"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。
ZOZOの前澤友作社長が、アメリカの民間ロケット会社「スペースX」による初の民間月周回旅行を発表。前編では、前澤氏と親交のある堀江氏が「ZOZO的にはこの発表で、世界での知名度を上げて世界戦略につなげるつもりだと思う」と発言。ひろゆき氏は「スペースXのCEOはいろんな分野に手を出しているので完成までに時間がかかりそう」「異常系の安全性検査は相当大変だと思う」と予想するが、これに対し堀江氏は......?
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ホリ 異常系の安全性保障はコストがかけられるから自動車と違って安全だよ。それにロケットの打ち上げから帰還までの安全設計は基本的に何十年も前に確立されているし。
ひろ でも、その「安全」という許認可を出すのがどこの役所なのか? どの保険会社が引き受けるのか? とか......。
ホリ アメリカの民間宇宙企業のトップはスペースXだから、そこに準拠して決められるでしょ。つまり、法律の制定も事実上彼らが主導することになる。
宇宙活動法では、ある一定以上の金額の損害補償は国がやることになっているし、それ以下の金額は保険会社が普通に引き受けるよ。てか、ひろゆきの言っていることは極論だよ。重箱の隅をつついてどうすんの?(笑)
ひろ 時間がかかりすぎるので、先にロケット事業に取り組んでいる「ヴァージン・ギャラクティック」に先を越されるんじゃないかと思ったりするんですよ。
ホリ ヴァージンのほうが早いってのは、あまりにも業界を知らなすぎる。彼らの技術レベルは相当低くて、へたすると途中で事業放棄もありうるからね。
ひろ マジすか? もうすでにお金集めましたよね?
ホリ 金を集めていても潰れるベンチャー企業やクラウドファンディングのプロジェクトなんてたくさんあるじゃん(笑)。それだったら、スペースXやアマゾンCEOのジェフ・ベゾスがやっている「ブルーオリジン」のほうが早いと思う。ただ、スペースXは新規開発のラプターエンジンで苦労すると思うけどね。
ひろ へー。読者的には、ああいうニュースが出ると「近いうちに月に行きやすくなるかも?」と思った人は多そうですけど、そのへんはどうなんすかね。
ホリ 今回の月旅行は、スペースXにしたらただの資金集めのネタで、あくまでも目標は火星。以前のファルコン9のときはNASAのISS(国際宇宙ステーション)輸送システムのコンペで、約1600億円の契約金を獲得して造ったけど、今回は前澤君の金で造るってだけの話。
しかも、あれってアポロ13と同じで、月着陸も月周回もせずに自由帰還軌道で帰ってくるだけだから。でも、そのへんは前澤君の世界戦略とうまく一致しているから、あの発表はお互いにウィンウィンなの。
ひろ 火星の場合だと人類移住とか壮大なメリットありますけど、月ってヘリウム3ぐらいしか資源なさそうですし、行く意味が......ですよね。
ホリ だから月って、深宇宙探査用のガソリンスタンド的な存在なんだよね。
ひろ まあ、月旅行って、エンタメ的には抜群の体験型コンテンツではありますけどね......。
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。『これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話』(徳間書店)が発売中
●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)