イーロン・マスク体制となってから、いろいろとトラブル続きのTwitter......。そんな中、登場したのがインスタグラムやフェイスブックのMeta社が提供する新SNS、Threads。いきなりユーザー数が1億人を突破した理由からその活用方法まで徹底解説ですっ!
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■フレンドリーで居心地のいいSNS!
7月6日に登場した新SNS、Threads(スレッズ)。ローンチ5日でユーザー数が1億人を超え、いきなりの大ブレイク!
Threadsは画像や動画の投稿メインのインスタグラムとは違い、テキストでの投稿を重視したスペックなのが特徴。つまり、国内ではSNS王者に君臨し続けるTwitterのライバルに!!
Threadsが大ブレイクした理由から活用方法を、ITジャーナリストの三上 洋さんに解説してもらいますっ!
――まずはThreadsがいきなりバズった理由から、お願いします!
三上 アカウント取得がお手軽だったことです。同じMeta社が運営するインスタのユーザーなら、そのままアカウントを移行できます。
Twitterは国内では最も人気のあるSNSですが、グローバルではインスタが圧倒的。月間アクティブユーザー数はTwitterが約3億3000万人なのに対し、インスタは10億人を超えます。インスタからのThreadsへの移行が多く、今回の大ブレイクになりました。
もともと、Threadsのサービス発表直後からインスタユーザーからの期待度が高く、ローンチを前倒ししたほどです。おそらく、これまでのネットサービスで、前倒しスタートを行なったのは初の出来事でしょう。
――最近のTwitter界隈(かいわい)のゴタゴタも影響してる?
三上 はい。イーロン・マスク体制となってからのTwitterは有料サブスクプランの開始、無料ユーザーは【ツイート閲覧は1日1000件】など多くの制限が設けられ、これらも影響して国内でもThreadsがバズったといえるでしょう。
――では、Threadsと、ライバルとなるTwitterとの違いとは?
三上 どちらもテキストでの投稿を重視した仕様になっていますが、文字数は全角で最大500文字まで対応しているThreadsが圧倒的です。ユーザーの投稿に対しては「リツイート」「リプライ」にも対応しています。
ただ、アプリ内用語の名称がTwitterとは異なり、例えばTwitterでの「リツイート」なら、Threadsでは「リポスト」といった名称になります。
――実際にThreadsを使ってみると、操作面でストレスに感じる部分はありませんね。それこそ、名称が違うぐらい。ただ、TwitterにあってThreadsにはない機能もあるのでは?
三上 現状では「ハッシュタグ」や「DM」などがThreadsには実装されていません。ただ、これらはユーザーからの要望が強く、アップデートで実装される可能性が高いでしょう。
――このほか、三上さんがThreadsで足りないと感じた要素は?
三上 リポストの回数が数字で表示されないことです。
――確かに、リポストやいいね、投稿が表示された回数の数字がありませんね。そもそも、SNSのタイムラインを閲覧するときって、これらの数字に視線が行きがちだし、ある意味バズってるネタの指標にもしますから、これはマイナス要素なのでは?
三上 私はこの部分に関してはポジティブにとらえています。なぜなら、Twitterの場合だと多くのユーザーが、これらの数字から該当する投稿の拡散を行ないます。つまり、この数字は〝炎上メーター〟として機能しているのです。
数字を、あえて表示しないThreadsは〝悪ノリ〟からの炎上を抑止できるSNSなんですね。ここがMeta社のマーク・ザッカーバーグCEOが強調している〝フレンドリーなSNS〟という部分だと、思っています。
――では、Threadsはどのように使いこなすのが正解ですか?
三上 まず、インスタのフォロワーをそのまま移行できるがポイントです。なので、私のタイムラインはインスタと同じくきれいなお姉さんのグラビア画像であふれ返っています(笑)。
――それ、インスタと同じ使い方じゃないですか!
三上 インスタと同じ使い方ができつつ、テキストメインでの発信もできます。やはり投稿できる文字数が500文字というのが大きく、クルマやバイクなど趣味トークや飯テロでしっかり語り合えるSNSになっていますね。何より、Twitterのようなギスギスした雰囲気がないのが特徴です。
――これはザッカーバーグさんの思惑どおりの好展開! でも、Threadsは「キーワード検索」ができませんよね。これ、どうやってトークネタを探すのが正解ですか?
三上 まずは、自分の趣味の範囲でフォローやお気に入りを増やすこと。これは、その業界の有名人からでいいです。インスタから移行したユーザーが多く、実名登録が中心なので検索も簡単。
よく質問されるのが「タイムラインに知らない人がいっぱい出てくるんですけど?」なんですが、これはフォローが足りないのが原因です。
なので、フォローをガンガン増やし、そこからおもしろ発言をする人を見つけ、自分も積極的にリプライをする。別に質問でもかまいませんし、閲覧オンリーでもOKです。なんというか雰囲気的には、おじさん世代には懐かしいネット黎明(れいめい)期のパソコン通信や各種BBSといったノリがあります(笑)。
――逆にThreadsの問題点は?
三上 キーワード検索がなく、「トレンド」の表示がありません。なのでリアルタイムでの情報発信・収集ができず、【地震速報】や【公共交通機関の遅延情報】などの共有にはまったく向いていません。
――このほかの問題点は?
三上 私の印象だと若者世代のユーザーが少ないことです。
――それは意外ですけどッ!
三上 私は大学で非常勤講師をやっていまして、学生にアンケートを行なった結果、彼らの6割がThreadsのアカウントを持っていませんでした。でも、インスタの取得率は10割なんです。
彼らはインスタを実名でやっており、それとアカウントがひもづくThreadsには積極的ではありません。なぜなら、テキストでグチったりイキったり、コアな趣味のトークをするならTwitterを利用するという判断なのです。
彼らのTwitterのアカウント取得数は平均3.5個で、それらを本アカと裏アカで使い分ける利用方法ではThreadsは向いてないそうです。それもあってか、おじさん的には居心地のいいSNSになっていますね(笑)。
――ところで、Threadsでネットセキュリティ的に問題になりそうなことは?
三上 現状、確認できたのは古典的なフィッシングです。投稿にあるURLから詐欺サイトへ誘導するタイプ。基本的に【当選のチャンス!】や【大幅値引き!】といった文言で誘導するので、こういった文言のあるURLはスルーしてください!
――とりあえず、現状では平和で居心地のいいThreads。三上さんのように、グラビア画像の閲覧だけでも、十分に楽しめますよ!