"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。

今回のテーマは、イーロン・マスク(スペースX社の創設者)の「2050年までに火星に100万人都市を建設する」という計画について前編では、「資源開発や研究ならロボットを送り込んで、遠隔操作したほうが安全だし効率もいい」というひろゆき氏の考えに、堀江氏は「人間を送ったほうがコストは安くなる」と語った。

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ホリ でも、ロボットはイレギュラーなことにリアルタイムで対応することができないんだよ。だから緊急事態になったときに人間なら対処できることがロボットにはできない。それこそ『マーズ・オデッセイ』(2015年)という映画で描かれているような突発的な事態なら人間のほうが臨機応変に対応できる。

ひろ 確かに『マーズ・オデッセイ』は人間の対応力の強さが出てますよね。ただ、観光客にあれを期待するのは無理かなと。

ホリ そうかな。

ひろ それに例えば歯医者がいなくて何年も歯の痛みを我慢するとか、相当キツイと思うんですよ。

ホリ 歯科医とかは一緒に連れていくでしょ。あるいは火星に行ってくれる歯科医をコスト面で優遇するとか。

ひろ それに歯科医が必要な薬品と設備を全部持っていくとか、相当な量だと思うんですよね。

ホリ だろうね。

ひろ んで、歯科だけでなく、内科や泌尿器科、婦人科とかもあるわけで、すると病院を丸ごと火星に持っていく量になりそう。

ホリ 打ち上げる前に、人間を限りなく無菌状態にするはずなので、感染症とかは基本起きないと思うんだよね。でも、火星に病院を造る勢いではあるでしょ。で、必要なものは無人機で送る。

ひろ だとすると、やはり人間よりもロボットのほうが......。

ホリ ロボットは2、3年で必ず型落ちになるし、宇宙で放射線耐性とか施さないといけない。だから、ロボットより人間のほうがトータル的な効率はいいんだよ。

ひろ すると、人間を運ばないインフラ系のコストの安い打ち上げがメインになりますよね。

ホリ そう。だから、人を打ち上げるときだけ高いコストをかける。で、無人のプラントなどは安く打ち上げる。そうやってメリハリをつけるのよ。

ひろ なるほど、そこ同意です。観光客とかを打ち上げるコストはめっちゃ高いけど、工業製品などは低コストにすると。

ホリ スペースシャトルが失敗したのは、それを一緒にしたから。ハッブル宇宙望遠鏡と人間7人を同じ基準で打ち上げていたの。

ひろ でも、今のロケットは人間基準になっていますよね。

ホリ 正確に言うと先端のカプセルの部分だけね。今のロケットはある程度の確率で失敗するのは仕方ないと思っているので、脱出カプセルを冗長化して(もしものときに備えて)安全性を担保している。無人機はその脱出カプセルがない。

ひろ 人間が乗らないと割り切ることができれば、コックピットとかトイレとかいらないですしね。人間基準だと絶対失敗しない構造にするからコストがかかるけど、無人ならたまに失敗しても諦めがつくコストで造れますしね。

ホリ だね。火星って二酸化炭素と水があるから、それを基にメタンを作れば、人間が行ったとしても帰還用の燃料が確保できる。だから、けっこう可能性があるプロジェクトだと思うんだよね。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。近著に『雇用大崩壊』(小学館)

●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『凡人道 役満狙いしないほうが人生うまくいく』(宝島社)

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