フルモデルチェンジを果たした第2世代となるアウディQ5 フルモデルチェンジを果たした第2世代となるアウディQ5

アウディのSUVを示す「Q」シリーズ。同ブランド初のクロスオーバーモデルはフルサイズSUVの「Q7」だったが、その後、世界各国の販売でプレミアムミッドサイズSUVのトップセラーに躍り出たのは、中核クラスに位置する「Q5」だった。

日本では2009年から初代の販売が開始された「Q5」。発売当初からシングルフレームをフロントに配し、新世代のアウディであることを強烈に印象づけた。背が低いモデルとは一線を画すSUVならではの迫力とアクティブな性格を包んだフォルム。スーツ姿も似合う端正なたたずまいが備わっていたことで、SUVを乗用車感覚で自然に乗りこなすことができたユーザーも少なくないハズ。

そんなQ5は改良の手が幾度となく加えられながら熟成が進んだが、実質的にはマイナーチェンジの域を抜け出ることは決してなかった。

そして、昨年10月、フルモデルチェンジを果たした第2世代となるQ5が日本に上陸。フロント回りはハイテク機能を持つランプユニットや水平基調を強調したシングルフレームグリルを用いて、最新世代のアウディの風貌に。プロポーションしかり、一見した印象はキープコンセプトで、「ホントにフルモデルチェンジしたの?」と感じる人も少なくないだろう。

しかし、わずかな部分に多大な進化を与えるあたりが今のアウディ。基本骨格は、A5やQ7などに用いられている縦置きエンジンを軸とした「MLB evo」プラットフォームを採用した正真正銘の新型モデル。ボディサイズは、全長は先代よりも50mm長く、全高は5mm背が高く、ホイールベースは15mm長く取られている。意外なのは、全幅が1900mmで変化ナシだったこと。初代から幅広だったともいえるが、狭い道での扱いやすさに影響すると思えば、これ以上大きくならずにホッとさせられた。

新世代のプラットフォームを採用した第一のメリットは「軽量化」だろう。各コンポーネントを最適化することで、60kg程度のダイエットに成功したそうだ。さらに、空気抵抗も低減しており、フットワークや燃費向上への効果も期待できる。

乗り手がクルマと向き合う上で最も進化を実感するのは、アウディ バーチャルコックピットをはじめとするHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の採用だろう。液晶メーターは今や数多くのメーカーが採用しているが、ドライバーの正面には12.3インチの高精細のデジタルディスプレイが配置され、LTEの通信機能を利用して、Googleマップをベースにカーナビの画面が表示される。

クオリティの高さにため息が出そうになるインテリア

●7速DCT●全長×全幅×全高:4680mm×1900mm×166mm●車両重量:1820kg●エンジン:2リットル直列4気筒DOHC16バルブターボ●駆動方式:4WD●最高出力:252PS●最大トルク:37.7kgm●最小回転半径:5.5m●使用燃料:無鉛プレミアム●車両本体価格:662万円(税込) ●7速DCT●全長×全幅×全高:4680mm×1900mm×166mm●車両重量:1820kg●エンジン:2リットル直列4気筒DOHC16バルブターボ●駆動方式:4WD●最高出力:252PS●最大トルク:37.7kgm●最小回転半径:5.5m●使用燃料:無鉛プレミアム●車両本体価格:662万円(税込) 【SPEC】

ほかにも、音楽再生、ハンズフリー通話など、便利な機能が満載。操作は音声入力に対応するほか、タッチパッドを用いて日本語の手書き入力にも対応している。基本的にはアナログメーターが標準装備で、アウディ バーチャルコックピットは約8万円程度のオプションとなるが、各モデルで徐々に採用されてきた便利機能が集約され、ようやくQ5でも使えるようになった。初代のオーナーから見れば、これだけでも新型モデルに乗り換える意味があるというものだ。

インテリアに目を向けると、アウディの文法にのっとったクオリティの高さにため息が出そうになる。細部まで緻密に計算し尽くされたパーツの造形、組み上げ精度の高さに技術力を見せつけられる。車内の広さについては、車幅は広がっていないのに室内幅は約10cm広がっている。後席は膝元、頭上が共に広いスペースが確保されているので、男性でも余裕をもって座ることが可能。家族や友人と出かける際にうれしいポイントだ。

試乗したのはTFSIと呼ばれる252馬力を発生する2リットルの直噴ターボエンジンで7速DCTのSトロニック仕様。いざ走りだしてみると、出足の軽快さに驚かされてしまう。軽量化された車重もあるが、小気味良いリズムを刻みながらエンジンの力を引き出すトランスミッションがスッキリした加速フィールを与えてくる。3名乗車でも軽々と車速を高めていけるあたりは、レジャーに繰り出すシーンを想定すると、十分な性能を発揮するだろう。軽快さはあっても、乗り味が薄っぺらく感じることもなく、基本骨格のスゴさを見せつけられる。

路面から入力を受けても、ボディはフラットな姿勢で踏ん張り、しなやかに動く足が柔軟に入力をいなし、タイヤがしっかりと路面をとらえて走る。オンザレールで走れる感覚は、スッキリした乗り味だ!

(撮影/本田雄士)

●藤島知子(ふじしま・ともこ) 1975年生まれ、神奈川県出身。文教大学女子短期大学部英語英文科卒業。01年にスーパー耐久のレースクイーンを経験。その翌年からレーサーに転身。国際C級ライセンスを持つ。テレビ神奈川『クルマでいこう!』にレギュラー出演中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員