長期的には犯人が勝ってしまう!? 長期的には犯人が勝ってしまう!?

不正アクセスによって仮想通貨取引所「コインチェック」から仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した事件。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏はこの事件をどう見たのか? 前編に続き、仮想通貨の安全性を考える!

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ひろ コインチェックはノミ行為をしていたという噂もありますよね。そうだとしたら、詐欺にあたる可能性はけっこう高いんではないかなと。

ホリ でも、ノミ行為って競馬とかだと違法だけど、仮想通貨とかFXだと合法だからね。あと、さっきも言ったけど、コインチェックってビットコイン以外は取引所じゃなくて販売所なの。だから、ノミ行為もクソもないよ。

ひろ そうなんですけど、今、コインチェックのホームページを見たら、思いっきり“取引所”って書いちゃってますよ(笑)。

ホリ うん(笑)。でも、実際は販売所機能しかないと思うよ。ビットコインだけ取引所機能を提供してて、オルトコインは販売所。なぜなら、オルトコインはボラティリティ(価格の変動の激しさ)が大きすぎて取引所だとリスクが高いと判断していたんだと思う。

で、技術系の会社をやっていた経験からすると、こんな簡単な実装でも、サクサクやれるエンジニアを採用するのは大変。やっぱり、オルトコインの扱いを増やしすぎて、「後でやればいいや」って思っていた可能性は高いよ。

ひろ でも、売り上げベースで年間100億円以上の利益が上がってる。ってことは、エンジニアを年俸5千万円とかで雇えばいいだけの話なんですけどね。

ホリ たぶん横着していたんだよ。利益が出まくって緩むダメなパターンだね。

ひろ ええ。だから、その横着って故意だと思うんですよ。なので「最善を尽くした」ってのは嘘ですよね。

ホリ まあ、そこはグレーゾーンだね(笑)。でも、そういうポジショントークをしないと叩かれる。

ひろ 嘘を積み重ねるのはよくないと思うんですよね。盗難に対しての個人への補償も発表だけして、実際には実行されてないですし。ま、厳密には嘘ではなくて、「まだやってないだけ」なんですけどね。

マンガの『カイジ』の利根川幸雄のセリフ「金を払うとは言ったが、いつ払うとは言ってない。10年後かもしれんな」みたいなことがあるかもしれないですし。

ホリ まあ、そこはさすがにやると思うよ。払わないと捕まるだろうから。

ひろ 結局、会社の方針や行動が成熟してないんですよね。そこが見ていておもしろいんですけど。

こういった被害は止められない可能性が高い

ホリ NEMを盗んだ犯人は無事に現金化できるのかね。

ひろ 今の段階だと余裕でできそうな感じですけどね。NEM財団が盗まれたNEMの取引にマーキングをしていて、取引所は「このマーキングによって足がつく」と言っていたんですけど、調べていくと実はマーキングできていない部分があるんですよ。

ホリ へー。

ひろ NEM財団のほうで引き継ぎがうまくいってないのかどうかはわからないですけど、すでに穴が出てきているんです。結局、犯人は換金することにめっちゃモチベーションがあるわけですが、NEM財団のほうはそれを防ぐ予算は限られているし、モチベーションもそんなに高くない。だから長期的には犯人が勝ってしまうかと。

ホリ なるほどね。

ひろ 例えば、1000のアカウントにひとつずつNEMを配って、その1000のアカウントがさらに1000のアカウントを作って…とかやると、100万個のNEMの口座ができるわけですよ。100万個の口座に盗難の印をつけるのに何分かかるのか計測して、20分以上かかるとかだったら、その間に換金できちゃうんです。

NEM財団が100万個の新規アカウントをすべて監視して印をつけるってなると、多大な監視コストがかかるわけですよ。んで、犯人はそれを10年後にやるかもしれないわけで、10年間も監視コストを払い続けるモチベーションがあるのかなというと厳しいと思います。

ホリ だよね。

ひろ だから、僕はこりゃ犯人はおいしいなぁと思っています。そんで、さっき僕が言ったことをやるには、それなりのサーバーが必要なんですけど、仮想通貨で代金を払えるサーバーっていっぱいあるんですよね。

ホリ はいはい。最近、そういうところがどんどん増えているよね、で、そういうところは取引所じゃないので、盗難の印がついていたら拒絶するみたいな連絡網から抜けている可能性もある。

ひろ ですです。って考えると、やっぱり犯人側に有利な結末になるんですよ。大量の口座を一気に作って、ちょっとずつバラまいて、ちょっとずつビットコインとか別の通貨に替えればいいわけですから。そうやってわからなくした後に、どっかでまとめて素早く現金化とかもできちゃったりする可能性があったりします。

ホリ まあ、盗まれた現金の番号を公開しても、たばこ屋さんのおばちゃんとかは知らずに受け取ったりするのと同じだよね。

ひろ ですね。

ホリ ってなると、こういった被害は止められない可能性が高いかもね。んで、そのうち今回の事件をみんな忘れちゃって、また何事もなかったかのように普通に取引されるんだろうね。

『週刊プレイボーイ』9号(2月9日発売)に掲載

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき) 1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『無敵の思考―誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21』(大和書房)