仕事にも生かせると話題になっているChatGPT仕事にも生かせると話題になっているChatGPT

問いかけると的確な回答を爆速で返してくれる対話型AI「ChatGPT」が大流行中。これが仕事にも生かせると話題になっている。とはいうものの、具体的に何を任せられるの? そこで、実際に業務でChatGPTを活用している中級者、上級者たちに実態を聞いた。結論から言うと、どうやらとりあえず触ってみるのがよさそうです!!

* * *

■文書作成はAIにお任せ

ChatGPTが最も得意なのは文章の作成だ。業務上の契約書をChatGPTに書かせている経営者のAさん(40代男性)はこう語る。

「おそらく、ゼロから契約書を書き上げたら2、3時間はかかる。ところがChatGPTを使うことで、半分以下に短縮できています。

具体的には、まずはプロンプト(AIに与える指示文)を15分ほどかけて書くのですが、あとは上がってきたものに対して何度かダメ出しするだけ。最後に自分で総点検して手直しすれば、早いと45分ほどで終わります。

もちろん、本当に重要な契約書は弁護士に相談しながら作りますが、成り行き上、形式的な契約書が必要になった際は重宝しています」

株式会社GaudiyのPR担当・牛山マーティンさんは、文の推敲(すいこう)に使っているという。

「広報という仕事柄、文章を書くことが多いのですが、そこで大いに役立っています。例を挙げると、誤字脱字の修正、表現の改善、企画のネーミングやキャッチコピーの作成などです。

思いつかない言葉に出会えることもありますから、最近ではどんな文章を書くにしても、一度はChatGPTに回して表現をブラッシュアップしています」

牛山さんと同様に、文章やキャッチコピーの生成に用いる人は少なくない。広告デザイナーの30代女性も、仕事の中で役立つ場面があるという。

「本職はデザイナーなのですが、企画もするので、コピーやちょっとした文章の案をいくつか出す際に使用しています。

例えば『夏の爽やかさを表す表現は?』『涼しげな擬態語は?』のような質問をしてキーワードを列挙してもらうとか、あるいは『○○のコピーを10個考えて』『○○についての説明を100字で考えて』と、叩き台として使用することもあります。

たとえベタなコピーでも、10個考えるのはけっこう大変ですし、参考にするには十分なクオリティですね」

とにかくさまざまな案を出すのは、ChatGPTの得意技だ。東京、札幌などで23店舗のホストクラブを運営する「group BJ」のPR担当者は、広告デザインにChatGPTを活用したと言う。

「他店と差別化できる看板デザインを尋ねたら、『魅力的なホストのイメージを盛り込む』とのこと。そこからホストクラブの魅力を細かく聞いた結果、『エンターテインメントとしての楽しさ』という答えを出してくれたんです。

それを踏まえ、ホストの眉毛を消して顎を引き伸ばした変わった看板を東京・歌舞伎町に掲出しました。すると、特にインバウンド客の間で話題になり、中国では看板を基にした動画が拡散されました。

自分らの引き出しにはないアイデアがもらえて、AIの可能性を感じています」

かなり特殊な例ではあるものの、タイトルやキャッチコピー、デザインのアイデア出しは利用できるシーンも多そうだ。

また、前出のAさんは、メールもChatGPTに書かせているという。

「言いたい内容はまとまっているけど、ビジネスメールの文体に直すのが面倒くさいことってありますよね。そういうときはタメ語でとりあえず文面を書いて、『以下の文をビジネス用に使える文面にしてください』とChatGPTに指示しています。

もちろん、自分で書いたほうが早いこともあるのですが、丁寧で形式的な文を書く必要があって、かつ先方と関係があまり深くないときはChatGPTに頼むほうがラクな印象ですね」

■1時間の作業が3分で終わる

続いては、リサーチに使っている人のお話。レコード会社に勤める20代女性はこう言う。

「例えば、『アーティストが全力疾走しているミュージックビデオをとにかくたくさん知りたい』となったら、ChatGPTに聞いています。特に自分は洋楽に詳しくないので、英語で尋ねると洋楽をいっぱい挙げてくれるのには助けられてますね」

ほかにも、プログラマーの30代男性は「従来では検索ワードを練る必要があったけど、今では友達に話しかけるように尋ねればドンピシャの答えが来るようになったので、調べられることが増えた」と語る。

ChatGPTが答える内容の信憑性(しんぴょうせい)は必ずしも高くないので、最後には自分で裏取りする必要はある。とはいえ仕事の一環で調べものをする人は取り入れられそうだ。

ちょっと上級者向けだが、用途として非常に多かったのがプログラミングだ。システムエンジニア(30代男性)の談。

「とにかく、叩き台を作らせるのに長(た)けています。あまりよく知らないプログラミング言語でも、やりたいことを明確に伝えればそこそこ精度のいいコードを書いてくれますから。従来ではウンウンうなりながら作業していたので、かなりラクになりました」

ITベンチャー企業で広報兼デザイナーを務める20代男性は、非エンジニアでありながらも「Webサイトの更新業務に役立てている」とのこと。どうやって活用している?

「『サイト更新のために、元の文章にタグをつける作業が大変で困っています。どうしたら業務を効率化できますか?』と、具体的に質問します。すると、『○○か△△というプログラミング言語を使うのがよいと思います』などと提案されるので、さらにそこからコードを作成してもらうまでやりとりします。

あとはそれをコピペするだけ。もしエラーが出てしまったら都度聞き直せばよい。出来上がったものはチームメンバーにも共有しているのですが、もともと20~30分かかっていた作業を5分に短縮することができました」

また、株式会社Psychic VR Labで経理を担当する松村さん(30代・女性)は「ChatGPTのない生活はもう考えられない」と言う。

「私は、給与計算する際に必要な勤怠データなどをいっぺんに集計できるコードを作成してもらっています。作業は私ひとりでやっているため、いつも1時間以上はかかっていたんですが、ChatGPTに作業をサポートしてもらってからは、3分もかからないぐらいで終わっています。有料版を使っていますが、月2800円程度でここまでやってくれるなら安いものです」

プログラミングをChatGPTにやらせると業務効率はぐっと上がるようだし、必ずしもプログラミング経験者でなくても活用はできるみたいだ。

とはいえ、未経験者にとっては、そもそもどんな作業を任せられるかがわからない。そこで、AIの導入支援や受託開発などを行なう株式会社LifePromptの遠藤聡志さんに聞いた。

「判別方法はシンプルで、『いつもこの作業しているな』と思ったものは自動化できる可能性があります。例えば『エクセルでいつも集計データを○○してるんだけど、どうすれば自動化できる?』などと聞けば、解決策を提案をしてくれますよ」

仕事に導入する人も増え始めている今、食わず嫌いはもったいない。