型N-BOXで手に入る。そして、それらを投入した開発陣の気合いを見ていくと、新型N-BOXはやっぱり、NSXやレジェンド、オデッセイすらしのぐ“現役最強のホンダ車”と言うほかない超力作なのだ。

 「軽の室内がどんなに広くなっても、これだけはムリ!」と言われてきた前後ウォークスルー。その常識を破った助手席スーパースライドシートは今回最大の飛び道具だ 「軽の室内がどんなに広くなっても、これだけはムリ!」と言われてきた前後ウォークスルー。その常識を破った助手席スーパースライドシートは今回最大の飛び道具だ

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(取材・文/佐野弘宗 撮影/池之平昌信)