今年8月に発表された新作ゲームの『いっき団結』今年8月に発表された新作ゲームの『いっき団結』

今年は36年ぶりとなる『トップガン』の新作『トップガン マーヴェリック』が社会現象化するほど大ヒット。そんな中、おじさんを大歓喜させる、もうひとつの新作がトピックスに!

それは37年ぶりにオリジナルを復活させるゲーム『いっき』だ。懐かしのグラフィックとサウンドを踏襲しつつ、『いっき団結』として年内に登場予定。

そんな名作の復活劇を、サン電子のゲーム部門であるサンソフトの中の人たちに直撃。ゼネラルマネージャーの越知雄一さん、開発ディレクターの伊奈正倫さん、広報ライセンス担当の田中美佐子さんにお聞きします!

■元祖クソゲーは若者に人気?

――『いっき団結』は、どんな経緯で誕生したのですか?

越知 私は入社して1年半ほどなのですが、ある日社内の倉庫をチェックしたら、ファミコン時代の名作ソフトが大量に保管されているのを発見しました。それこそ未開封の物もあるぐらい。

――それ、現在では海外の個人売買サイトでも超高額で取引されてるやつ!

越知 そうなんです。弊社のレトロゲームは海外でも人気が高く、現在でも多くのファンがいます。ただ、ここ4、5年、弊社はゲームに関してアクティブな活動を行なっていませんでした。

その一方、他部署の販促物には『いっき』のキャラクターが描かれており、「これ遊んでました!」とお客さまから声をかけていただく機会が多い。だったら、独自キャラクターである『いっき』を復活させよう!と企画が立ち上がりました。

――気になるのは、新作のゲームシステム。ファミコン時代の『いっき』は、その高難易度でクソゲー認定されたイメージが強いですけど?

伊奈 今回は、方向キーの操作のみで楽しめます。

――低難易度すぎて、ある意味斬新かと! で、実際にプレイしてみると、方向キーのみの操作でも派手なアクションが楽しめ、ワラワラと集まってくる敵キャラを一気に破壊できるのが爽快感高め。さらに多人数で協力できるマルチプレイに対応してるし!

伊奈 ファミコン時代に「『いっき』はひとりでやるもんじゃない!」と総ツッコミされた経験があります。そのツッコミを37年の時を経て回収したいという思いがあり、開発当初から簡単にプレイできること、そして最大16人で協力できるオンラインのマルチプレイにこだわりました。

『いっき団結』ファミコン時代には「いっきはひとりでやるものじゃない!」とディスられていましたけど、新作はそれを完全に覆す最大16人のマルチプレイに対応。方向キーのみの簡単操作で楽しめる、オンラインでの協力アクションが展開『いっき団結』ファミコン時代には「いっきはひとりでやるものじゃない!」とディスられていましたけど、新作はそれを完全に覆す最大16人のマルチプレイに対応。方向キーのみの簡単操作で楽しめる、オンラインでの協力アクションが展開

『いっき団結』懐かしのドット絵やサウンドの雰囲気はそのまま、派手に進化した竹やり攻撃もあります!『いっき団結』懐かしのドット絵やサウンドの雰囲気はそのまま、派手に進化した竹やり攻撃もあります!

『いっき団結』年内にSteamから配信予定『いっき団結』年内にSteamから配信予定

――オリジナルを遊んだ世代にとっては、華麗な伏線回収! ビジュアルもほぼほぼ当時の雰囲気ですよね?

伊奈 ドット絵は昔使ってた絵をそのまま使いつつ、当時の雰囲気にできるだけ寄せるように加工しています。

――そして、おじさんたちが歓喜しているのが、公式であるサンソフト自らが、『いっき』を"元祖クソゲー"と言い切っていること。この自社IPをイジり倒すスタイル、会社的に大丈夫なんですか?

田中 社内的にはOKです。とにかくプレスリリースを読んでメディアさまに紹介してほしいという一心で文言を作りました。なので、『いっき』の紹介をしつつ、「今でも元祖クソゲーといえば"サンソフト"とお声がけいただき大変うれしい限りです」と書いたところ、それを気兼ねなく記事に使ってくださりとてもうれしかったです(笑)。

越知 正直、プロジェクトを開始した当初は「『いっき』をクソゲーとか言うユーザーは相手にしません!」って意見もあったんですよ(笑)。でも、これだけみんなの記憶に残っているし、クソゲーと言われても70万本を超えて商業的には大成功しているタイトルですからね。だったら振り切ってもいいかなと。

田中 そもそも、おもしろくないゲームは"クソゲー"とも呼ばれませんから! ただ、オリジナルを遊ぶと、難易度が高すぎて先に進めませんでしたけど(笑)。

1985年にファミコン用タイトルとして登場した元祖『いっき』1985年にファミコン用タイトルとして登場した元祖『いっき』

元祖『いっき』ツッコミやすいビジュアルのキャラクターや世界観から、「元祖クソゲー」として親しまれたレジェンドタイトル元祖『いっき』ツッコミやすいビジュアルのキャラクターや世界観から、「元祖クソゲー」として親しまれたレジェンドタイトル

元祖『いっき』クソゲーと呼ばれるようになったゆえんには「高難易度」もあり、ある意味「無理ゲー」の原点ともいえる一本元祖『いっき』クソゲーと呼ばれるようになったゆえんには「高難易度」もあり、ある意味「無理ゲー」の原点ともいえる一本

――サンソフトが『いっき』をはじめとする名作を復活させるのは、世界的なレトロゲーム人気も追い風に?

越知 はい。近年、レトロゲームはゲームのビジュアル表現の一ジャンルとして定着しています。なので、ファミコン時代のオリジナルを知らない若い世代からも、『いっき』が見直されているのです。

――『いっき』の世界観をイジるネタとしてですか?

越知 いえ、本気です。実際、各種SNSや弊社のアンケートを見ると、オリジナルを知らない若い世代が興味を持ってクローズドβテスト(正式配信前のオンラインテストプレイ)に参加しており、むしろ若い世代のほうが多いぐらいです。

――ウソでしょ! 若い人にも楽しまれる理由とは?

田中 9月12日に、ホロライブ所属の人気VTuberの戌神(いぬがみ)ころねさん(登録者数188万人)と、『いっき団結』のコラボを行ない、若い人が興味を持ってくれました。

視聴者さんたちは「これ、『ヴァンサバ』(『ヴァンパイアサバイバーズ』)のマルチプレイ版じゃね?」と、大人気のローグライクシューティングゲームと比較して盛り上がり、これは流れが変わったなと思いましたね。

でも、『ヴァンサバ』と『いっき』では、ビジュアル的にはまったく似ても似つかないんですけど(笑)。

――おじさん的には、ほぼ当時のままのビジュアルやサウンドが胸アツでしょうけど、若者視点だとまったく別の人気ゲームとリンクするのがおもしろいですね。ところで今後は、3Dキャラを使った、『いっき』のプランなども?

田中 過去に『いっき おんらいん』というゲームを作りまして、厳しい結果を出しております(笑)。

越知 やはり、ドット絵のグラフィックが落ち着くんですよ。「昔のまんまできやがった!」と、ファミコン時代を知るユーザーさんに喜ばれていますから。

田中 でも、若い人により興味を持ってもらいたく、弊社もVTuberをデビューさせました。サンソフト之介です!

本人いわく「世の中のはやりに乗ってみたかった」という理由でデビューした、サンソフトの公式VTuber、サンソフト之介本人いわく「世の中のはやりに乗ってみたかった」という理由でデビューした、サンソフトの公式VTuber、サンソフト之介

「中の人はおじさんです」と、VTuberとしてアウトなおもしろ発言を行ないつつ、『いっき団結』やサンソフト関連の情報をYouTubeやSNSから発信中「中の人はおじさんです」と、VTuberとしてアウトなおもしろ発言を行ないつつ、『いっき団結』やサンソフト関連の情報をYouTubeやSNSから発信中

――サンソフト之介、いきなり「中の人はおじさんです」と発言するほどの出オチ要員だけど、これも斬新かと!

越知 社内に人気声優みたいなキャラの人材がいなかった。なので、本当におじさんがやっています(笑)。

――ネタも交えつつ、ちゃんとゲームを作ってるところが、サンソフトの芸風として愛される理由なんでしょうね。

越知 昔からのファン、若い人だけじゃなく、今後はグローバル市場も狙っています。『いっき』の基本的な世界観である"巨大な権力との闘い!"は海外でも通用すると考えています。

9月に開催された「東京ゲームショウ2022」に出展したサンソフト。そこには究極のおじさんホイホイとも呼べる「80年代のゲーム部屋」を再現。ブラウン管テレビや懐かし系のハードやゲーム、さらに超巨大カートリッジも制作してしまう本気っぷり。サンソフトさん、おじさん大歓喜のツボを刺激するのがうますぎ!9月に開催された「東京ゲームショウ2022」に出展したサンソフト。そこには究極のおじさんホイホイとも呼べる「80年代のゲーム部屋」を再現。ブラウン管テレビや懐かし系のハードやゲーム、さらに超巨大カートリッジも制作してしまう本気っぷり。サンソフトさん、おじさん大歓喜のツボを刺激するのがうますぎ!

――悪代官を倒すって、これは海外の人には理解されないでしょ!

越知 海外のゲーム関係者と話すと、「『いっき』はフランス革命と一緒ですよ!」と共感を得られるんですよ(笑)。ビジュアルさえ気に入ってもらえれば、海外市場も狙えるタイトルだと思っています。

――では、年内の正式配信に向け、『いっき団結』をどのように育てたいですか?

伊奈 クローズドβテストに参加したユーザーさんから、意見をいただきましたので、まずはそれを反映させたいです。『いっき団結』はSteamから配信されますので、こっそり会社のPCでも楽しんでほしいですね(笑)。

越知 ゲームだけじゃなく、オリジナルを知るファンが「あ、こーいうのあったなー!」と喜んでくれるようなグッズ、そういったことにも挑戦したいです。

――おじさんも若い人も一緒に楽しめる、『いっき団結』。これは次世代クソゲーと呼ばれるほどの完成度に期待です!

【『いっき』だけじゃない! サンソフトの名作タイトル】

■アトランチスの謎◯1986年発売
ステージ数は"全100面"という大ボリュームで人気になった、アクションゲーム。ジャンプするタイミングの難しさ、さらにワープポイントも特盛りというやり込み要素が満載!
アトランチスの謎アトランチスの謎

■スーパーアラビアン◯1985年発売
敵キャラをかわしつつ、ステージ内に配置された壺を全回収するシンプルなアクションゲーム。壺にはアルファベットが表記されていて、"ARABIAN"の順番で回収すれば高得点確定!
スーパーアラビアンスーパーアラビアン
■ギミック! ◯1992年発売

『いっき』と同様に高難易度で話題となったアクションゲーム。オリジナルはプレミア価格で取引されるほど現在でも大人気。こちらは2022年中にSteamほかで配信予定
ギミック!ギミック!

■Steam『いっき団結』配信ページ
https://store.steampowered.com/app/2061150/

■サンソフト公式YouTube【SUNSOFT official】
https://www.youtube.com/user/sunsoftdemo