iPhone8とiPhone Xが発売され、旧モデルとなったiPhone7が今、タダ同然で投げ売りされている!?
一部の家電量販店、キャリアショップ、併売店では「一括1円」「一括0円」のポップやポスターが張られ、オトク感を演出。2年縛り明けユーザーは今すぐ飛びつくべきなのか? 落とし穴はないのか?
■「一括0円」は本当にオトクか?
年末商戦を迎え、家電量販店のスマホ売り場の呼び込みの声もいっそう熱を帯びてきた。もちろん主役は今年9月、11月と立て続けに発売されたiPhone8とiPhone Xだ。
しかしこれらのデモ機が並ぶディスプレイをよく見ると、気になるポップが…。「iPhone7 一括1円」と、白地に赤い文字で大きく書かれている。ひょっとしてこれ、ホントにiPhone7が“1円”で手に入るの?
「はい。iPhone8、Xが出たので、7は処分価格になってます。他社からの乗り換えが条件ですが、iPhone7の32GBを今なら1円でお持ち帰りいただけますよ!」(家電量販店販売員)
うわ!? 去年iPhone7が発売されたとき、32GBモデルの価格は約8万円から約9万円だったはず。それがたったの1年で1円に?
「一部の家電量販店での一括1円はもう当たり前、キャリアショップでも一括0円、複数のキャリアの端末を取り扱う併売店のツイッターをチェックすると『一括0円にキャッシュバック2万円!』なんて条件も見つかりますよ」
こう話すのは、スマホの料金事情に詳しいフリーライターの後藤一泰氏だ。最新iPhoneに特にこだわらないなら、今が買い替えのチャンスなのか?
「いや、ちょっと待ってください。実は一括0円とか一括1円とかの価格は、発売時の価格と単純に比較できるものではないんです。例えばソフトバンクのiPhone7(32GB)の発売時の価格は8万8080円でしたが、毎月の利用料金から『月月割』によって3220円が割り引かれるため、2年間使用したときの実質価格は1万800円でした。ドコモ、auも同様に『月々サポート』『毎月割』の適用などで、実質価格はぐっと抑えられていたんです。
ところが今回の一括0円や一括1円には、そうした月々の割引は適用されません。ですから、2年間使うことを考えて比較したら、今回の『投げ売り』で得られるメリットは1万円ちょっとでしかないと考えるべきでしょう」(後藤氏)
う~ん、それでも1万円の差は小さくないはず。そう考えればオトクなのかも…。
「はい、そういう考え方もできます。しかし旧モデルを値引きする一方で、ニューモデルのiPhone8にもユーザーを惹(ひ)きつける施策が用意されています。例えばドコモのiPhone8(64GB)は8万8776円ですが、月々サポートで5万7024円が割り引かれ、実質価格は3万1752円になります。そして今使っているiPhone6sを下取りに出すとさらに2万6568円が割り引かれ、実質5184円になるんです。2年間使うことを考えたら、去年発売された旧モデルを一括0円で買うより、5000円ちょっと多く支払って最新モデルを使うほうが気持ちいいって考える人が多いんじゃないでしょうか」(後藤氏)
隠された落とし穴とは?
■短期解約を阻む懲罰的な解除料
確かに。でもこれ実質価格だから、2年間使ったときの話ですよね。投げ売りのiPhone7をとりあえずタダで手に入れて、気に入らなかったら短期解約して、来年以降に出る次期iPhone(8s?)にまたMNPするってのはダメなのか?
「実はそこに、大きなワナが隠されているんです」(後藤氏)
そ、それはどんな!?
「販売競争が激化するなかで、型落ちのケータイやスマホの短期解約を繰り返し、手元に残った本体を転売して荒稼ぎする『ケータイ成金』が台頭しました。キャリア各社はその対策として、短期解約に対して“懲罰的な解除料”を導入したのです。今回の投げ売りでも一括0円の条件に、ドコモの『端末購入サポート』、auの『MNPau購入サポート』、ソフトバンクの『一括購入割引』が適用されている場合、12ヵ月もしくは24ヵ月以内の解約やMNPには高額な解除料がかかります。
例えばソフトバンクの一括購入割引では、利用期間1ヵ月での解除料が7万2450円となり、アップルストアのSIMフリー版iPhone7(32GB)の価格に匹敵します。また12ヵ月使ってからでも解除料は3万4650円かかります。そこにさらに2年縛りの解除料も上乗せされるわけです。つまり一括0円で購入しても、長期間使わなければ損をしてしまうことになります」(後藤氏)
そんな落とし穴が隠されていたとは…。では、どんな人ならメリットがあるのか?
「まず、手持ちの古いiPhone6sを下取りに出さず、SIMロックを解除して万一のときのサブ機や、海外で現地のSIMを利用したいと考えている人です。手持ちのiPhoneのほかにもう1台を手に入れるには、たとえ中古のiPhoneでも、それなりのお金がかかります。しかし一括0円でiPhone7を買えれば、MNP転出手数料や契約事務手数料だけで済みますからぐんとオトクです」(後藤氏)
なるほど。ほかには?
「例えば併売店のキャッシュバック付き一括0円販売を、条件込みできちんと理解できる人です。キャッシュバックを受けるには複数の有料コンテンツの契約が必要だったりするケースがほとんどです。最低利用期間などの条件をクリアして解約すれば、1万、2万円のキャッシュバックを丸ごと受け取ることができるはずです。ただ、併売店の条件は複雑で内容もころころ変わります。よくわからない人は手を出さないほうがいいでしょう」(後藤氏)
この年始にiPhoneの買い替えを考えている人、一括0円が自分にとって本当にオトクかどうか、よ~く考えよう!