イラスト制作に革命が起きつつある。文面で指示を出せばものの数分で美麗なイラストを生成する"神絵描きAI"がここ数ヵ月でどんどんリリースされているのだ。
これらの何がスゴいのか? 専門家にマジメな話を聞きつつ、せっかくなのでこのオモシロすぎるオモチャをより楽しむ裏ワザも教えてもらったぞ!
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今年8月頃から、ユーザーの指示に沿って画像を作る「絵描きAI」がSNS上で話題をかっさらっている。代表的な絵描きAIである『Midjourney』(以下、ミッドジャーニー)は、ユーザーが「Girl Beach」(少女 砂浜)などと英語でキーワードを打ち込むと、美麗なイラストを作ってくれるのだが、その出来はプロのイラストレーターが描いたものと比べても遜色ないのだ。
使い方は簡単。絵のコンセプトを英語で伝えると1分程度で4案が提示され、それを基にブラッシュアップの指示をすればたちまちハイクオリティな絵が完成する(具体的な使用方法は文末を参照)。回数制限はつくものの無料で使える上、条件付きで商用利用できる有料プランもある。
また、ミッドジャーニー以外にも、『Stable Diffusion(ステイブル・デイフュージョン)』『DALL・E2(ダリ ツー)』など、無料の絵描きAIがここ1、2ヵ月で続々とリリースされている。
こうした絵描きAIを上手に使いこなすには? クリエイティブユニットのTHE GUILD代表で、絵描きAIの楽しみ方を積極的に発信している深津貴之氏に、AIで狙いどおりの画像を作るコツを聞いた。
■リアルな絵を描かせるおまじないとは?
――ミッドジャーニーを試してみたんですが、妙な絵ばかり生成されてなかなかうまくいきません。どうすれば?
深津 初心者が良い画像を出せる3つのルールをお伝えしますね。
まず、AIは人間のように意図を察してはくれないので、できるだけ厳密に伝えること。それがルール1です。
例えば「リンゴ」とだけ指示すると、AIが作るのは赤いリンゴや青リンゴ、さらにはApple社のロゴなどがごっちゃになったものになりかねません。「カゴに盛られた赤いリンゴ」などと明確に伝えなければいけないんです。
――続いて、ルール2は?
深津 絵のスタイルも細かく指定してあげましょう。具体的には、日本語なら「風景 森と川 印象派風」というように、何を、どのように描くかまで細かく指示すると、狙っている絵にグッと近づきます。同様に、「写真」ではなく、「スタジオ撮影 自然光」という具合に指示を出します。
そしてルール3。最後に、画像のクオリティを上げる"おまじない"を入力してあげてください。
――おまじない?
深津 これはルール2に関係するんですが、キレイな画像についていそうな単語を入力すると、AIは「キレイにしないといけないんだな」と勝手に解釈してくれるんですね。例えば、リアルにしたいなら「photorealistic(写真のようにリアルな)」とか、画質を上げるなら「8K」とか。
――逆に、注意事項はありますか?
深津 差別的な画像を作らないことやサービスの利用規約を守るのは大前提ですが、ほかにも、実在の人物や他者が権利を持っているキャラクター、現役アーティストの作風も安易に使わないほうがいいでしょう。自分で絵を描いて公表するとして、問題がありそうな画像は作るべきではありません。
――想像力が大事なんですね。
深津 僕は、このようなAIは人間の創造性を広げる、新しい"画材"だと思っています。であれば人間にやれないことをAIに担当させて人間の想像力をアップさせたほうが楽しい。例えば、ラフ画を1000パターン作らせて絵の構図を検討するとかですね。
結局、問われているのは人間の創造性だと思います。AIはあくまで道具なので、いい使い方を考え出すのは人間の仕事なんです。
【Midjourneyの始め方】
1)いざ登録!
『Midjourney』のホームページにアクセスすると、下の画面が表示されるので「Join the beta」をクリック。チャットツール「Discord」の画面に遷移するので、「招待を受ける」を押せばOKだ。Discordのアカウントが必要になるが、こちらも登録は無料
2)絵の指示
Discord内の「newbies」というスレッドに入って、チャット欄に「/imagine」と入力すると指示が出せるようになる。英語で、かつAIに伝わりやすい文を打ち込もう(深津氏のインタビュー参照)。英語が苦手でも、自動翻訳ツールを利用すればOKだ
3)ブラッシュアップ
4枚の候補のうち、例えば左上を気に入ったなら「U1」を押せばブラッシュアップしてくれる。左上の候補の別パターンが欲しければ「V1」を。また、お気に入りがなければU4の横の円形矢印を押せば新たな候補を4つ出してくれる。この作業を繰り返せば完成!
●THE GUILD代表・深津貴之(ふかつ・たかゆき)
インタラクションデザイナー。『Midjourney』をはじめとした描画AIをいち早く試し、noteの記事やSNSなどでノウハウを発信し続けている