フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツ4代目Aクラス、A200 フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツ4代目Aクラス、A200

約6年ぶりにフルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツ4代目Aクラスを最速試乗。クラス最強を狙う新型の全貌に迫る!

■ベンツの世界戦略車がフルモデルチェンジ

JAIA(日本自動車輸入組合)の調べによると、昨年、海外ブランドの新車販売は30万台を突破! 30万台の大台を超えたのは約20年ぶり。その中で特に販売を伸ばし続けているのが、メルセデス・ベンツだ。

3年連続で海外ブランドの販売トップに輝いただけでなく、販売台数は過去最高を5年連続で更新した。プレミアムブランドでありながら、日本では最量販の海外ブランドという面もある。

ちなみにメルセデス・ベンツは昨年、全世界で約228万9千台を売り、ここでも過去最高を記録している。そんなメルセデス・ベンツがライバルを蹴散らし、トップを奪いたいと考えているのが、世界的な激戦区であるCセグメント市場だ。絶対王者であるVW(フォルクスワーゲン)ゴルフを筆頭に、BMW1シリーズ、アウディA3など強力なライバルたちがしのぎを削っている。

そこにメルセデス・ベンツが送り込んでいるのがAクラスだ。97年登場の初代から現行3代目までの世界累計は300万台以上を誇る。ちなみにAクラスのオーナーの6割がメルセデス・ベンツの新規の顧客だ。また、昨年に58万台超を売り、最大のマーケットに成長した中国では、Aクラスのオーナーの平均年齢は30代となっている。

要するにAクラスはメルセデス・ベンツの入門車であり、上級車種へとユーザーを誘導する役割を担っている。もちろん、Cセグメントで勝利するという命題も解決しなければならない。マジで重要なモデルなのだ!

そして今年2月、4代目となる新型Aクラスが発表された。一体どんな走りと装備なのか? ということで、クロアチアで新型Aクラスをがっつり試乗してきた自動車ジャーナリストの河口まなぶ氏に語ってもらおう!

■ゴルフを超えた! 新型Aクラスの実力

―まず新型Aクラスを試乗した率直な感想は?

河口 新型Aクラスを試乗した瞬間に、これはゴルフを超えた!と思いましたね。当然、BMW1シリーズやアウディA3をも凌駕(りょうが)する仕上がりになっています。ただ、ゴルフやその他のライバル車はモデル末期。これから新型が登場する予定なのでCセグメント市場の競争は過熱するはず。

―具体的にどこがゴルフを超えていました?

河口 最初に試乗したA250エディション1という最も装備が充実した上級モデルは、「マジか!?」というほど乗り心地がよかった。もしかするとAクラスよりも上のグレードであるCクラスを超えたかも!と思ったほど。実に滑らかな乗り心地でした。しかも静粛性が非常に高い!

―最も買いやすい価格になりそうなA200の試乗は?

河口 しました。ルノーと共同開発した1.4リットル直4直噴ターボを搭載しており、最高出力163馬力。こちらはスペック的にはA250より劣りますが、男性3人乗りでも力不足は感じませんでした。

Sクラスの装備や機能をAクラスに載せている

―10・25インチのディスプレイが2枚連結したインパネも近未来的だと話題です。

河口 従来のようなメーターフードがなく、ドライバーの目の前にはフル液晶の画面がドーン! 右側の液晶はタッチパネルが仕込まれており、スワイプ操作が可能です。

―なるほど。AIを用いた、ウワサのコミュニケーションシステム「MBUX(メルセデス・ベンツユーザーエクスペリエンス)」はどうでした?

河口 ドライバーが「ヘイ、メルセデス!」と声をかけると、クルマが即座に「ハウ・キャナイ・ヘルプ・ユー?」と答えてくれ、「アイム・ホット」と言うと、エアコンの温度を1℃下げてくれる。また、「アイム・ハングリー」と言えば、近くにあるレストランのリストを表示してくれ、クルマのほうから「どこにする?」と聞いてきます。AIを搭載しているので、ドライバーの声の癖や好みなども学習します。

―安全装備やはやりの運転支援システムの進化は?

河口 前車に追従してアクセル、ブレーキ、ハンドルをクルマが操作してくれる「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」を備え、高速ではウインカー操作をすると自動的に車線変更します。

―コンパクトカーのAクラスなのに、装備や機能がマジでスゴくないですか?

河口 最上級モデルであるSクラスに搭載されている装備や機能をさくっとAクラスに載せちゃってますからね。今度のAクラスは既存のヒエラルキーをぶっ壊したなと。

―新型Aクラスの日本登場はいつ頃になりそうですか。

河口 現地で関係者を取材しましたが、日本導入は年内に間に合うかどうかですね。

―最後に価格予想を!

河口 A200のベースモデルは独本国で3万3千ユーロ(約430万円)と発表されています。ですから、A250は500万円突破が濃厚かなと。いずれにせよ、Aクラスは男が注目すべき一台だと思います!

 シートに滑り込むと、目に飛び込んでくるのは正面にある10.25インチの高精細2連ディスプレイ。指操作も可能 シートに滑り込むと、目に飛び込んでくるのは正面にある10.25インチの高精細2連ディスプレイ。指操作も可能

 エンジンは新開発の1.4リットルガソリンターボエンジンを搭載。最高出力は163馬力。7速DCTと組み合わせて最高速度は225キロ エンジンは新開発の1.4リットルガソリンターボエンジンを搭載。最高出力は163馬力。7速DCTと組み合わせて最高速度は225キロ

 荷室は現行3代目よりも29リットル拡大して370リットルに。リアシートを倒せば1210リットルへ。これで現行のゴルフに匹敵するレベルへと進化! 荷室は現行3代目よりも29リットル拡大して370リットルに。リアシートを倒せば1210リットルへ。これで現行のゴルフに匹敵するレベルへと進化!

■メルセデス・ベンツ A200 全長×全幅×全高:4419㎜×1796㎜×1440㎜ 駆動方式:FF 車両重量:1375㎏ エンジン:1.4リットル直列4気筒DOHCターボ 最高出力:120kW(163PS)/5500rpm 最大トルク:250Nm/1620rpm トランスミッション:7速DCT サスペンション:前マクファーソンストラット後トーションビーム タイヤサイズ:前後205/60R16 使用燃料:プレミアムガソリン

(取材・文/黒羽幸宏 写真協力/メルセデス・ベンツ日本)