Googleが開発した独自OSを搭載するノートPC、「Chromebook(クロームブック)」。これまで一般的にはノーマークの存在だったが、最近は大手家電量販店でも販売され、実売2万円台からという超低価格が注目されている。
さらに文部科学省が推し進める、小中学生ひとりにつきIT端末1台を配布する「GIGAスクール構想」の標準仕様端末にもiPadやウィンドウズ端末と共に選定された。
ガジェット専門誌『デジモノステーション』の滝田勝紀編集長に聞く。
「ストレージ、メモリ、ディスプレイのサイズ・解像度などを最小限の構成にし、定価3万円前後でも快適に動作するノートPCがChromebookです。
Googleが開発したChromeOSはアプリの動作やデータの保存をクラウド上で行なうので、低スペックでも同価格帯のウィンドウズ端末よりストレスなく使えるのが特徴です」
海外では数年前から教育市場を中心に普及していたというChromebook。日本で注目され始めた理由は?
「今年4月上旬の緊急事態宣言の発出に前後して、リモートワークやオンライン授業用にノートPC需要が一気に高まり、大手家電店やEC、さらに中古市場からもウィンドウズ端末などの在庫がなくなりました。
そんななか、在庫が残っていたメーカー直販やGoogle直販のChromebookに飛びついたユーザーが使ってみると、リモートワークやオンライン授業はもちろん、エンタメ視聴にも問題なく使えるとわかって人気が高まりました。それもあって、8月から大手家電販売店も取り扱いを開始したのです。
もともとChromebookは北米の教育市場でシェア6割を超えるほど普及しています。日本のGIGAスクール構想で、オンライン授業や各種アプリを使うことを前提とした標準仕様端末に選定されるのも自然の流れですね」
日本でもすでに採用を決定した自治体もあるという。
「神奈川県横浜市は、本年度中に市立の全中学校へChromebookを配布すると決定しました。小学生はiPadでオンライン利用の基本を覚え、中学生はキーボードを使ってOfficeアプリの使い方も学習します。
ChromebookはOfficeも使えて、運用コストはウィンドウズ端末の約半分なので、今後も教育現場での採用は増えるでしょう」
また、教育現場だけでなく、企業でもChromebookの採用は増えそうだ。
「現在、一般企業は社内クラウドでの作業がメインとなり、小型で低スペックの格安ウィンドウズ端末の採用がほとんどです。その点、Chromebookはスペック・コスト面は最適ですが、問題となるのはセキュリティ環境。
会社のシステムとGoogleのアカウントがひもづき、なおかつ強固なセキュリティ環境を構築できれば、企業がChromebookを採用しない理由はありません」
多くのスマホよりも格安で販売されるChromebook。今後もさらなる需要アップが見込まれているようだ。